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クレジット・デフォルト・スワップが示す主要国の信用力

クレジット・デフォルト・スワップが示す主要国の信用力

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(日本経済新聞11/7/16から引用)日本の財政不安やギリシャ危機の広がりを受けて、「国の信用力」の序列が大きく変わり始めた。
指標となるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では国債の信用力首位が米国からドイツに移り、日本は中国を下回った。
ロシアなどの評価も上昇し「先進国は新興国より信用力が高い」という金融の常識が揺らぎつつある。
(中略)CDSは債券発行体の資金繰りが滞った場合、損失相当額の支払いを保証してもらえる金融商品だ。発行体の信用力が高いほど保証料率は低くなる。
先進国は1%未満が当たり前とされるが、イタリア国債の保証料率は(ギリシャ財政危機によって)6月末の1.7%から3%台に跳ね上がった。
序列の異変はイタリアだけではない。20カ国・地域(G20)首脳会合参加国の信用力をランキングしたところ、6月末時点で米国がドイツに抜かれ、前年同期の首位から後退した。
米国の信用低下は、リーマン・ショック後の景気刺激策による財政悪化が原因だ。(中略)
上位6か国の格付けは最上級のトリプルAだが、保証料率はドイツと6位のフランスで2倍近い開きがある。CDS市場は信用リスクを詳細に見極めようとしている。
日本への評価は厳しく、信用力は中国に見劣りする。国際通貨基金( IMF)の2011年見通しでは政府債務のGDP比が日本は229%、中国は17%と桁違い。
(中略)CDS市場関係者が気をもむのは南欧危機の行方だ。「保証料率の危険ラインは5%。イタリアがこの水準を超えれば通貨ユーロへの不安が高まる」。債券ヘッジファンド、キャプラの浅井将雄氏は危機感を募らせる。
(中略)クレジット・デフォルト・スワップとは:債券などのデフォルト(債務不履行)リスクを取引する一種の保険商品。
買い手は売り手に保証料を払い、債券発行体がデフォルトした場合に売り手から損失相当額を受け取る。期間5年の取引が中心で、保証料率は刻々と変動する。
信用力の指標として注目度は高いが、市場規模が小さく数値はぶれやすい。

CDSの保証料率で国の信用力が(ある程度)わかりますが、それに異変が起きているという記事です。

まず、クレジット・デフォルト・スワップについて。例えばアメリカ国債を買った人が、それが債務不履行になる場合に備えて入っておく保険のようなものです。

CDSの買い手が売り手に保証料を支払いますが、この保証料は対象となる債券などのリスクによって異なります。

これは売り手にすれば、デフォルトが起きたときに損失相当額を保証しなければいけないので当然ですね。リスクが大きければ、たくさん保証料をもらいたいです。

ということは、対象となる債券などのリスクを、CDSの保証料率が表しているといえるのです。

ちなみに引用記事から主要国の保証料率を抜粋しますと、ドイツが0.41%、米国が0.49、カナダが0.49、オーストラリアが0.58、英国が0.61、フランスが0.80、中国が0.84、日本が0.91などです。

高いところ(リスクが高い国)ですと、アルゼンチンが5.86、ポルトガルが11.69、ギリシャが25.98などです。

アルゼンチンは以前にデフォルトを起こしてハイパーインフレになってしましたが、その影響がまだ残っているのでしょうか。

さて、日本は保証料率が0.91%です。先進国は1%未満があたりまえだそうですから、もっと保証料率が上がってしまうと、日本は先進国でなくなってしまうかもしれません(笑)。

というのは冗談ですが、保証料率が上がることは国の財務が信用出来ないということですから、決してよくありません。

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アメリカとドイツ

米国は一応債務上限の引き上げ問題は解決しましたが、財務が悪化していることが嫌がられたようです。

ちなみにアメリカはリーマン・ショックのときに景気をよくするためにお金を使いましたし、イラクやアフガニスタンでも戦費がかかりました。

今後は借金を多く増やすことはできないでしょうから、アメリカも思い切った景気刺激策はとれないでしょう。

一方のドイツは記事にあるように借金も少ないですが、それでも財政再建を進めているそうです。日本も見習ったほうがよいのでは?

次に格付けとCDSの関係について。格付けが同じでも、その中でCDSの保証料率にはけっこう差があるんですね。ということは、CDSの保証料率をチェックしたほうが、より細かい信用力の差がわかるといえそうです。


日本が中国に抜かれた

さて、日本が中国を下回りました。先日中国のGDPが日本を抜いて2位になりましたが、経済規模も信用力も中国を下回ったことになります。

経済立国の日本として、これは見過ごしてはいけないと思います。

以前に日経新聞に書いてあったのですが、日本は最近までグーグルやBing(マイクロソフト)のようなロボット検索エンジンをつくれなかったそうです。

なぜかといえば、「著作権法」違反だからだそうです。私はおかしいと思います。検索エンジンはインターネット上の著作物を整理して、有用な順にランク付けしているだけです。

こんなおかしな規制があったせいで、検索エンジンのシェアはグーグルとそれを採用したYahoo!で国内の9割を占めています。

日本で情報を検索しようと思ったら、外国のエンジンしか使えないのです。日本はこんな無駄な規制のせいで大きな市場を逃すようでは、経済は衰退してしまうと思います。

ちなみに中国ではバイドゥ(百度)、韓国はNaverという独自の検索エンジンを持っています。日本は遅れています。

話がそれてしまいましたが、このままでは日本経済がどんどん凋落してしまいそうです。がんばらないといけませんね。

さて、日本はGDP比で200%もの累積債務残高、つまり借金があります。中国は17%ですか。

まあ、中国もこれから国民全体の生活レベルが上がっていけば、政治にお金がかかるようになって歳出が増えるでしょう。一方で一人っ子政策の影響もあって中国経済の成長も鈍化すると見られています。

そうなると、さながら高度経済成長の終わった日本のように財政は悪くなるかもしれません。

それでも、しばらく中国の快進撃は続きそうです。


日本の財政問題

問題は日本の財政問題です。日本国債は国内で94%を消化できているから大丈夫という意見もありますが、疑問です。

なぜなら、国債を買う原資となる国民の金融資産が債務残高を今にも追い抜きそうだからです。すでに追い抜いたという報道もありました。

そうなると、もう多くの国債を銀行などが引き受けるわけには行かなくなります。

すると、新たに赤字国債を発行して火の車財政を続けるのは不可能になります。

国内消化ができなくなれば、海外投資家に買ってもらうか、借金をしない財政にするしかありません。


金利が上がると

そして、赤字国債を発行すればするほど、利子負担がきつくなります。借金の元本が増えるからです。

その上に国内で国債の消化が難しいとなれば、財政破綻を懸念して金利が一気に上がる危険性があります。

すると、国債利払い費も急増し、ただでさえ43兆円ほどの国債発行でしのいでいる予算を大きく圧迫します。下手をすると国の機能が一部止まるかもしれません。

金利が急騰すれば、企業の資金調達などにも影響が出ますし、既発国債の値下がりによって銀行など金融機関の損失も出ます。

というわけで、CDSの日本の保証料率が上がったのは、市場が日本の財政を危ぶんでいるシグナルですから、今のうちに対策をとらないといけないと思います。

なお、財政再建には増税が不可欠だと思います。もちろん政治の無駄をなくして歳出削減に取り組むのも必要ですが。

増税については、景気を冷え込ませて税収を減らすから逆効果という説もありますが、私はそうは思っていません。

経団連の米倉会長もおっしゃっていましたが、増税をしてもそれを疲弊している年金や医療などの社会保障の整備に充てれば、国民の安心度が格段に高くなります。

今は国民も(私も含めて)年金や医療、介護などの社会保障制度に危機感を感じているはずです。例えば将来本当に年金がもらえるのか、健康保険制度は破綻するのではないか、というようにです。

まあ、年金が消える国ですから心配ももっともです。

その点、きちんと財源が確保されて社会保障が持続可能なものに生まれ変われば、老後などのために貯蓄していた分を他に回すことができます。

具体的には消費と投資です。


日本がデフレから脱却できない理由

今、日本はデフレーションから脱却できていません。私はその背景には、国民が年金などを信頼できないから、消費を増やせないことがあるのだと思っています(小黒一正氏の受け売りですが)。

日経平均株価もかなり下がっていますが、過度の円高という原因はあるにせよ、国民のお金が投資に回らないことも理由だと思っています。

そこで、消費税を軸に増税をします。そして予算のムダを省き、世代間格差も是正できるようにした社会保障制度を構築すれば、国民は安心して暮らすことができます。

そうすれば国民が貯蓄に回していたお金を消費や投資に回せます。その結果、経済は上向いてデフレからも脱却し、株安も収まると思います。

そうなれば企業も設備投資や研究開発を活発化させ、それがさらに消費を増やすという好循環になるでしょう。

もう一つ、国が国債発行を増やしすぎて、毎年10兆円ほどが国債の利払い費に充てられているというのはおかしいです。

利払い費は国債を買っている人に支払われるので、国民みんなの利益にはなりません。税金が利払い費に使われているのにです。

税金はみんなが払っているのですから、国債の利払いに使うのではなく、国民のために使われるべきです。そのためには財政再建で赤字国債を減らすことです。

CDSの保証料率が高くなっている国を見ると、日本も他人事は思えません。

増税には反対も多いでしょうが、それでは増税をせずに赤字国債を発行し続ければどうなるでしょう。そのうちに国債の引き受け手はいなくなり、金利は急上昇して、金融機関に大ダメージを与えます。

そうなれば経済は混乱して、景気をよくして税収を増やすどころではありません。

野田佳彦首相は消費税率を10%に引き上げることを表明しています。おそらく10%では膨れ上がった借金を減らすにはまだまだ不十分ですが、今こそ財政再建に取り組まないと、手遅れになると思います。

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