ドルコスト平均法の銘柄の選び方と自己資本比率
ドルコスト平均法のための銘柄の選び方をご紹介します。
○売買する銘柄の数
1つに絞りましょう。同時に複数の銘柄を売買すると(例えば新日鉄とトヨタとパナソニックと三菱重工業)、それぞれの銘柄の値動きについていけず、買い忘れたり損切りしそこなったりしがちです。
1つの銘柄に絞り、その銘柄だけを最初に決めた期間だけ売買していきます。
○どのような銘柄を選ぶか
銘柄選びで最も重要なのが「安全な銘柄」を選ぶことです。もっと端的にいうと、倒産しにくい会社の銘柄にすることです。
株式投資の鉄則で書きましたように、買った銘柄の価値がゼロやゼロに近くなってしまうのが株式投資で最悪の事態だからです。
それではそのための具体的なチェックポイントを挙げてみます。
・東証一部上場であること
・自己資本比率(株主資本比率)が高いこと。
・直近の4年間で無配がないことが望ましい。
これは私自身が用いている安全な銘柄を探すためのチェックポイントです。東証一部上場については株式投資の鉄則でご説明していますので、残りの各ポイントについてご説明します。
○自己資本比率が高いこと
自己資本比率とは、総資産に対する自己資本の割合です。すなわち、会社の資産の中でどれだけが返す必要のない資本か、ということです。
会社が銀行からお金を借りれば利息を払わなければなりません。また、社債を発行しても社債権者に利息を払わなければなりません。
一方、株主には利息を払う必要がなく、借金のような返済義務もありません。また、利益剰余金なども手元に置いておける資本です。
そのため、自己資本比率が高いということはその会社の財務が安定している証だといえます。
自己資本比率は最高が100パーセントで、有利子負債が0の無借金経営をしている会社は、70%から90%台の数字になることが多いです。
なお、企業には利子の付かない買掛金などの負債もありますので、100%ということはまずありません。
銘柄の安全性を重視するなら、なるべく自己資本比率の高い銘柄を選びたいものです。
なお、ある業種(例えば不動産)の中から銘柄を選びたいという場合には、同業種の中でなるべく自己資本比率の高い銘柄を選ぶという方法もあります。
ドルコスト平均法やダブル平均法ではなるべく安全な銘柄を売買することをおすすめしています。その基準として、自己資本比率が50パーセント以上の銘柄のみを選ぶことをおすすめします。
もちろん自己資本比率が90パーセントというような銘柄の方が安全ですが、50パーセントあれば債務が少ないことがほとんどなので、安全性は十分だといえるからです。
なお、以前は自己資本比率60%以上の銘柄をおすすめしていました。その方が安全性がより高いことは間違いないのですが、それだと売買する銘柄の候補がかなり少なくなってしまいます。
そこで、現在は「50%以上」を銘柄を選ぶ基準にしています。
○無配は避ける
無配とは、配当をしないことです。配当とは、会社に利益が出た場合に、多くの場合はその一部を株主に還元することです。
そのため、赤字続きの会社では配当できないので、無配になってしまうのです。すなわち、無配の続く会社は経営がうまくいっていない可能性があるのです。
ただし、利益が出ているのにあえて配当をしない会社もあります。例えばアメリカのマイクロソフトがそうです。マイクロソフトは配当で株主に報いるのではなく、株価を上げることで株主に利益を還元しようとしました(現在はどうか知りません)。
また、利益がでていても少ししか株主に配当せず、残り(利益剰余金)を研究開発費に充てたり、不況時などに備えて留保する(内部留保)ということもあります。
したがって、ただ配当金が多ければよい会社とは言い切れませんが、やはり4年くらいの期間内で無配が続いていれば、その銘柄には注意した方がよいです。
そこで、できれば毎期に少しでも配当している銘柄を選びましょう。
なお、最近上場廃止になった日本航空は、07年の時点でPERがずば抜けて高く、負債も多いという銘柄でした。
それなのに、配当はしていました。無配はよくないとはいえ、逆に配当などしている場合でない企業が配当している場合も注意が必要です。
詳しくは個別銘柄にドルコスト平均法は危険かをご覧下さい。
○有利子負債とは
銘柄の安全性、つまり財務の安定性を判断するには、有利子負債を見ることも役に立ちます。
ただし、自己資本比率60パーセント以上の銘柄を選んでいれば(その水準以上にある限り)有利子負債も少ないので、有利子負債の増減や負債資本倍率まで見る必要はないでしょう。
有利子負債とは、簡単に言えば利子のついた借金です。一方、買掛金や未払い金など利子がつかない負債もあります。
企業が事業活動を行ううえで、完全な無借金経営でない限り銀行などからお金を借りるのは当たり前のことです。
しかし、その借金があまりに増えすぎると、利息の支払いが増えますし、返済義務も重くのしかかってきます。最悪の場合は倒産につながってしまいます。
有利子負債が短期間のうちに大幅に増えた場合、経営状態がよくないのではないかと疑うことが必要です。というのは、企業が借金をする場合でも、経営を圧迫しない程度の額を計画的に借りて、また計画的に返済していくはずです。
ところが短期間に大幅に負債が増えたということは、その計画が狂った可能性があるのです。お金に余裕があれば計画は狂いませんから、有利子負債の大幅増は要注意(事業がうまく行っていない)です。
ただし、有利子負債の額が例えば2倍になったとしても、負債の資本に対する割合が小さなものであれば問題はありません。そこで、「負債資本倍率」というものを使うと便利です。
○負債資本倍率とは
負債資本倍率とは、有利子負債を自己資本(株主資本)で割ったものです。DEレシオや負債比率ともいいます。
なお、以前は株主資本=純資産だったのですが、現在では厳密には違うそうです。この点については「純資産の部の3つの資本の意味」(外部リンク)で詳しく解説されています。
現在では株主資本、自己資本、純資産の順に広い意味になります。
私はこの負債資本倍率を以下のように計算しています。
有利子負債を「日経会社情報」記載の純資産で割ったもの
なお、会社四季報では自己資本を株主持分と呼んでいて、自己資本比率は株主持分比率となります。
○負債資本倍率の見方
それでは負債資本倍率の活用法をご紹介します。負債資本倍率は低ければ低いほうが借金の割合が少なく、財務が安定しているといえます。
例えば、ある企業の総資産が450億円、有利子負債が40億円で、無利子負債(未払いの買掛金など)が10億円、純資産が400億円だとします。この場合、負債資本倍率は0.1です。純資産は資産から負債を引いたものです。
これを家計にたとえると、借金も含めた財産が450万円あって、そのうち利子の付いた借金が40万円、利子の付いていない借金が10万円、借金を除いた手持ちの財産が400万円あるということになります。
上記の例だと負債資本倍率は0.1なので、かなり財務が安定しています。
一方、別の企業が有利子負債が30億円で、純資産が30億円だとします。この場合、負債資本倍率は1倍です。負債資本倍率は一般に1倍までなら良しとされます。
ところがこの企業が経営が少し悪化して、有利子負債30億円に対して純資産が15億円になってしまったとします。負債資本倍率が2倍になり、やや厳しいです。
ただし、負債資本倍率が高い=危ないと一概に言えるわけではありません。海運のように負債資本倍率がどの会社も高い業種もあります。
しかし、当サイトでは「銘柄選びに最重要なのは安全性」と考えています。その観点からすると、やはり負債資本倍率の低い銘柄をおすすめします。
結論は、まず避けるべき銘柄は負債資本倍率の高い銘柄(基準としては1を超えるもの)です。逆に選ぶべき銘柄は負債資本倍率がなるべく少ないものになります。
なお、自己資本比率が高い(例えば60パーセント以上)銘柄であれば、有利子負債が少ないので負債資本倍率も低いです。
そのため、自己資本比率の高い銘柄を選んでいれば負債資本倍率を気にする必要はまずないでしょう。
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2011年5月25日 | カテゴリー : ドルコスト平均法 , ファンダメンタルズ分析|コメント(0)