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ファーストリテイリングの柳井正が語る日本経済の将来

ファーストリテイリングの柳井正が語る日本経済の将来

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(日本経済新聞11/11/2から引用、ファーストリテイリングの柳井正会長へのインタビュー)「ユニクロ」のグローバル化の目標は:売上高に占める海外の比率を、今の15%から2015年までに50%以上にする。
(中略)日本企業のグローバル対応をどうみるか:ものすごく遅れている。(中略)経済の国境はとうになく、グローバルな体制を取らない経営者は失格だ。
地方の繊維小売業だったわが社は外に出るしかなかったが、これからは規模や業種を問わず、どの企業も海外に出なければ生き残れない。
TPP(環太平洋経済連携協定)を巡る動きを見ていると、日本人は甘いな、と思う。交渉に入る前からあれはダメ、これはダメと言っていてどうするのか。
国を開く以外に成長の術はなく、成長しない国は沈没するしかない。
国内の産業が空洞化するという指摘もある:企業がつぶれたら雇用どころではない。勘違いしないで欲しいが、資源がない日本がそこそこの国でやって来られたのは、国際化した大企業が頑張ってきたからだ。
中国とインドにはあわせて30億人がおり、10年以内に欧米より厚い中産階級が生まれる。僕には「ゴールドラッシュ」にみえる。まだ日本には、ヒト、モノ、カネ、技術のすべてがある。
日本の膨大な借金を考えれば、今の円高が続くわけがない。円が暴落する前に手を打たないと、日本は2等国に成り下がる。(以下略)

ご存知ユニクロの柳井正会長です。私もユニクロを愛用していますが、デザインや品質がよく、おまけに低価格というのに驚きます。

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低価格の秘訣はいち早く海外生産に踏み切ったからです。海外なら人件費が安いですし、工場建設の土地代なども安くて済みます。

ファーストリテイリングはそれだけでなく、従業員に占める外国人の割合を増やし、海外出店も進め、社内公用語の英語化も進めています。

こうしてみると、同社は先進的な攻めの経営を続けているように思います。

それでは柳井さんのインタビューを見てみましょう。

まず、海外の売上高を50%以上にするというのには驚きました。アメリカでもヒートテックTシャツなどが好調とは聞いていましたが、やはり日本は少子高齢化で内需がしぼんでいくでしょう。

そこで外需をどんどん取り込まないといけないというお考えだと思います。


グローバル化を進める

日本人社員はTOEIC(トーイック)700点以上をとってもらう方針だそうです。同社で働く人は大変ですね。しかし、確かに語学力がないと、グローバルな企業展開は難しいでしょう。

私も英語は勉強しなければいけないと思っていますが、なかなか実行できません(笑)。最近ではとにかく使える英語を目指し、そのためには正しい発音に過度にこだわらない、どんどん英語を使う、単語数は最小限で、というグロービッシュも提唱されています。

ちなみにグロービッシュの本は私も何冊か読みました。どの本かは忘れましたが、日本人は発音にこだわりすぎると書いてありました。そのため萎縮して英語を話さないので上手くならないと。

これはそのとおりだと思いました。その本によれば、一部の外国での英語の訛りは日本人の英語よりもよっぽど聞き取りにくいそうです。

ファストリや楽天での英語公用化は批判もありました。しかし、日本が今後も経済大国として存在し続けるためには、こうした取り組みは必要だと思います。


経済成長は必要か

経営の神様、松下幸之助さんが昔、偉いお坊さんに「あなたは日本を物質的に豊かにしたが、心を貧しくした」という趣旨のことを言われたそうです。

しかし、これは松下さんだけが責められることではないと思います。太平洋戦争は、日本とアメリカの物資量の差が1:80だったと確か田原総一朗さんが書いておられました。

圧倒的な国力の差で日本は敗戦、国土は焦土と化しました。そこから日本人は持ち前の勤勉さで一生懸命働き、朝鮮戦争による特需もあって高度経済成長を成し遂げました。

その結果、日本は経済大国になったのです。

確かに、その反面で日本人の心は貧しくなったでしょう。しかし、国土が狭く、原油などの資源もない日本が世界に伍していくためには、経済立国として頑張るしかなかったと思います。

はっきり言えば、お金がなければ外国に相手にされず、国防すらままなりません。

ブータンのように経済的豊かさよりも心の豊かさを、というのは素晴らしい考えだと思います。しかし、日本の実情を考えれば、今後も経済成長を続けていくほかないと思うのです。


深刻な財政問題

その一番の理由は、柳井さんも触れておられますが、巨額の財政赤字です。日本の国と地方の債務残高は900兆円近くに達し、あと数年で赤字国債の国内消化はできなくなると見られています。

また、海外投資家が財務の危険な日本国債を買ってくれるとも思えません。すると、このまま増税せずに、歳出削減もせずに行けば、まともな予算が組めなくなります。

そうなれば国や地方の行政機能がまひして、経済も社会も大混乱に陥ってしまいます。

そうならないためには、財政再建を進めるしかありません。

財政再建をするためには、どうしても税収を増やすしかありません。そのためには、海外によい品物を輸出して外貨を稼ぐ必要があります。つまり、経済成長を続け、貿易立国として頑張っていかないと財政再建も難しいというわけです。


日本企業も海外に

日本が豊かさを維持し続けるためには、経済大国として頑張るしかないと思います。そのためには一つは、内需を拡大するという方法があります。

しかし、少子高齢化が進んでいるため、内需拡大は難しいです。もちろん、私が思うに消費税率上げと歳出削減を行い、年金や医療などの社会保障を整備するということは不可欠だと思います。

これにより財政や私達の生活に対する不安を取り除けば、過度の貯蓄が減って消費に回り、内需が拡大し、雇用も増えるというわけです。

ただ、これがうまく行くにはある程度の時間が必要でしょう。

そうすると、やはり外需を取り組んでいくというのは日本経済にとって必要です。そうでなくても各国は否応なくグローバル競争に巻き込まれています。

柳井さんのおっしゃるように、日本だけが内向きでは、海外に進出していく他国にどんどん負けてしまうでしょう。

TPP参加についても、国を開く以外に成長の術がないというのは本当だと思います。そうしなければ外需を取り込めないからです。

ベトナムなどの東南アジアでは今後、経済成長によって消費が拡大するでしょう。TPPに参加すれば、そうした国で関税、投資、知的所有権などの面で対等に競争ができます。

逆に、日本がTPPに参加しなければ、参加国よりも非常に不利な立場で戦わないといけません。ただでさえ法人税が高く、英語などの壁があって輸出しにくい日本企業にとっては致命的です。

TPPで農業などへの打撃が心配されています。マイナス面はあるでしょうが、大規模でない農家でも農産物を海外に輸出しやすくなるなどのプラス面もあるはずです。

そして、成長しない国は沈没するしかないというのもそのとおりだと思います。


これからの経済

ユニクロのように衣料品を海外で安く製造するということは、国内の製造業が仕事がなくなってしまうということでもあります。そのため、ファーストリテイリングも国内産業の空洞化を進めると批判されたことがあります。

しかし、柳井さんのおっしゃるように、企業がつぶれたら雇用どころではありません。グローバリゼーションの流れが止められない以上、国境を越えて安いところで生産するというやり方が加速するでしょう。

それに逆らって国内生産しても、結局コスト面で外国企業にかなわなくなり、その企業が倒産してしまうということになりかねません。そうなれば、結局国内の雇用は減ってしまいます。

中国やインドは人口が多く、経済発展も進んでいます。つまり日本企業にとっても大きなビジネスチャンスというわけです。やはり積極的に海外進出するしかなさそうです。

膨大な借金があるので円高が続くわけがないという点について。私も長期的には円相場は円安になると思います。国の借金が先進国中最悪ということは、日本という国が信頼性を失っているということです。

そして借金が今後も増え続ければ、どんどん信認が失われて、ソブリン(国の債務)リスクが増すということです。そうなれば、日本はいつ財政破綻するかわからず、信用出来ないということになり、通貨である円も価値を失うのです。

こうして考えますと、やはり日本はグローバル化に逆らうことはできず、逆に日本の勤勉さや技術を生かして、激しい国際競争の中で勝ち抜いていくしかないと思います。

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