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財政再建と社会保障制度改革の先送りは将来世代に負担を強いる

財政再建と社会保障制度改革の先送りは将来世代に負担を強いる

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(日本経済新聞10/12/19「けいざい解読」から引用)(2010年生まれの子どもが)中学3年生になる25年の日本。
15~64歳の現役世代が3人で1人の高齢者を支える今の関係は「2人で1人」に。厚生労働省の試算では25年度の医療、年金、介護などの社会保障給付費は141兆円と4割近く増える。
これとは別に財政の借金がのしかかる。国際決済銀行(BIS)が示した試算では、何も対策を講じない丸腰状態なら日本の債務残高は20年代に国内総生産(GDP)の3倍を超す。
「政府が対策をとるか、国債利回りが臨界点まで上昇して行動を迫られるので、非現実的だが」とBIS。
日本はその「非現実」に向かい始めた感がある。
介護保険の財政を安定させる自己負担の引き上げ。子ども手当の財源として公約したはずの配偶者控除の廃止。そして物価下落を反映させるルールに沿う公的年金の減額スライド。
痛みを伴う政策を政府・与党はことごとく先送りしようとしている。
「国民生活が苦しい中、いま負担増は求められない」。表の理屈は「善政」に聞こえるが、来年4月の統一地方選で逆風が吹くのを避けたいのが本音。
目先の損得のみを強調し、明日の世代を語らない臆病な政治の勘定書は、どんどん後の世代に回っていく。
(中略)国庫負担を50%に上げるため安定財源を確保する約束だった基礎年金の国庫負担。
無駄遣いの削減が空振りしてもマニフェスト(政権公約)に予算をつけている間に、お金がなくなった。結局は「霞が関埋蔵金」という1年限りの財源にすがる。
公的年金を長持ちさせるために、新しくもらう人は毎年の引き上げ幅を少しずつ抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがある。
ところが物価が全然上がらないので、05年から未発動のまま。
(中略)「社会保障の水準を現在より切り下げるという選択肢は断固として排除する」。民主党が設けた税と社会保障の抜本改革委員会は、そんな中間整理を出した。
できればそうしたい。だが給付は野放しで増やし、その分消費税を上げればいいという発想では不十分。将来世代はその時の社会保障だけでなく、前の世代のツケも払わねばならない。
政治家や識者がいう「中福祉、中負担」。「『高齢者は高福祉、若者は高負担』と言い換えた方がいい」と、一橋大学の小黒一正准教授は指摘する。
現在の世代にも我慢を求めないと、世代の間で不公平がますます広がる。
ただでさえ人口が減る日本。明日の不安が消えずに人々がお金をため込み、企業はもうからない日本から離れていく。そんな悪循環では困る。

(以下略)なかなか手厳しいコラムでした。でも本当のことが書かれていると思います。

2025年というと、あと14年ほどです。その頃にはさらに少子高齢化が進み、税収が減る一方で社会保障費がさらに増えます。

さらに日本は主要国中最悪の財政で、11年度の国と地方の長期累積債務はGDP比で184%になると見られています。

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○財政再建を少しでも早く

赤字国債の発行が増えれば、その分国は金利を負担しないといけません。今はまだ低金利なので国債の利払い費は比較的少なくて済んでいますが、日本の財政の将来を懸念して金利が急上昇でもし始めてしまえば、国債費が予算を圧迫して予算をまともに組めなくなる恐れもあります。

もちろんそうならないように、財政再建に少しでも早く取り組んで、将来の世代にツケを回さないようにしないといけません。しかし、政治が本気で取り組むどころか、さらに状況をひどくしているとこの記事は指摘します。

このままだと、国債利回りが限界にまで達して財政破綻かそれに近い状況にまで行ってしまうのではないか、と心配になってしまいます。

経済学者の野口悠紀雄氏は日本が悪化した財政に慣れてしまっていることを、ゆでガエルに例えておられました。まさに自分がゆでられているのに日本は気づかなくなってしまっているのではないでしょうか。


○政府与党の本気度は

民主党の菅直人総理は鳩山由紀夫内閣で財務大臣をしていたときに、日本の財政を再建しなければいけない必要性を強く感じたそうです。

そのため、私も財政再建について菅さんに期待しているのですが、消費税発言はすぐに撤回されました。また、消費税上げをするには政治家や官僚自らも痛みを引き受けないと国民は納得しないと思いますが、天下り規制は野放しになっています。

国会議員の歳費削減もどうなったのでしょうか。どうも政府与党が本当に財政再建に真剣に取り組む覚悟なのか、疑問を感じてしまいます。

物価が下がれば、その分年金受給額もスライドすべきですが、それは凍結されているんですね。これで年金制度は持続するのでしょうか。

基礎年金の国庫負担引き上げも、財源がなければばらまきでしかありません。埋蔵金ももうほとんど出尽くしたと言われています。

社会保障の水準を下げずに制度を持続させるなら、財源を確保するしかありません。つまり、年金保険料などを上げる、あるいは消費税などを上げて税収を増やすことになります。


○世代会計を導入すべき

ただ、今のように現役世代の納めた税金などがそのまま高齢者への給付に使われてしまうのでは、現役世代は果たして自分たちが高齢者になったときに年金などをもらえるのだろうか、と不安になります。

やはり消費税を上げるだけでなく、世代間格差を是正するために世代会計を導入しないと、根本的な解決にはならないと思います。

いわば世代ごとに、自分たちの納めた税金や保険料は自分たちの将来のために積み立てるような仕組みにするのです。

そうすれば、消費税を上げても将来の自分たちのためだと納得できます。また、社会保障制度を頼りにできますので、必要以上に貯蓄をする必要がなくなり、消費が増えるでしょう。それは景気を良くします。

生まれてくる子どもにはもちろん参政権などありません。その子供たちに今の世代のツケを負わせるというのは、まさに経済的虐待と言われても仕方ありません。

また、少子高齢化はいつまでもらえるかもわからない子ども手当ではとうてい解決できません。やはり税と社会保障の一体改革が不可欠です。

それと同時に、国会議員もどれだけ覚悟を見せることができるかが問われます。国会議員の定数削減や歳費の削減、カネのかかる選挙制度の改善など、政治がやるべきことはたくさんあります。

財政再建と社会保障制度の改革は、痛みを嫌って先送りすればするほど、もはや手の施しようがなくなってしまいます。

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