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欧州債務危機による株離れとVIX指数

欧州債務危機による株離れとVIX指数

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(読売新聞11/10/5から引用)株式市場も、欧州危機による世界景気の減速懸念を背景に、4日のアジアの主要市場は軒並み下落した。
(中略)ユーロ安に加え、欧米やアジア経済の変調で輸出にブレーキがかかり、「輸出企業の業績下振れ懸念が強まり、株安に拍車を掛ける」(大手証券)との見方からだ。
一方、投資家の先行き不安を反映する指標とされる「恐怖指数(VIX指数)」に連動する上場投資信託(ETF)の売買が活発となっている。
相場の下落を見込んで保有株の損失を補う目的の投資家などが利用しているとみられ、4日の終値は400円高の1万6940円と、7月末(7350円)の約2.3倍に高騰した。
(中略)投資家は、値下がりの恐れがある株式を手放し、現金や国債に資金を振り向けている。(以下略)

ギリシャやイタリア、アイルランド、ポルトガル、スペインは財政がよくないので、PIIGSと呼ばれています。

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御存知の通りギリシャに端を発した欧州債務危機は、いまだに収束していません。EUの中でもユーロ圏は共通通貨を利用しているため、ひとつの国に国債の債務不履行(デフォルト)などが起きてしまえば、ユーロ自体が信頼を失ってしまいます。

そうなるとユーロ圏全体の危機になってしまいますから、各国がなんとか債務危機を食い止めようとしています。

とはいえ、各国の銀行はユーロ圏の他国の国債を保有しているところが多いので、財政が懸念される→新発国債の利回り急騰、既発国債の価格が急落ということになり、損失が出ています。

そのため、銀行も自己資本の上積みを求められており、自己資本比率の規制に抵触しないように貸し渋りや貸し剥がしを行うことも懸念されています。

そうなれば資金融資が滞り、経済も停滞するというわけです。

IMF(国際通貨基金)も融資枠が30数兆円しかないと聞いています。これではもし日本がデフォルトにでもなったらどうなってしまうのでしょうか。


危機を乗り越えるための対策

イタリアでは首相が交代し、財政再建に取り組むでしょうが、スペインでは財政再建を訴えた与党が選挙で負けたそうです。

また、強い経済力を持つドイツは、自分たちの負担でなぜ財政を悪化させたほかの国を助けなければならないかという気持ちがあるようです。まあ当然だと思いますが。

もともとは第一次、第二次世界大戦で大きな傷を負ったヨーロッパから戦争をなくそうということから発足したのがEUだそうですが、通貨まで共通にするということの難しさを感じます。

ちなみに、今後は加盟国の財政が悪化しないように厳しく監視するなどの対策がとられるようです。

また、ETSF(欧州金融安定基金)というものがあります。ユーロ圏の財政が悪化した国を支援するための基金です。その融資能力を高めたり、国債を買い入れたりできるようにするという努力も続けられています。


株安

さて、欧州債務危機の影響で、日本の日経平均株価など株式市場も低迷しています。原因の第一は、円高です。上記のようにユーロ圏の幾つかの国に財政への不安があるということで、ユーロやユーロ圏の国債が売られ、比較的安全として円が買われたのです。

円高になると、輸出企業が頑張っている日本経済には打撃となります。最近は大手企業は円高に備えて為替ヘッジをしているからそんなに心配ないという声もありましたが、1ドル=75円台という急激な円高はさすがに想定外だったでしょう。

また、このように財政・金融危機が起きると、世界経済全体に悪影響を及ぼします。その結果日本やアジアなど各国で株安になり、投資家が損失を被ります。

すると、消費にも悪影響が出て、さらに株安になるということになります。

というわけで日本の日経平均株価もなかなか底を打ちません。まあ、私は今は株を買うチャンスだと思うのですが。


VIX指数

さて、この記事ではVIX指数(恐怖指数)が紹介されています。要は、アメリカで株安になると高くなり、株高になると低くなるという指数です。

アメリカと日本では株価が同じような動きをする傾向にありますから、日本株でも使えます。

例えば日本株が安くなればVIX指数が高くなるのですから、VIX指数に連動するETF(上場投資信託)やETN(上場投資債券)を買っておけばよいのです。

そうすれば、ある程度手持ち株の値下がり損をVIX指数の値上がり益でカバー(ヘッジ)できるということです。

保有している株式を、株価が下がり始めた段階で損切りしてしまうのが一番シンプルな方法ですが、例えば自社株だったり、愛着のある株だったりして売れないこともあるでしょう。

そんなときには便利です。いわゆるつなぎ売りです。


株離れの動き

また、株が値下がりすると、リスクを敬遠して株を売って、現金や国債にお金を回すという動きになります。

日本国債については、私は以前から安全だとはまったく思っていません。PIIGSよりもはるかに日本の財政は悪化しているからです。

野田総理が消費税率を引き上げることを表明されていて、私も賛成なのですが、経済成長率が2%にならないと増税しないという条件をつけるなどの話も出てきて、一筋縄ではいきそうにありません。

日本の財政再建は一刻を争います。経済成長率2%というのはかなり実現が難しい数字で、そんな条件が揃うのを待っていたら、その前に日本が財政破綻してしまうでしょう。

具体的には国内に国債の買い手がほとんどいなくなり、海外の投資家も買ってくれず、国家予算が組めなくなり、国債の利払いや償還ができないということになります。

そうならないように財政再建に取り組んでほしいと願っていますが、それができなければ、日本国債のデフォルトは現実のものになります。

そうなれば、ギリシャのように債権者(国債の保有者)は半分しか償還されないということになるでしょう。あるいはもっとひどいことに。

そのため、私は日本国債はリスクが高く、おまけに金利も低いのでおすすめしないのです。

ただ、3年で償還される個人向け国債くらいなら、おそらく大丈夫かなとは思います。

まあ、株安は残念ですが、今国債を買ってくれる人が多いのはありがたいことではあります。


いつまで続く財政問題

問題はいつまで欧州の債務危機が続くかですが、はっきり言ってわかりません。円高についてはもうすぐ終わりかな、と勝手に予想してはいますが。

欧州債務危機を終息させるには、まずは財政の悪化している国が全力で財政再建に取り組むことが必要です。

しかし、ギリシャの国債は金利が30数%まで跳ね上がってしまっていますから、自国だけで財政を立て直すのは難しいです。

そこで、ETSFによる支援などが重要になります。また、今後同様の債務危機が起こらないように、ユーロ加盟国の毎年の財政赤字を一定水準に収めるように強制するなどの対策も必要です。

こうした対策がすべてしっかり行われると市場が認識すれば、やっと債務危機は終息するはずです。

一方、日本も欧州の危機を対岸の火事と思っていてはいけないはずです。

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