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TPPの輸出などへの影響と、農業などへのデメリットを考える

TPPの輸出などへの影響と、農業などへのデメリットを考える

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(読売新聞11/11/9から引用)ペルーでは、課税当局と税務当局で課税品目の分類が異なり、不当に高い関税が課せられることがある。
途上国では、税関の担当者によってルールが変わるなど手続きが不明確で、書類を現地語で書くように強いられるケースも多い。
共通ルールができれば手続きも簡単になり、輸出を伸ばすきっかけになる。特に人手が少ない中小企業には、かなりの負担増になる。
(中略)ベトナムでは、商標を侵害した二輪車が交通運輸省で車両登録でき、規制当局も知的財産権の侵害に対する強制捜査に二の足を踏んでいる。
チリでも偽ブランド品が横行し、正規品の販売が減っている。
(中略)日本政府も、TPP交渉で混合診療の解禁が議論される可能性は認めているが、「議論になっても、国民皆保険の仕組みは維持し、必要な医療を確保していく」と説明している。
これまで日本が他国と結んできた自由貿易協定(FTA)で公的医療保険制度がとり上げられたことはなく、直ちにTPP交渉の焦点になる可能性は小さい。
「米国は医療用医薬品の価格の決め方を国内外企業で公平にするルールを求め、公的薬価制度が改悪される」との主張もあるが、米豪FTAでは豪州は米国の要求を受け入れず、制度の根幹を変えていない。
(日本郵政グループの業務拡大をしないようにアメリカが求めてくる可能性について)日本政府は、「追加的な約束を求められる場合には慎重な検討が必要だ」としている。
ただ、TPP交渉には多くの国営企業を持つベトナムなどが参加しており、米国の要求がすんなり通るとは考えにくい。
TPPには、投資家や海外企業が投資先の国の政策によって被害を受けた時、投資先の国に巨額の賠償を求めることができる取り決め(ISDS条項)が盛り込まれる可能性がある。
反対派は「外国企業が日本政府を次々と訴え、政策をねじ曲げる」と心配する。
ただ、この条項で賠償請求できるのは、海外の投資先を不当に差別した場合などだけだ。逆に海外進出を計画する日本企業は、この条項があれば安心して海外投資ができる。
(中略)外務省幹部は「TPPには、地域に質の高い貿易、投資ルールを確立し、中国が勝手なことをできないようにする狙いがある」と語る。(以下略)

先日、ついに野田佳彦総理がTPP協議への参加を表明しましたね。ちなみに野田さん、TPPや消費税上げなど難しい課題に取り組む姿勢は私は評価していますが、やはり情報発信は足りないと思います。

これまでの総理大臣のように失言をして内閣支持率が下がるという失敗の轍を踏まないという目的はわかります。

しかし、TPPに関しても、もっとぶら下がり(記者の前で質問に答える)などを行なって、なぜTPPに参加しなければいけないのかというお考えを語ってくださらないと、国民には伝わらないと思います。

さて、そのTPPですが、確かにメリットとデメリットがいろいろあります。もう一度そのあたりを考えてみます。


輸出しやすくなる

引用記事にはペルーの例が載っています。役所によって同じ品でも関税が違う、というのは困りますね。

企業はこの関税なら利益が出るとか、他社に勝てると考えて競争に参加しているのですから、不当に関税が高くなってしまっては、赤字にもなりかねません。

その点、TPPによって参加国共通のルールが整備されれば、そういうことはなくなります。

また、税関での書類手続きなどが簡素化されるのもよいと思います。日本は少子高齢化が進み、製造業が工場を海外に移転しています。

その結果、国内の需要が減っています。そうすると海外に進出して外需を取り込みたいところですが、中小企業にはそうするだけの人手も資金も十分でないところが多いはずです。

これは本当にもったいないですね。東京の大田区には中小の工場が多くあるそうですが、せっかく世界に誇れる技術を持っている企業が、後継者不足で泣く泣く廃業してしまうことが多いと聞いています。

その点、中小企業でも輸出が簡単にできるようになれば、高品質を生かして外需を取り込むことができます。そうすれば、せっかくの技術を生かし続けることができるのではないでしょうか。

やはりTPPは、成長を続けるアジア諸国などで、外需を取り込むというのが一番のメリットになると思います。

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知的財産権

知的財産権保護の取り組みも重要だと思います。ベトナムでは商標違反の二輪車も堂々と乗ることができるんですね…。これでは高品質の日本の二輪車と、偽物とが混同されて日本製のイメージが悪くなってしまうこともありそうです。

これが厳しく取り締まられれば、日本のメーカーには大きなチャンスになるはずです。パソコンソフトやゲームソフト、DVDなども違法コピーが大きな問題になっていますが、コンテンツ産業に強い日本には追い風になると思います。

その他、政府調達については日本の建設業者などが外国の公共事業に参入しやすくなります。

旅行業界も、日本独自の風景などをもっと外国で売り込みやすくなるでしょう。旅行者が増えれば、おみやげや宿泊などの需要も増えます。

金融については、日本の銀行や証券会社などが海外に進出しやすくなります。特にベトナムなどこれから経済成長が見込めそうですから、現地の株式を扱ったりすれば需要は多いと思います。

環境技術も、むやみに自国企業に有利にすることを禁じるので、日本の高い技術を海外で売り込みやすくなるでしょう。

日本は資源に乏しく、国土も狭いですから、自然エネルギーなどの技術はますます重要になると思います。また、日本でもそうでしたが、高度経済成長をしている国は環境への悪影響が出がちです。

そこで、日本の環境技術を他国でも生かせればよいと思います。


医療などへのデメリット

次にデメリットです。まず医療については、混合診療が全面的に解禁されて、国民皆保険制度が崩壊することが心配されています。

混合診療については賛否両論で、正直なところ私はどちらがよいのかわかりません。ただ、日本としては国民皆保険制度は譲れないと主張すべきですし、日米だけの交渉ではなくいろんな国の交渉になりますから、アメリカの主張がすんなり通るとは思えません。

また、これを機に、財政が心配されている健康保険は制度を整備すべきだと思います。つまり歳出の抑制と財源の確保です。

郵政民営化については、官が民業を圧迫しているのはおかしいような気がします。郵便事業が苦戦しているのは知っていますが、郵便物の利用が減ってしまっているのなら、全国一律の料金を見直すなどして、本当の民間サービスになるのも仕方がないと思います。

ISDS条項については詳しく知りませんが、これを大きな問題だと考えている有識者も少なくないようです。ただ、この条項も各国に適用されますし、海外の投資先を不当に差別した場合などに限られるそうです。

ということは、日本企業も海外に進出したときに不当に差別されたりすれば、堂々と損害賠償を請求できるわけです。


農業

一番心配されているのは、やはり農業です。私も日本の農業や畜産業は守って行かないといけないと思います。ただ、TPPの参加は別としても、やはり農業の効率化は進めていかないといけないでしょう。

具体的には農地の集約、法人を増やして担い手を増やすなどです。先祖代々の農地を手放したくない方も、期限を決めて農業法人などに農地を賃貸するようにします。

農業はいろんな規制が多く、新規参入しにくいと聞いていますが、それは是正する必要があると思います。

TPPに参加すれば安い外国産の果物などが入ってくるのはその通りでしょう。しかし、例えば桃やメロンなどは、日本のものよりおいしいものはないのではないでしょうか。

聞くところによると、いちごも米国で売られているのはすっぱくてあまりおいしくないそうです。日本のおいしい作物を簡単に海外に輸出できるようになれば、十分に外需を取り込むこともできるはずです。

農産物への安全基準が甘くなって、安全でない食べ物が入ってくるという懸念もありますが、安全基準の緩和は議論されていません。安全でないものは輸入できないようにすればよいと思います。

日本の無農薬や減農薬の作物は海外でも魅力的だと思います。私も遺伝子組換え技術は安全だと言い切れないので反対です。その点、安全な食べ物はどこの国でもニーズがあるはずです。

ただ、確かに広大な農場で大きなスプリンクラーを回して作物を作るアメリカなどには、狭い国土の日本ではコストの面でかなわない作物もあると思います。

畜産でも北海道以外は厳しいという声もあります。そうした分野には、税金で補助金を出すなどの手当が必要だと思います。


中国との関係

日本がTPP交渉への参加を表明した後、カナダとメキシコも参加を表明しました。両国はアメリカとNAFTAを結んでいます。

このままいけば、TPPはかなり大きな自由貿易圏になりそうです。

政府は表には出していませんが、やはり安全保障というのもTPP参加の狙いの一つのようです。

ヨーロッパでEUが発足したのは、第一次、第二次世界大戦でヨーロッパが戦火に見舞われた歴史を繰り返さないためだと聞いています。各国で連携することで、戦争の悲劇を繰り返さないようにするということです。

実際、経済で緊密な関係のある国同士は、戦争になりにくいはずです。互いに利益を得ているからです。

その点、おとなりの中国は軍事力を増強させていますし、知的財産の保護もおざなりです。日本のみでなく東南アジアの各国とも南沙諸島を巡って対立しています。

TPPによって大きな経済圏を作ることは、参加各国の連携を深め、地域の平和にも貢献すると思います。

中国もTPPが気になっているようですが、知的財産などのルールを守れば、どの国でも参加できるはずです。TPPは中国が変わっていくきっかけになるかもしれません。

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コメント

  • あほで、遊んでばかりいる、機械化が進んで暇な日本の農民共
    を、なんで護送船団は、既得権にしがみつく余り、守ってばか
    りいるのかね。工業生産従事者と農家の、100年続く格差を、
    いいかげんに、日本は是正しろよ。

    >私も日本の農業や畜産業は守って行かないといけないと思います。

    2011年11月16日 10:33 AM | 匿名

  • なかなか強烈なご意見ですねw
    私も農業には不必要な規制が多く、もっと効率的で強いものに
    していかないといけないと思います。

    ただ、農業は作物によって違うとは思いますが、かなりの重労働だと聞いています。
    遊んでばかりで暇という事はないと思いますよ。

    思うに、市場開放の流れの中で日本だけが取り残されれば、日本の農業に
    とってもマイナスにしかならないと思います。

    しかし、国土が狭く集約が難しいという違いはありますから、努力しても競争に
    勝てない品目の農家や畜産家の方には一定の支援は必要だと
    思ったのです。

    おっしゃるように護送船団方式で保護しているだけでは、その産業は
    弱くなっても強くはならないと思います。

    2011年11月16日 11:02 AM | いぬはちろう(管理人)

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