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税制改革論議で所得増税案も浮上

税制改革論議で所得増税案も浮上

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(読売新聞10/7/2から引用)
参院選の焦点となっている税制抜本改革で、所得税の増税論議が浮上してきた。その背景には、日本は海外に比べ、国民所得に占める所得税の負担率が小さいことがある。

日本は7.2パーセントだが、スウェーデンは19.9、英国は13.9、米国は13.1、ドイツは12.1、フランスは10%だ。

所得税は1980年代以降、所得が増えると税金が急に重くなることなどに批判が強まり、税率の引き下げや控除の拡大で所得増に伴う税率の上昇を緩める動きが進んだ。

この結果、最高税率は85年の70%から現在は40%に、最低税率は10.5%から5%にそれぞれ下がった。

所得税の税収は91年度の約26.7兆円から、2010年度は約12.6%に減少する見込みだ。

税収の中心となる国の基幹税は、所得、法人、消費税の3つだ。このうち、法人税収は景気に左右されやすい。政府税調の専門委は、安定した税収を確保するため、所得税と消費税を重視する提案を行った。

所得税で税収増をはかるには、2つの方法が考えられる。一つは、最高税率の引き上げなどによる累進性の強化だ。

(引用続き)もう一つは、所得のうち課税されない「控除」の対象を縮小し、課税対象部分を広げる方法だ。

(中略)財務省の資産では、所得税の最高税率を1%引き上げて41%にしても、税収増は約350億円にとどまる見通しだ。消費税率を1%引き上げれば2.4兆円の税収増になるのとは比較にならない。

所得税は控除制度によって、税収から年に4兆円近くが差し引かれている。政府は年末に向けて行う11年度税制改正で、サラリーマンが必要な経費を概算で見積もって所得から差し引く「給与所得控除制度」に上限を設けることを議論する方針だ。

控除制度を整理して課税対象を広げなければ、消費税と並ぶ車の両輪と位置づけるのは難しい。

主要国は、個人の努力を促すため、所得税は最高税率を引き下げ、所得が増えても納める税金が急増しない制度を整えている。

日本では所得税と住民税を合わせた最高税率が50パーセントで、40%台の米国やドイツ、フランスより高い。今年から高所得者への課税を強化した英国でも、見直し後の税率は日本と同じ50%だ。

日本でのさらなる最高税率引き上げは先進国の潮流に逆行し、過度の負担につながりかねない。

所得税控除とは:個人の儲けにかかる所得税には、家族構成等に応じて一定の金額を所得から差し引く仕組みがあり、これを控除と呼ぶ。

現在の制度は、最低限の生活費として一律に年38万円を差し引く基礎控除や、専業主婦の妻を持つサラリーマンなどが対象となる配偶者控除、給付の義務がある年金や医療、介護の保険料などを差し引く社会保険料控除。

自然災害や盗難など予想外の被害を受けた場合に適用される雑損控除などがある。

このほか、70歳以上の親族や重度の障害者と同居している場合などを対象として、控除を手厚くする制度が設けられている。(引用終り)

政府税制調査会の中間報告についてのお話です。高所得者への所得税の課税強化をしましょうという内容です。

我が国の所得税は累進課税で、所得の多い人ほどたくさん税金を納めてもらうようになっています。もっと詳しく言えば超過累進課税で、一定の所得ごとに税率が上がります。

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最高税率は

もちろん経済的に余裕のあるお金持ちにたくさん税金を払ってもらい、それを低所得者層に回すことで、社会の不公平を解消していこうという考えは正しいです。

しかし、以前のように70%も所得税としてもっていかれてしまうのでは、自分の努力でビジネスなどで成功し、たくさんのお金を稼いだ人に酷すぎるでしょう。少なくとも、努力しようという気を奪うのは間違いありません。

そこで、記事にあるように所得税の最高税率が引き下げられ、現在は住民税とあわせて50%になっています。

個人の努力によって得た収入の半分を超える額まで国家が徴収してはいけない、というのは当然だと思いますので、最高税率はこのままでよいのではないかと思います。

さて、日本が海外に比べると所得税の負担が小さいというのは意外でした。スウェーデンは高福祉高負担ですから高いのはわかりますが、その他の諸外国に比べても負担が小さいです。

日本の財政状況が極めて悪いことを考えても、国民全体として所得税の負担が増えるのは、決して歓迎はしませんがやむを得ないと思います。

もちろん政府が無駄な歳出を徹底的に削減するのが前提ですが。

ただ、所得税を増税すれば、個人が自由に使えるお金がその分減ります。そうすれば消費も冷え込み、景気が悪化してしまうかもしれません。

また、法人税は先進国の中で最高レベルの高さです。確かに所得税の負担は小さいかもしれませんが、会社は利益からたくさん税金で取られているのです。

ということは、仮に法人税率がもっと低くなれば、その分を企業が従業員への給与支払いなどに当てるかもしれません。

つまり、給料が増えたり、雇用が増えて失業者が減るかもしれません。そうなれば、お金を使う人や使う額も増えて、景気がよくなるでしょう。

景気がよくなれば少なくとも、所得税収は増えるでしょう。というわけで、法人税はある程度下げたほうがよいような気がします。

つまり、所得税を上げるのはやむを得ないでしょうが、一方で法人税を下げないと、景気がかなり冷え込むのではないでしょうか。消費税も上げるとさらにそれが助長されます。


消費税はどれだけ上げる?

次に、所得税の課税ベースを広げるか、最高税率を上げるかという点について。最高税率については前述しましたが、1%上げても税収増は約350億円しか増えません。

おまけに記事にあるように、日本の所得税の最高税率は先進国でも最高レベルです。これ以上上げるのは、さすがに酷税と言われても仕方ないでしょう。

ということで、所得税を上げるとすれば、課税対象を広げるということになります。具体的には各種控除を縮小したり廃止したりすることになるのですが、これも私は心情的には反対です。

とはいえ、財政悪化を食い止めるには増税やむなしでしょうから、せめて低所得者に負担にならないような方法を願いたいものです。

給与所得控除に上限を設けるのはしかたないでしょう。高所得者でも一定額までは課税対象額を減らせる現状ですから。

一方、配偶者控除や扶養控除、医療費控除、保険控除などは縮小されては困ります。高所得者層にはある程度の負担増を受け入れてもらう一方で、低所得者に手厚い税制が望ましいと思います。

こうして見ると、所得税の税収を上げるというのはなかなか大変ですね。するとやはり消費税を上げることが最大の課題となると思います。

消費税は1%上げると約2.4兆円の税収増になります。2010年度の赤字国債発行額が約44兆円だったのを考えると、歳出の無駄を削減しても、やはり将来には20%とか25%という税率になってしまいそうです。

これは仕方のないことですが、政府には消えた年金のような不始末は二度と起こさず、消費税収は国民の社会保障費にだけ使うなどを徹底してもらいたいです。

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