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個別銘柄にドルコスト平均法は危険か

個別銘柄にドルコスト平均法は危険か

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日経新聞にドルコスト平均法の解説記事が載っていました。一部に首をかしげるところもありましたが、参考になるのでご紹介します。

(日本経済新聞10/5/23から引用、抜粋)ギリシャの財政不安問題などを機に急落した株式相場。こうした相場下落をむしろ味方にできる可能性もあるのが、定期的に一定金額ずつ購入していく「ドルコスト平均法」(定時定額購入)と呼ばれる手法だ。
リーマン・ショック直前の2008年8月末から、ドルコスト平均法で日経平均株価に連動する投資信託を毎月定額で買い続けていたら、損益はどうなっているだろう。
実は09年5月には既に損益はプラスに転換し、最近の急落後(21日終値)でもわずかながらプラスを維持している。
現在の株価は08年8月末に比べて25パーセントも安い。それなのにプラスを維持しているのは、さらに安かった時期にも買い続けているため、平均購入単価が下がっているからだ。
このように株価が上下動した後で上昇したときに利点が発揮されるのが、ドルコスト平均法の特色だ。ちなみに「ドル」は米国通貨のドル。米国で生まれた手法のため、こう呼ばれているとの説がある。
様々な金融機関で投資信託、外貨MMF(マネー・マーケット・ファンド)、金、個別株など多くの商品を対象に、ドルコスト平均法を用いた自動積み立てができる。
特に投信ではネット証券を中心に毎月1000円から自動積み立てができるサービスもある。
ただしドルコスト平均法が、ある時点で一括で買った場合より有利だったかどうかは、資産の値動き次第。価格が一本調子に上昇を続けた場合は、最初にまとめて買っておいたほうが得。下落局面でも、最安値でまとめて買えれば、それに越したことはない。
しかし、(中略)実際には相場の下落局面では怖くて買いづらく、逆に高値圏で多く買いがちな傾向が分かる。
だからこそ、高値づかみを防ぎ、安値でも購入を続けられるドルコスト平均法の意味があるわけだ。
一方、重要な注意点は「個別銘柄には上場廃止や株価がずっと上向かないなどのリスクがあり、この手法を使うのは危険」(立正大学経済学部の林康史教授)ということ。
上場廃止になった日本航空に、その3年前からドルコスト平均法で投資していた場合の結果(を見ると)、下落局面で買い増し続けたことが、損失を大きくすることにつながった。
これは個別銘柄だけの話でもない。過去20年にわたって低迷が続いてきた日経平均株価を対象に、バブル崩壊時の1990年1月からドルコスト平均法を続けてきた結果(を見ると)、20年後の現在も損益はマイナスだ。
最後に比較的安定して上昇してきた指数を対象にするとどうなるか見てみよう。日本株、日本債券、外国株、外国債券に25パーセントずつ均等に分散投資した場合の指数を対象に、ドルコスト平均法で投資した場合の結果だ。
(記事にはこの結果のグラフが掲載されている。90年1月を100とした分散指数を見ると、ほとんどの期間で平均購入単価を上回る運用になっており、07年あたりでは250、10年では200を超える数値になっている)
この資産は、例えば様々な資産に分散するバランス型投信で自動積み立てを行った場合などの参考になる。
分散投資なら、指数は金融危機後の現在も、バブル崩壊直後に比べて約2倍。不振の日本株を、他の資産が補った結果だ。つまり、最初に一括投資していれば資産は2倍になった。
一方、ドルコスト平均法で買い続けた場合の損益は、42パーセント増にとどまる。上昇傾向が続く資産なら、最初の一括投資が有利だ。
しかし、値動きが比較的安定している分散投資でも、指数は金融危機時には36パーセント下落した。
高値だった07年夏に、今後も上昇が続くと思って一括投資していれば、かなりの傷を負ったことになる。ドルコスト平均法なら高値での集中投資は避けられたはずだ。
ドルコスト平均法は
1 個別株に使うのは危険
2 一括投資に比べていつも有利になるとは限らない
という特性を知ったうえで使うなら、長期投資の有効な手法の一つになりそうだ。

コメント:いろいろなデータを元にドルコスト平均法の有効性を検証した記事で、なかなか面白かったです。

まず最初のリーマンショック後からドルコスト平均法で投資信託を買い続けていた場合について。リーマン・ショック直後ということで日経平均株価が大幅に下落しているときから買い始めています。

そのため、安いところで多く買う、というドルコスト平均法の特徴が発揮された結果だといえます。

次に、様々な金融商品にドルコスト平均法を使った自動積み立てができるようになっているとあります。文中にある月1000円から自動積み立てできる証券会社は、たとえば楽天証券があります。

ただ、この記事にも書いてありますが、ドルコスト平均法は必ずしも安い値段で株などを買える方法ではありません。詳しくはドルコスト平均法のデメリットをご覧下さい。

そのため、私は証券会社のドルコスト平均法による自動積み立てはあまりお勧めしません。

もちろん自動積み立ては予算さえ決めればあとは証券会社が自動で注文してくれるので楽です。

しかしせっかくなら自動積み立てでなく、当サイトでご紹介しているドルコスト平均法のデメリットを減らす方法を活用したり、あるいはもっと本格的な投資法であるダブル平均法を試してみられてはいかがでしょうか。

ダブル平均法はドルコスト平均法を改良したもので、ドルコスト平均法よりも安い値段で株などを買える投資法です。そのため、キャピタルゲイン(売買差益、値上がり益)も狙えます。

次に、ドルコスト平均法よりも一括で買う方が有利な場合があるという点について。ドルコスト平均法は株式などの価格が高いところでも安いところでも機械的に買っていく方法です。

そのため、どうしても毎日の株価をチェックして安いところで買っていくような投資法に比べると、購入単価が高くなってしまいます。その結果、最安値でまとめて買うよりも不利になるのは当たり前です。

しかし、記事にもありますが、例えば株価が急落しているところで「安いから買う」というのはかなり難しいです。

それを補うのがドルコスト平均法なので、安いところでまとめて買う方法よりもドルコスト平均法のほうが高いところで買ってしまうのは仕方ないことです。


○私の反論

続いて、私がこの記事で非常に疑問な箇所です。林教授の、ドルコスト平均法は「個別銘柄に使うのは危険」という点です。

この点については大いに反論いたします。林康史氏のおっしゃっているのは、個別銘柄には上場廃止や株価がずっと上向かないなどのリスクがあるので、株式の個別銘柄に使うのは危険だということです。

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○上場廃止リスク

まず、上場廃止リスクについて。確かに記事にあるように、日本航空(JAL)を上場廃止3年前からドルコスト平均法でずっと買い続けていたら大損になったのです。

しかし、この上場廃止リスクは、銘柄をきちんと選定して、財務内容の安定した、つまり借金の少ない企業を選べば、ほとんどゼロにできます。

私の手元に「日経会社情報」の07年春号があります。そのデータを見ますと、自己資本比率は14.8パーセント、PBRは4.8倍でした。

まず自己資本比率ですが、当サイトでは自己資本比率50パーセント以上の銘柄のみを売買することをおすすめしています。14.8パーセントでは低すぎます。

次にPERです。私はPERは重視しませんが、PERは大体20倍あたりが平均といわれています。239倍ではその10倍ですから、高すぎます。

次にPBRです。私はPBRは非常に重視しています。4.8倍ということは、解散価値の約5倍ですから、これも高すぎます。

当サイトのドルコスト平均法やダブル平均法の原則では、銘柄選びにPBRは用いていませんが、ダブル平均法の応用法 PBR2以下の銘柄に限定を採用していれば、PBR4.8というだけで日航株は買わないことになります。

なお、日本航空は毎年ではありませんが配当をしていました。配当をすることは一般には信頼できる銘柄といえますが、自己資本比率が低く、PERがずば抜けて高いのに配当をするとは、私には信じられません。

業績が不振で財務内容が悪いのですから、配当するよりも自己資本比率を上げたり必要な設備投資に回すべきでしょう。

ちなみに自己資本比率をチェックしていればあまり必要ありませんが、負債資本倍率もみてみましょう。

日本航空の純資産は3600億円、有利子負債が11691億円なので、負債資本倍率は3倍強になります。高すぎます。

以上のことから、当サイトでご紹介している銘柄選びの基準を用いれば、07年時点で日本航空株は買わなかったことになります。


○ルールを設ければ危険は減らせる

つまり、銘柄選びにきちんとしたルールを設定して、安全な銘柄を選べば、「日本航空をドルコスト平均法で買い続けた結果、大損をしてしまった」というようなことはほとんどゼロにできます。

ですから、日本航空のような極端な例を持ち出して、個別株には倒産や上場廃止リスクがあるから、ドルコスト平均法は危険だ、と言われるのは「木を見て森を見ず」で、おかしいです。

どんな投資法であれ、株式投資においては安全な銘柄を選ぶのが重要です。逆に財務内容の悪い銘柄を選んでしまえば、どんな投資法でもピンチを招きかねません。


○株価が上がらないリスク

次に、林康史教授が「株価がずっと上向かないリスク」とおっしゃっている点について。

つまり、株価の下がり続けている銘柄をドルコスト平均法で買い続けて、その後も株価が下がり続ければ、損になってしまうということです。

この点はその通りです。しかし、当サイトのドルコスト平均法では銘柄を選ぶ際に自己資本比率が高い、無配でない(配当をしている)という基準を設けています。

ということは、借金が少なく、財務が安定している上に、配当をしている(=業績も比較的よい)という銘柄になります。

こういう銘柄は、たとえ一時的には安値に放置されていても、安全な銘柄を好む機関投資家や、配当狙いの投資家などに注目されて、そのうちに値上がりする可能性が高いといえます。

そのため、こうした銘柄が長期にわたって値下がりする可能性は低いといえます。

また、こうした銘柄を長期保有しておけば、仮に株価の値下がりが続いたとしても、配当がもらえるので、値下がり損と相殺できます。

こうしたことから、株価がずっと上向かないというリスクは確かにありますが、少なくとも当サイトでご紹介している銘柄の選び方によって安全性の高い銘柄を選べば、そのリスクはかなり小さくできます。


○個別銘柄だけのリスクではない

また、個別銘柄は株価がずっと上向かないリスクがあるということですが、別にこれは個別銘柄に限った話ではありません。

株式投資信託でも、基準価額が大きく値下がりし、トータルリターンでもマイナスになっているものは少なくありません。

それなのに、なぜ林教授が個別銘柄の危険性だけをことさらに取り上げておられるのか私には疑問です。

次に、日経平均株価にドルコスト平均法を使ったところ、20年後の現在も損益がマイナスだという点について。これはドルコスト平均法の「高値づかみは避けられるものの、すごく安くは買えない」という特徴を表しています。

ただし、気をつけていただきたいのは、第一にこれはあくまでも日経平均株価の話です。これが個別株だったら、配当金がもらえますし、自己資本比率などをチェックして安全な銘柄を選べるので、もっと運用成績はよいはずです。

第二に、ドルコスト平均法のデメリットを減らすに書いたように下げ基調の途中からドルコスト平均法を始めれば、ある程度は成績がもっと良かったはずです。


○分散投資への応用

次に、日本株だけでなく日本債券、外国株、外国債券にも分散投資をした場合の話について。

バブル崩壊後の90年にこれらの資産に一括投資していれば資産は2倍になり、ドルコスト平均法で買い続けていれば42パーセント増になっていたとあります。

2倍というのは素晴らしい運用成績で、確かに分散投資もメリットがあるな、と思いました。ただ、バブル崩壊直後に一括投資というのはなかなか勇気の要る決断ですね。

その点、ドルコスト平均法はバブル崩壊だろうがバブルの絶頂だろうが、機械的に買っていきますので、分散投資の結果約4割の利益が得られたというのはたいしたものだと思います。

このデータがあるのですから、このように日本と外国の株(の投資信託)、外国の債券などに分散したうえで、自動積み立てなどを利用してドルコスト平均法を使っていくのも有効な方法だと思います。

なお、分散投資やポートフォリオの作りかたについては、資産配分の方法を考える確定拠出年金を運用するためのポートフォリオ1を参考になさってください。

今回の記事についてまとめると、「個別株にドルコスト平均法を使うのは危険」という点は大いに疑問ですが、検証データを元にそのメリットとデメリットや、分散投資に応用した場合の結果などがわかって興味深かったです。

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