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日銀の包括緩和の解説

日銀の包括緩和の解説

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(読売新聞10/10/9から引用)

日銀包括緩和で日銀が買う資産は:国が借金するために発行する国債のほか、企業が資金を集めるためのコマーシャルペーパー(CP)、社債などだ。
株式や不動産をまとめて金融商品として取引する上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(Jリート)も初めて買うことになった。
効果は:日銀が銀行などから国債などを買って代金を払うので、世の中に出回るお金の量は増える。(そうすれば)企業や個人がお金を借り、ものを買いやすくなる。この結果、景気も良くなると言うわけだ。
狙いは:日銀は本来、銀行同士でお金を貸し借りする市場で金利を上げたり下げたりしている。しかし、包括緩和では「ゼロ金利政策」も採用した。このため短期金利はもう下げられない。
だが、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りはまだ1%弱なのでまだ下がる可能性がある。
このため、日銀は世の中に出回るお金の「量」を増やして長期金利を下げることにした。
日銀がETFやJリートを買えば、投資家の意欲も高まり、株式市場や不動産市況が上向くとの思惑もある。
どうやっていくら買うのか:日銀が資産の受け皿として臨時に作る「基金」が買う。(中略)基金全体では35兆円になる。
幅広い資産を買うことに問題はないのか:金融商品は値段が変わるので、損をする場合がある。基金は、日銀の資産と負債に含まれることになる。損が出れば国に払う納付金が減り、結果として国民にしわ寄せが出る恐れもある。
また、国債を無制限に買うと日銀が国の借金を肩代わりすることになる。国債への信頼が失われれば、価格が暴落するおそれもある。
だから、(日銀の定めているルールが銀行券ルールだ。)ただ、今回買います分の長期国債は、「臨時」として、ルールの例外としている。

(引用終わり)
包括緩和の内容や問題などがよくわかり、とても勉強になる記事でした。

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まず、コマーシャルペーパーについて。これは、企業が資金を調達するために発行する短期の約束手形です(参考:オールアバウト)。約束手形ですから、おそらく社債よりも簡単に発行できるはずです。

社債は、同じく企業が資金調達のために発行する債券です。償還期間などは企業が自由に決められます。金利は普通預金等よりはるかに高いので、私もなかなか魅力的な商品だと思っています。

ただ、CPも社債も発行元が信用力のある企業であることが、それを買う上での重要な条件だと思います。そうでないと、紙切れになるリスクがあるからです。

今回の包括緩和策では、上場投資信託(ETF)やJ-REITも初めて買うことになりました。これは驚きました。

ETFは株式と同じように証券取引所に上場されている投信で、信託報酬が安い、リアルタイムに売買できる、金など単品の商品もあるなどの特徴があります。


景気浮揚の狙いと長期金利

次に、不動産投資信託(Jリート)とは、文字通りビルや賃貸住宅などに投資する投信です。こういった不動産は比較的安定して家賃収入が期待できるため、配当利回りも高めのものが多いです。

こうした投資信託は株式の株価値下がりや、不動産なら地価の下落、入居者が入らないなどのリスクもあります。そのため、比較的ハイリスク・ハイリターンの金融商品です。

こうしたものも日銀が買うとはずいぶん思い切った対策だと思います。

この狙いの一つは、やはり景気浮揚効果でしょう。例えば株価が下がれば、株を持っている投資家だけでなく、株で資産運用している保険会社や年金も困ります。

不動産も、地価が下がったり入居者不足で賃料収入が減れば、不動産の売買や賃貸そのものが冷え込んでしまいます。

そこで、こうした株や不動産を組み込んだ投信を日銀が買うことで、景気を良くしようというわけです。

次に、長期金利について。これは記事にあるように長期国債の入札額に連動します。そして現在はまだ下げる余地があります。

長期金利は、企業が長いスパンでお金を借りて設備投資したり、個人が30年ローンを組んで家を買ったりするときにとても重要です。

その長期金利を下げるために、お金の供給量を増やすということです。


国債の価格暴落の恐れ

次に、ETFなどのリスク商品を買うことの問題点です。日銀がこれらの商品を買った後、基準価額が下がったりすれば、損失が出ます。そうなると日銀が政府に払う国庫納付金も減りますので、結局国民につけが回るというわけです。

これを聞くと、日銀の包括緩和の意義はわかりますが、ETFなどを買い入れるのはどうかな、と思ってしまいます。まあ、短期的にはこれらの価格を上げる要因になりますので、個人投資家には嬉しいのですが…。

次に、国債の価格暴落のおそれについて。これはほんとうに恐ろしいですね。日本国は債務残高が900兆円を越えました。そして現在でも毎年40兆円以上の赤字国債を発行しているという異常な状況です。

仮にこのままあと10数年もすれば、国民の金融資産の総額を超えてしまいそうです。そうなったとき、新規発行する赤字国債を誰が引き受けるのでしょうか。

現在でも赤字国債を発行して国債償還や利払いに充てているのです。それなのに国債の引き受け手がいなくなれば、少なくとも国家予算は超緊縮財政になって、国債費を捻出できなくなるでしょう。

つまり、今の日本は借金で借金を返しているのですが、新たにお金を貸してくれる人がいなければ、その自転車操業は一巻の終わりです。

そして、国債の信頼性は、借金が増えれば増えるほど失われますから、あまりに日銀が国債を引き受けるのはまずいのです。

今はまだ市中銀行などが安全資産として国債を買っていますが、いよいよ国債は危ないと多くの人が思うようになれば、どうなるでしょうか。


疑問も感じる

国債を保有している人は満期前に売ろうとしますし、これから買おうとしている人は買うのをやめるでしょう。

そうなれば、国債の価格が暴落するのは必至です。すると次に来るのは、金融機関や保険会社の破綻、ペイオフの発動、経済の大混乱でしょう。

というわけで、日本銀行もあんまり国債を引き受けるのはまずいというわけで、銀行券ルールというものを定めています。

具体的には、あと20兆円ほどしか日銀は国債を引き受けませんよという決まりです。しかし、今回の国債買い増しはそのルールの例外とするというのです。

しかし、これはどうなのでしょうか。ルールは例外ばかり設けるともはや骨抜きになってしまいます。

日銀も、景気の本格的な悪化が始まる前に食い止めようという判断なのでしょう。その狙いはよくわかるのですが、ETFやリートのようなリスクの比較的高い金融商品を買ったり、国債を例外的に基金で買うというのは、それこそ将来国民につけが回ってくるかもしれません。

そのため、疑問に感じる部分が多いです。

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