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TPPとは、メリットとデメリット、参加すべきか

TPPとは、メリットとデメリット、参加すべきか

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(読売新聞11/10/23から引用)(TPPとは)太平洋を囲む国々が、互いに工業製品や農産物を輸入する際にかける関税をなくしたり、国境を超えた人の移動や投資をしやすくしたりして、経済の結びつきを強めようというものだ。
(中略)2006年にシンガポールとチリ、ブルネイ、ニュージーランドの4か国が作った自由貿易圏が母体。
その後、米国やオーストラリアなど5か国が相次いで参加を表明し、10年10月からは9か国でルールについての交渉を行なっている。
貿易を自由化する国や地域間の取り決めは、一般的には自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)と呼ばれる。
(中略)日本は、これまでに東南アジア諸国連合(ASEAN)やメキシコなど13か国・地域とFTAやEPAを結んでいる。ただ、輸入を自由化すると生産者が大きな打撃を受けるコメなどの品目は例外と認められ、関税が残っている。
これに対し、TPPは参加国が原則としてすべての輸入品の関税をゼロにしようというのが最大の特徴だ。高いレベルの市場開放を目指している。
関税以外にも、海賊版の取り締まりなど知的財産の保護や、金融サービスの相手国への進出をしやすくする取り決めなど、計21の分野でルール作りを始めている。
自動車や家電製品の輸出で日本の強力なライバルとなっている韓国は、欧州連合(EU)や米国と相次いでFTAを結んでいる。
他国との貿易を自由化していく取り組みでは、日本の先を行っている。世界の主要な市場である欧州や米国で韓国製品にかかる関税がなくなれば、日本の製品はさらに不利になる。産業界の危機感は強い。
政府与党の中には、関税を原則すべてゼロにするなど条件が厳しいTPPより、韓国のように米国と2か国での交渉を検討すべきだとの意見がある。
(中略)米国は、オバマ大統領が09年にTPPへの参加を表明した。失業率がなかなか下がらないため、輸出を増やして経済を立て直すことが最大の狙いだ。
一方、アジア太平洋地域で、米国がリーダーとなる結びつきの強い経済圏を作ることで、存在感が増している中国をけん制する目的もある。
日本も加われば、世界1位、3位の国内総生産(GDP)の規模を持つ国が集まる強力な経済圏ができることになる。
恩恵は:日本企業の輸出が増えると期待される。(中略)日本の国内市場は少子高齢化でこれから伸びが見込めないため、日本企業はアジアを始めとする海外で稼ごうとしており、これを後押しできる。
(中略)海外進出を目指す中小企業にも利点がある。輸出の際に必要な通関手続きは相手の国ごとに違うため面倒で、従業員の少ない中小企業には負担が大きい。
TPPでは域内の通関手続きが簡単になる見込みで、製品を売り込みやすくなる。
日本の消費者にも恩恵がある。日本が関税をかけているため高くなった食料品などが安くなるためだ。(中略)
日本では、輸出で稼ぐ企業が円高で苦しんでいる。法人税も高いため、工場の生産を海外に移す例が増えている。これが続けば、「産業の空洞化」が進み、国内の雇用も減る。
TPPに参加すれば、空洞化を抑えることができる。日本に進出する海外企業が増えて、新たな雇用を生み出してくれる可能性もある。
経済産業省は、TPPに参加しなければ、自動車、機械、電気電子の主要3業種の年間の生産額が、20年に10.5兆円押し下げられると試算している。
(中略。農業について)関税がゼロになれば一気に安い輸入品が入ってきて、国内の農産物が売れなくなって農家が困ってしまう。
(中略)日本の農業は零細農家が多く、1戸あたりの農地面積が狭いため、生産の効率が低い。(中略)輸入品との競争に耐えられるよう、日本の農業を強化していくことが欠かせない。
政府は月内に、農業改革の基本方針と行動計画を正式に決める。TPPへの参加を視野に、農産物が値下がりしたときに国が穴埋めして農家を保護するやり方をさらに広げることも検討する見通しだ。
(中略)市場開放が求められる金融サービスでは、国が関与するゆうちょ銀行やかんぽ生命保険をもつ郵政事業が、問題視される可能性がある。
工場などで働く単純労働者の受け入れも懸念されているが、これは誤解で、TPPの交渉ではテーマになっていないようだ。
一方、TPPは関税をなくすのが原則だが、交渉の中で、例外が認められる可能性も残っている。(中略)

最近話題になっているTPP。賛否両論あって、結局参加すべきなのかどうかがわからなかったので、とても参考になる記事でした。

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まずTPPとは、Trans-Pacific Partnershipの略だそうです。

国は他国から安い輸出品などが入ってくると、自国の産業が不利になってしまいます。そこで、産業保護のために関税をかけます。TPPはその関税を原則撤廃したり、いろんな分野で自由な競争ができるようにして、互いに経済を活発にしましょうというわけです。

日本経済新聞11/10/22によると、現在TPPを交渉中なのは、シンガポール、オーストラリア、アメリカ、ペルー、ベトナム、マレーシア、チリ、ニュージーランド、ブルネイです。

日本はペルー、チリとはEPAを締結しています。EUとはEPAの予備交渉中です。韓国とはEPAの交渉再開を検討中です。

一方、おとなりの韓国は、アメリカと先日FTAを結ぶことになります。EUともFTAが発効しています。

確かにこのままでは、韓国に先をこされてしまいますね。アメリカでは韓国製の自動車が人気と聞いていますから、輸出立国の日本としては危機を感じます。


FTAとEPA

FTAとEPAの違いがよくわからなかったのですが、FTAは関税や輸入の制限などをなくしたり、引き下げたりするものだそうです。

一方、EPAはそれに加えて、投資や金融、人の行き来などの分野でも規制を減らして、自由に競争しようというものです。

そして、TPPもEPAです。

今回のTPPでも、幅広い分野で日本への影響があります。たとえば公共事業では、海外の企業も参入しやすくなります。

金融でも自由化が行われ、日本の銀行などが海外進出しやすくなります。

なお、TPP反対派からは、医療に対する懸念が言われていますが、医療分野は交渉のテーマになっていません。

ただ、それでも今後、医療がテーマに加えられて、国民皆保険が崩壊したり、営利を目的とする株式会社が医療に参入するかもしれないという懸念はあるようです。


海賊版の取り締まりなど

こうしてみると、交渉する分野がいろいろあるだけに、確かに参加すべきかどうなのか判断するのが難しいですね。

まず、原則として関税が撤廃されるということは、コメも関税がなくなってしまうかもしれません。現在、コメの関税は778%、小麦も252%です。

関税がなくなれば、海外から安い米が大量に入ってきて、日本のコメ農家が困ってしまうことは十分にありえます。

一方、海賊版の取り締まりが強化されるのは歓迎すべきことです。日本はゲーム、映画、アニメなどのコンテンツ産業が強いので、これらの違法なコピーがなくなれば、コンテンツ産業に追い風となります。

また、アニメやマンガなどの市場開拓はまだまだ可能でしょうから、日本にとって有利な分野です。

日本の知的財産保護も進みますから、バイオ産業やハイテク産業などの特許などをもっと海外で生かせるようになりそうです。日本ではiPS細胞によって脊髄損傷などの難病を治療するための研究が進められていますから、これも追い風になることを望みます。


米国とのFTA

ところで、TPPは日本農業などへの打撃が大きいおそれがあるので、TPPではなく、アメリカとFTAを締結すればいいじゃないかという声もあります。ただ、アメリカは日本にTPPに参加して欲しいようです。

確かに、TPP参加9か国としては、GDPが3位(中国に抜かれた)の日本が参加すれば、強力な経済圏にすることができます。そうすれば、さらに多くの国がTPPに参加するようになるかもしれません。

また、台頭する中国に対抗するという点も、中国に押されがちな日本にとって重要だと思います。日本は防衛面でもアメリカは最重要パートナーですから、日米が経済でも緊密な関係にあることは大切なはずです。

もちろん、日本もアメリカに言うべきことは言うべきだと思いますが、中国は南沙諸島を巡っても各国と衝突しています。やはり日米関係を強化する意味でも、TPPは意味がありそうです。


TPP参加のメリット

一番のメリットは、やはり輸出が増えるということです。日本は今のところ経常黒字の貿易立国ですから、これは大きな長所です。

具体的には、関税がなくなれば、今よりも安い値段で外国で日本製品を売ることができます。引用記事に高関税品目が紹介されていますが、たとえばアメリカのタバコは関税が350%、トラックは25%です。

今のままでは日本のたばこは高くて売れないでしょうが、もし関税がなくなれば対等に競争できます。ということは、JTや日本のたばこ農家にはチャンスです。

こうしたことを考えると、農業にも悪い面だけでなく、チャンスもあるといえますね。

日本の主要産業である自動車にも、恩恵は大きいです。先ほどアメリカのトラックの関税は25%とご紹介しましたが、他にもオーストラリアは自動車が5%、ベトナムでは二輪車が90%、乗用車が83%です。マレーシアでは乗用車が25%です。

このような国で日本の高品質な自動車を販売するチャンスは一気に増えそうです。現に、日本とEPAを結んだメキシコでは、日本車のシェアが10%ほど増えたそうです。

中小企業にとってもメリットがありそうです。TPP参加国での通関手続きが簡単になるので、中小企業でも輸出が容易になるからです。アメリカとのFTAを締結するだけでは、こうしたメリットはありません。

なお、農業へのダメージは私も心配していますが、このように輸出が容易になれば、日本で作った高品質な野菜や果物などを、海外で売ることもできます。

たとえば日本のコメですが、アメリカのカリフォルニア米などとはやはり味などが違います。そのため、海外から外米が入ってきても、あまり売れないのではないかと思います。

ただ、時間が経てば海外で日本で売れるようなコメをつくる人が出てくるかもしれませんが、逆に日本のうまいコメを海外で広めて、売るという戦略もあります。

日本の農家は大規模にやっているところは少なく、その点は確かに不利です。しかし、一方で中小企業でも容易に輸出が可能になれば、チャンスも増えるはずです。

消費者にとっては、海外製品や海外の食べ物を安い値段で買えるようになります。食物の安全は確保されるのかという懸念もありますが、それはTPPとは別問題だと思います。


日本の経済発展につながるか

現在、日本の経済は苦境に置かれています。75円台まで来た円高で輸出で稼ぐ企業は利益が減ってしまっています。円高を阻止するにしても、日銀にはあと7兆円規模の為替介入を3回するだけの資金しか残っていません。

円高の主因がユーロ圏の債務危機であり、それも管理デフォルトやEUがギリシャにお金を貸すことなどで決着するかとおもいきや、ギリシャの首相が国民投票をすると言い出しました。

これには国民投票で勝つことで、まとまらない与野党をまとめるという理由があるそうです。しかし、国民投票で可決されるか不透明で、否決された場合にはギリシャがユーロ圏を離脱するかもしれないそうです。

そのため、欧州債務危機はまだ収まりそうにありません。

また、円高についてはアメリカなどは自国通貨が安いほうが輸出に有利なので、是正に協力してくれそうにありません。つまり、円高を食い止めるのは難しそうです。

日本は法人税も高いです。先進国中トップクラスの高さです。そのため経済界からは法人税引き下げが求められており、政府与党も5%下げを決めました。

しかし、それでも他国より高めの水準ですし、東日本大震災の復興財源を確保するために見送られました。

そういうことがあって、企業は生産拠点などを海外に移しています。海外のほうが人件費が格段に安く、土地などのコストも低いですから、これは仕方が無いでしょう。

どの企業も厳しいグローバルな競争を勝ち抜かなければいけないのですから。


産業の空洞化

ただ、一方で国内の雇用は減り、それによってお金が回らず、その他の産業にも悪影響が及んでいます。産業の空洞化です。

TPPに参加すると産業の空洞化が防げると引用記事にあります。

この点を考えてみましょう。まず、工場を海外に移転している企業が、TPP参加によって日本に生産拠点を戻すというのはちょっと考えにくいと思います。

海外に移転している一番の問題は人件費などのコストですが、TPPで国内のコストが下がるとは思えないからです。

ただ、生産が海外に移転→雇用が減り、賃金も減る→お金が回らなくなり、他のお店なども不況になる、といういわゆる空洞化ドミノはある程度、止められるはずです。

まず、現在も国内で生産している自動車や精密な技術の必要な製品などについては、外国への輸出が増えますから有利になります。

また、サービス業は越境サービスを展開しやすくなるので、海外に討って出ることができます。内需に頼らない経営ができます。

中小企業も前述のように輸出がしやすくなります。

たとえば、日本の食事の美味しさは世界一といわれます。そして、ある会社が冷凍食品を作っているとして、内需が伸びずに苦しんでいるとします。

そこでこの会社が、おいしく加工した冷凍おかずなどを海外に輸出すれば、外国でも売れるでしょう。味のおいしさはなかなか外国の他社がまねできないはずです。

こうした外需を取り込むことが、中小企業でも容易になります。

日本国民は一般に勤勉で、器用で、創意工夫が得意です。かわいいデザインなどは海外でも人気を集めています。こうした長所を活かせるチャンスだと思います。


農業への影響

一方、もっとも懸念されるのが農業への影響です。小麦は大部分を輸入に頼っていますが、これほど高い関税をかけているとは知りませんでした。

もし関税が0になれば、パンなどが安くつくれるようになります。一方で、海外産の安い農産物に日本の農産物が負けてしまうおそれは多分にあります。

農林水産省は、農業と食品加工業などで340万人の失業が生まれてしまうと試算しているそうです。

ただ、日経によると、これは全世界で、日本の農産物への関税を0にした場合の試算だそうです。ということは、TPPでの影響はもっと少ないはずです。

それから、この試算には、日本の農業も海外で攻めの経営ができるようになることで生じるプラスは含まれているんでしょうか?

コメについても、現在は海外の農家で日本人向けのコメをつくっているところは極少数です。

もちろん日本の農業への悪影響はなるべくなくさないといけません。ただ、それでは小規模農家が多く、担い手は高齢化が進んでいる今の農業のままで、日本の農業は発展するのでしょうか。

やはり、TPPへの参加は別にしても、農地を集約して効率的に生産できるようにしたり、会社組織が参入しやすいようにすることは必要だと思います。

ただ、農家の方が「先祖伝来の農地を手放したくない」というお気持ちはよくわかります。そこで、最近も制度が整備されつつあるようですが、会社や農業法人などに農地を賃貸して、農家が賃料を得られる仕組みが必要だと思います。

これなら、期限が来れば、田畑が戻ってきます。

それから、バイオエタノールなどのバイオ燃料は、これからかなり有望な分野だと思います。現在では埼玉県ほどの面積の農地が遊休地になってしまっていますが、これは本当にもったいないです。

バイオ燃料の原料や、日本ならではの高品質なくだものなどを生産し、あるいはおいしく加工して海外で販売するのはどうでしょうか。

ただ、それでも日本の農業へのダメージがあるのなら、一生懸命生産などに取り組んでいる農家や法人には、国が一定期間補助金を出すなどの対策は必要だと思います。

農業は大変な仕事で、なかなか休むこともできないと思います。後継者も少ないです。そこで、できる限り農地を集約化する。農業は大規模農家や法人がなるべく運営する一方で、農家はそこに農地を貸して賃料を得る。

集約化に向かない傾斜地の農地などでは、バイオ燃料の原料をつくる。おいしい日本の農作物を海外で販売する。会社や法人であれば、従業員は交代で休暇も取れる。農業の担い手が増える。

こうして強い農業を目指さないと、なかなか日本の農業をよくするのは難しいと思います。


金融など

金融についても市場開放が求められることになります。これは私は基本的に歓迎しています。郵政事業について問題視されそうですが、もともと官が民業圧迫していたのがおかしい気もします。

日本の銀行や証券会社などが海外に進出しやすくなりますし、利用者にとっても国内外の銀行などからよさそうなところを選べるようになります。

ただ、医療などの保険については私ももっと勉強したいと思います。


結論

私の考えとしては、TPPに参加すべきだと思います。メリットとデメリットがあって難しいのですが、たとえばコメの関税などでは、例外が認められる可能性もあるそうです。

交渉すべきはしっかり交渉すべきです。

ただ、やはりグローバル経済の中で国土も狭く、資源も少なく、近いうちに貿易黒字もなくなってしまうと言われている日本が経済立国として勝ち抜いていくためには、TPPに参加して、外国と対等な立場で競争していくしか道はないと思います。

たとえば韓国は、アメリカともEUともFTAを結んでいます。このままでは関税がかかる分高い日本車より、韓国車が有利になってしまうでしょう。

日本はバイオテクノロジー、自動車、太陽光発電などの環境技術などがあります。こうした技術を有効に活用するためにも、早いうちにTPPに参加して、交渉すべきだと思います。

今なら、TPP参加国もGDP3位の日本に参加してもらいたいので、日本は交渉を有利に進められるでしょう。しかし、参加が遅れて、すでに他の国も多く参加した後で日本が参加するといっても、「あ、そう。もうTPPは大きくなったから、参加したければしてもいいよ」とあしらわれるかもしれません。

やはり仕組みはつくった側が有利です。

なお、農業への打撃については、私も心配はしています。私も以前から日本の食料自給率はとても低いので、気象の異変などによって輸入ができなくなれば、食糧危機になってしまうと思っていました。

ただ、かといって日本の農業をこのままにしておいても、自給率が増えるとも思えないのです。外国で日本の農産物が売れるようになれば、農家もやる気が出てどんどん生産に励むようになると思います。

そうすれば耕作放棄地も減って、生産量が増えるはずです。また、バイオ燃料の原料も生産すれば、エネルギー自給率も上がります。


財政問題解決のためにも

もう一つ、私が懸念しているのが日本の財政問題です。国と地方の長期債務は900兆円近くもあります。現在問題となっているギリシャよりもはるかに大規模な問題です。

このまま財政悪化を放置すれば、金利が急上昇して国債のデフォルトにつながりかねません。それでは財政再建をするにはどうしたらよいかを考えますと、増税や社会保障制度の整備は欠かせないと思います。

ただ、それだけではなく、今後も貿易立国として外貨を獲得して、国の借金返済に充てていくべきだと思うのです。そのためには、強い競争力を維持するために、他国と対等に戦えるTPPに参加するべきだと思います。

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