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日本だけがデフレである理由

日本だけがデフレである理由

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(日本経済新聞10/10/13から引用)

先進国の中でなぜ日本だけがデフレか。為替相場の変動に苦闘してきた企業から見ると、こうである。

1995年4月、1ドル=80円割れを体験した企業は、それ以上の円高を想定して、低コスト国に生産を移した。(中略)

グローバル経済で一物一価の原則が貫徹しつつある。今の為替レートでは、日本の製造業は新興工業国に歯が立たない。次々に製品を高度化しても、商品サイクルが短縮しているので、息をつく間もなく生産が海外に移る。

現在も日本での投資をあきらめ、海外に投資する企業が少なくない。(中略)アジアの需要を取り込んで成長するといっても、日本に競争力がなければ絵に描いたもちに終わる。

政府が後押しする原子力発電、新幹線の輸出なども、生産の多くが海外で行われるだろう。

ユーロ圏は為替リスクがない域内貿易のウエートが高い上、ドルに対しても一団となって動くので、為替変動は単独で変動する場合より緩和される。

米企業は相手国企業に為替リスクを転嫁する。単独でドルに対峙する円のみが大きく変動し、日本企業を苦しめてきた。

アジアにはユーロ圏のような通貨圏もない。先進国で日本だけがデフレであることに不思議はない。

日本にとってさらに重大な問題は、今回の円高が一段落したあとも、繰り返し大きな円高の波が訪れる構造に変わりがないことである。日本企業は今までと同じく、投資決定時の為替レートではなく、次の円高の波を想定して投資と生産の場を決めるだろう。

日本が構造デフレから脱却するには、内外企業が日本での投資と生産を選択する環境づくりが先決である。

政治の責任は為替変動のハンディキャップを認識して、少なくとも税制、規制、自由貿易協定(FTA)などで競争相手国と同じ競争条件を整備することである。

金融緩和やインフレ目標は、効果も期待できない的外れの主張である。(引用終わり)

日本も長い間、デフレーションが続いています。デフレはたいてい景気が悪いときに起こります。

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まず、円高と企業の海外進出について。1ドル=80円を割ったのは95年なんですね。円高になれば輸出企業にとっては受け取る外貨の価値が相対的に下がるので、利益などを押し下げてしまいます。
参考:株価と為替との関係

一方、海外に生産拠点などを移せば、現地の従業員に支払う給料などが円高のときには安くて済みます(円の価値が高いため)。ということは、企業が工場などを円高のために海外につくるというのは仕方がないといいますか、合理的な判断です。

ただ、そうなると日本国内では産業の空洞化が進んでしまいます。製造業が衰えると、それを運送する業者なども仕事がなくなってしまいます。

また、その分国内での雇用が減ってしまい、失業者が増えてしまいます。今、大学生が就職難で大変だそうですが、残念ながらそうした雇用の問題を解決するのは難しいです。

失業者が増えたり、賃金が下がってしまえば、そうした人たちがお金を使いたくても使えなくなります。そうすると消費が冷え込んで、小売業やサービス業なども困ってしまいます。

これが進むと、さらに物価やサービスの値段が下がり、それが企業の利益を少なくし、またデフレになるという悪循環になってしまいます。これがデフレスパイラルです。


デフレスパイラル

例えばファッション小売のユニクロに行くと、高品質の商品がとても安い値段で売られています。お客さんにとってはうれしいのですが、同社の製品は中国などで作られています。

中国などは人件費が安いので、そのおかげで安い製品が作れるのです。

とはいえ、こうした企業の海外移転は仕方のないことです。競争に勝つためにはたいてい、品質を高めるか、価格を安くするしかないからです。

そして、現在も80円に迫る円高になっていますが、それはこうした工場などの海外移転にさらに拍車を掛けるでしょう。それに伴う問題をどう解決したらよいのかは、非常に難しいです。

次に商品サイクルが短縮している点について。例えば液晶テレビは、以前のブラウン管テレビよりもはるかに薄く、また画面もきれいです。

そうした付加価値がついたために、当初は数十万円という値段がしました。しかし、最近では32型で有名メーカーのものが3万円台で売られており、びっくりします。1インチ1000円というそうですが、それより安いテレビも多くなっているそうです。


アジアの需要など

なぜ液晶テレビがこんなに安くなってしまったのかを考えると、やはりその理由の一つは海外での生産でしょう。競合メーカーが安い製品を投入してくれば、自分も海外生産でなるべく低コストでつくるしかありません。

こうして高性能な商品もすぐに安くなってしまうのでしょう。

次にアジアの需要を取り込む件について。例えば成長がさらに見込まれる中国市場などのことだと思います。確かに日本の新幹線などを外国に売り込んでも、最後には性能とコストでどの国の交通システムを導入するかが決まります。

すると、新幹線も負けないように海外生産にするでしょう。そうなれば、少なくとも日本の製造業などにはほとんど恩恵がないことになりかねません。

次にユーロやドルの点について。諸外国は自国通貨安を望んでいるところが多いです。なぜなら、そうなれば自国の輸出にとって有利だからです。そのため、先日の政府・日銀の円売り介入も単独介入でした。

確かにユーロは複数の国の共通通貨ですから、ユーロ高にもし対抗しようとすれば、介入しやすいでしょう。とはいっても、アジアで共通通貨を導入するのは実現しそうにありません。

このままだと、円高になるたびに日本企業は苦しむことになるでしょう。そこで著者はどうしたらよいかということも書いておられます。

具体的には先進国でもトップクラスの法人税を下げる、無駄な規制を緩和するなどでしょう。

金融緩和では効果が期待できないというのは、銀行が低金利で企業などに融資するようになっても、国内で有望な事業がなければ借りる人があまりいないからということでしょうか。

著者のおっしゃるように、他国と競争条件が同じでなければ、企業は有利な国に生産や研究などを移転するでしょう。政府には経済成長を促すための対策を期待します。

そうすれば、菅直人総理の取り組んでいる雇用対策も実効性を上げるのではないでしょうか。

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