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通貨安競争とは

通貨安競争とは

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(読売新聞10/10/23から引用)

韓国・慶州で開かれている主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で焦点となっている「通貨安競争」の現状と問題点をまとめた。
通貨安競争とは何か:各国が、自国の輸出を伸ばすため、自国の通貨の価値を低く誘導したり、価値の上昇を抑えたりする動きが広がる状況を指す。
自国通貨が安くなると、相手国に対して割安な価格で出荷できるようになり、輸出が増えやすいからだ。
どうやって通貨を安くしようとするのか:自国通貨を売る為替介入が一般的だ。中国は人民元の上昇率を抑えるため、人民元売り・ドル買いの介入を行なっている。
このため中国は6月に人民元の弾力化を再開したが、現在までの上昇率(対ドル)が3%未満にとどまっている。
日本は、9月に約6年半ぶりとなる円売り・ドル買いの介入を行ったが、これは通貨安競争をしているのではなく、急激な円高の動きに歯止めをかけるためだと説明している。
ブラジルは海外投資家による債券投資に課税しているが、通貨高を防ぐ狙いもある。
中央銀行の金融緩和も通貨安になりやすい:新興国側は、先進国の金融緩和こそが通貨安競争につながっていると批判している。
金利が低くなると、運用の魅力が薄まり、通貨が売られやすくなる。米連邦準備制度理事会(FRB)が11月に追加緩和をするとの観測が強まり、ドルは主要通貨に対して売られやすくなっている。
通貨安競争の問題は:世界の貿易がうまくいかなくなれば、世界経済にとってマイナスになる。通貨が安い国からの輸入が増える貿易相手国は、貿易赤字に陥りやすくなる。
このため、各国が景気回復のため、通貨安で輸出を拡大しようとすれば、輸入国が高関税で報復をしたり、資本の流入への規制を強化したりして、保護主義が台頭する恐れがある。
通貨安の国にとっても輸入品が高くなるので、国内でインフレが起こりやすくなる。

(引用終わり)
2010年の後半、日本の円はこれまでの最高値に迫る1ドル=80円あたりまで上昇しました。

そして、過度の円高は日本経済にとってマイナスです。なぜなら、日本は輸出立国であり、円高は輸出に不利だからです。

これほどの円高になった背景には、各国の通貨安競争があります。例えばアメリカは追加の金融緩和策を取りましたし、中国も欧米から元を切り上げる(元を高くする)ように求められています。

韓国もウォンを売ることでウォン安に誘導していると言われています。このように各国が自国通貨を安くしようとしている反動で、日本の円が高くなってしまったのです。

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○円高と円安

日本も戦後、1ドル=360円の固定相場制でした。今から考えるとすごく円安ですね。

円安ですと、例えばアメリカに360円相当のお菓子を輸出するとします。アメリカの人は1ドルでこのお菓子を買うわけです。

ところが円高になり、1ドル=120円の為替レートになると、アメリカの人がこのお菓子を買うのに、3ドルが必要になってしまいます。

つまり、円安の場合、日本の製品が海外で安く買えるので、たくさん売れるのです。そのため、円安は輸出に有利で、輸入に不利なのです。

そして日本は輸出立国なので、円高は困るというわけです。

よく、円高還元と称してお店が商品を安く売ってくれることがありますが、これは円高によって輸入業者が海外の品を安く仕入れることができたからです。


○どうやって通貨を安くするか

次に、どうやって自国通貨を安くするかについて。通貨もモノと同じで、市場に出回る量(供給)が増えれば価値が下がります。そこで、中央銀行が為替介入を行って、自国通貨を売り、外貨を買うということをします。

例えば日銀の円売りドル買いの場合、財務省から指示を受けた日銀が市場から円を調達し、それで銀行などの持つドルを買います。

日本もあまりの円高になってしまったため、9月に為替介入をしました。そのおかげで円・ドル相場は少し円安になりましたが、再び円が上昇しています(記事執筆当時で83円ほど)。

日本で最近行われた円売り・ドル買い介入は、額が比較的小規模だったために、円高を止めきれていない、という見方が多いようです。

もっとも野田財務大臣は、必要があれば再び介入する姿勢を見せています。

中国は、人民元をじょじょに切り上げていますが、その率が少しであるために、アメリカなどは不満を抱いています。


○新興国が投資マネーを警戒

次にブラジルについて。最近、政府が債券投資に課税するようにしました。その狙いの一つは、自国通貨(レアル)が買われすぎて高くなってしまうのを防ぐためです。

ブラジルは成長率の高い新興国として注目されており、世界中の投資マネーが流入しています。すると、そのマネーがブラジル国内でレアルと交換されるので、レアルに対する需要が増え、自国通貨高になってしまうのです。

自国通貨の価値が上がるのはその国に魅力がある証拠とも言えますが、前述のように輸出にはマイナスになってしまいます。

そこで、新興国は投機マネーが過度に自国に流れ込むのを警戒しているのです。


○金融緩和と為替レート

次に、中央銀行の金融緩和と通貨安について。日本における中央銀行は日本銀行です。

日本でもアメリカでも、最近は金融緩和を積極的に行なっています。なぜなら、長引くデフレ不況から脱却したいからです。

例えば金融緩和策によって銀行の貸出金利が低くなれば、住宅ローンや自動車ローンなどの金利も下がります。そうすれば、家などを買いやすくなります。

また、企業や個人事業主も、銀行から事業資金の融資を受けやすくなります。

こうしたことで、お金の流れを良くして経済を回復させたいという狙いがあるのです。

ただ、金融緩和を行うと、その通貨の金利が下がります(マネーサプライが増えるため)。すると、その通貨は投資先としては魅力的でなくなります。

例えば外貨でもっと利率のよいものがあればそちらを買おうという人が増えます。例えば南アフリカランドやオーストラリア・ドルなどは金利が高いために、FXでも人気があります。

こうして、金融緩和により低金利になると、通貨が売られて安くなる、というわけです。

これを考えると、日本の円は不思議ですね。まだ増税の余地はあるにせよ国の借金は膨大で財政破綻が懸念されていますし、低金利政策(最近ではほぼゼロ金利政策が復活しました)も行われています。

それなのに円高になっているのですから。経済が理論通りに必ず動くわけではない、というよい実例といえます。


○問題点

続いて、通貨安競争の問題点です。例えば日本でも、貿易収支が黒字ですが(=外貨を稼いでいる)、円高が進んでしまうと、自国経済に悪影響が出てしまいます。

そこで、各国が自国通貨を安くしようとしてしまうと、記事にあるように自国の貿易を守るために関税を高くしたりする動きが出てきます。

こうしたことは自由貿易に逆行して、世界経済を停滞させる原因となってしまうのです。

通貨安の国もインフレになるという点について。他国からモノを輸入しようとする際、自国通貨が安いということは、たくさんのお金を払わないといけなくなります。

すると、物価が上がるので、インフレになってしまいます。

中国も高い経済成長を遂げており、GDPが日本を抜いて世界2位になったとも言われています。

しかしその一方で、インフレが警戒されています。

年数%の穏やかなインフレなら好景気の証ともいえますが、過度のインフレになってしまうと、もはやコントロールできなくなる恐れもあります。

すると、日に日にお金の価値が下がっていくため、銀行預金をする人も減ります。すると、企業なども必要な融資を受けづらくなってしまいます。

そして最後には、お金の流れが滞って、不況になってしまいます。

今後、この難問に中国政府がどう対処するのか注目しています。

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