ホーム » 経済解説 »

TPPの農業や経済への影響と、日本は将来に向けて何をすべきか

TPPの農業や経済への影響と、日本は将来に向けて何をすべきか

スポンサード リンク

Pocket

(日本経済新聞11/11/4から引用)(TPPについて)「関税撤廃で現在813万トンの国内の主食用米の9割が海外産に置き換わる」とする(農林水産省の)試算にも、現実にそぐわないとの声がある。
米国の1千万トンのコメ生産量のうち、日本で食べる短粒種は20万トン程度、豪州は全体でもコメを10万トンしか生産していないからだ。
(中略)中立的な立場から内閣府が提示した試算は「10年後の実質GDPは2.7兆円押し上げられる」。
(中略)日本の経済規模(約500兆円)と比べると必ずしも推進派を満足させる数字ではないが、試算は関税撤廃の効果だけで、アジアの今後の成長などを織り込んでいない。
試算を担当した野村證券の川崎研一氏は「投資環境の整備など関税以外の規制緩和も進めば、経済効果は何倍にも膨らむ」と話す。
(中略)韓国は相手国との交渉を通じ、国内農業への影響を最小限に抑える戦略をとっている。最も生産額が大きいコメはすべてのFTAで関税の撤廃、削除対象から除外。
対米FTAではリンゴやナシの関税撤廃に20年の長い時間をかける。
農業団体などからの反対論が消えたわけではない。ただ「市場開放の世界的な流れには逆らえない」(農林水産食品省の次官OB)との認識が広がり、「絶対反対」から被害補償や競争力強化支援の充実など現実的な要求に変わっている。

TPP(環太平洋経済連携協定)では、国内農業へのダメージが一番心配されています。それを考えてみたいと思います。

スポンサード リンク

コメについては、アメリカやオーストラリアでは日本で食べるような品種は少ししか栽培されていないようです。

そう考えると、確かに9割が外国産になるという試算は、極端な気がします。今後は外国でも日本向けのコメを生産するようになるかもしれませんが、気候も違いますし味や安全性など日本と同等のものが作れるのでしょうか。

また、日本のコメ農家が、中国などの富裕層向けに日本のコメを販売しているという話も聞いています。TPPでは中小企業でも海外への輸出がしやすくなりますから、日本のおいしいお米を海外の人に食べてもらえる機会も増えるのではないでしょうか。

農業には景観保全、環境保全などの意味合いもあり、市場原理だけで捉えるのはよくないとは私も思います。ただ、農業を産業として捉えた場合、これから少子高齢化で内需がしぼむのに、市場を開放しなくてよいのかという疑問も感じます。

日本が市場を閉ざしている間に、TPPやFTAに積極的に参加している国同士で農作物の貿易がさかんになれば、もう日本の農作物は外需を取り込むことはできないでしょう。

そう考えると、やはり国際的な市場開放の流れに乗り遅れるのはまずいと思います。


強い農業へ

農地を集約して大規模農家を増やしたり、日本独自のおいしい農産物を積極的に海外に販売したりする「攻めの農業」を進める一方で、農地を手放したくない方には農業法人などに農地を賃貸できるような制度を充実させるべきだと思います。

そうすれば、農地を貸す農家は賃料が得られます。農地も荒れません。期限が来れば農地は返ってきます。

農家の法人化が進めば、若い人で就農希望の人も農地や機械を買ったりする資金がなくても、農業をすることができます。交代で休暇も取れます。

それでも海外の安い農産物には勝てないと言う場合には、やはり税金から補助金を出すなどのバックアップが必要です。

ただ、私が思うのは日本はいろいろな食物のおいしさはおそらく世界一だということです。生産コストでは勝てなくても、おいしく加工することで外国で売ることもできるのではないか、と思います。

なお、一番心配されているコメについては、TPP参加各国にいくらかの関税撤廃の例外が認められる可能性もあります。たとえば米国とオーストラリアのFTAでも例外品目が認められています。

アメリカも砂糖などは保護したいようですし、コメも例外にできるかもしれません。


経済成長の効果はどれくらいか

日本の経済成長を促すのが主な目的のTPPですが、それではどれくらいの効果が見込めるのでしょうか。

10年後にGDPが2.7兆円押し上げられるという試算が紹介されています。これだけですと少ないようにも思えますが、これは関税撤廃だけの効果だそうです。

TPPはそれに加えて海外進出がしやすくなったり、輸出がしやすくなったり、投資も互いにしやすくなるなどのメリットがあります。それに、ベトナムなどのアジアは今後も成長が見込めます。

逆に言えば、アジア各国が成長しているときに、日本がTPPに参加しなければ、その成長を取り込めない恐れがあります。

ということで、もっと効果は大きくなるだろうと見こまれています。


農業への支援

たとえば大規模化を進める、独自の販売ルートを模索するなどの意欲的な農家や農業法人には支援が必要でしょう。

また、TPPに参加することで影響を受ける農家への支援も必要です。それには財源が必要ですが、TPPに参加してGDPを増やせれば、あるいは貿易黒字を増やせれば、税収が増えるので財源を確保できるでしょう。

一方、TPPに参加しなければ、GDPが大きく減るという経済産業省の試算もあります。少なくとも参加しなければ、韓国などにどんどん置いていかれてしまうでしょう。

農業についても、一律に戸別補償というのには疑問がありますし、そもそも財源がありません。TPPに参加しなければますます税収が減り、農家を支援する財源もなくなってしまうでしょう。


日本の将来に向けて何をすべきか考える

やはり、TPPに参加して日本の主要産業である自動車などの製造業を後押しし、海外でのシェアを伸ばせるようにし、日本の競争力を伸ばせるようにしないと、日本経済の未来はないと思います。

そうして税収を確保しつつ、社会保険制度を整備しなおし、無駄な歳出を減らし、増税をして、財政再建にも取り組むべきです。

そうして年金や医療制度が永続可能なものにして、広がる一方の世代間格差も是正します。そうすれば結婚したくてもできない若者も結婚でき、子どもも生まれます。少子高齢化の根本的な是正になります。

公的年金についても支給開始年齢を引き上げるだけでは、その間高齢者の生活ができなくなってしまいます。それよりも、消費税率上げなどによって正々堂々と財源を確保して、年金が信頼できるものに変えるべきです。

消費税率上げには景気を冷え込ませるという反対論もありますが、増税した分は多くを社会保障制度の整備に回し、あわせて社会保障関連予算を一般会計と分けます。そうすることで透明性を高めます。

また、消費税増税とあわせて国民共通番号を導入し、低所得者にはお金を給付する「給付付き税額控除」を導入します。こうすることで、所得格差が広がることを是正します。

こうしてTPP参加により経済成長を追求し、税収を増やします。一方で歳出削減と増税によって財政再建を行い、国を強くします。

年金などの社会保障の財源を確保することで国民が安心して暮らせるようになりますから、これまで将来に備えて貯蓄していたお金が消費に回り、内需も増やすことができます。

世代会計を導入することで、世代間格差を是正しますので、若者は未来に希望が持てるようになります。TPPによって経済成長も促していますし、消費の拡大で内需も増えていますから、雇用も増え、若者も就職しやすくなります。この辺りは小黒一正氏の受け売りです(笑)。

そうすれば生活も安定して、結婚してこどもを産む人も増えます。そうすれば少子高齢化を是正できます。

国にとって重要な防衛、安全保障についても、税収を増やしつつ財政再建を進めることで、必要な費用を確保します。そして、アメリカや太平洋地域の諸国と経済的な結びつきを強めることは、軍事増強を続ける国に対抗する力となります。

それはこの地域の安定化につながり、平和の基になるでしょう。現にシンガポールは、東アジアでのアメリカの経済的、軍事的プレゼンス(存在感)を安全保障の要と考えており、TPPの目的の一つもそこにあるそうです。

このように考えますと、TPPは文字通り日本の将来を決める重要なものだと思います。デメリットはなるべく小さくすべきですし、そのためには早めに交渉に参加して主張すべきです。

結論としては、経済成長のために、そして日本の将来のために、TPPに参加すべきだと思います。

それにしても、政治家の方々にはもっと日本の将来についてのビジョンを語ってもらいたいです。いろんな考えがあってよいんですし。野田さんもせっかくの演説上手なのですから、日本への熱い思いをもっと聞きたいなあ。

Pocket

サイトトップページへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)