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高ROE銘柄への投資の有効性を考える

高ROE銘柄への投資の有効性を考える

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日経新聞にROEを有効に活用する方法についての記事が掲載されていました。私はROEはまったく利用しないのですが、興味深い記事だったのでご紹介します。

(日本経済新聞09/7/13から引用、抜粋)(ROEは)米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が重視していることでも有名で、個人投資家の間でも注目が高まっている。
ROEは高いほど良いとされる。まずはその理由を考えよう。例えば、ROEが10パーセント、内部留保率70パーセントで1年目の1株自己資本が1000円の企業。1株利益のうち30パーセントを配当に回す。
ROE10パーセントということは自己資本の10パーセントに相当する利益を毎年生み出せることを意味するので、最初の年は1株利益が100円、30円の配当を引いて内部留保70円が残る。
2年目のはじめにこの70円分が上乗せになるので自己資本は1070円。1株利益はこの10パーセントである107円となる。その後もROEと内部留保率が同じなら、自己資本も1株利益も配当も毎年7パーセントずつ増えていく。
これを「内部成長率」と呼び、ROE×内部留保率で計算できる。
しかし、ROEを投資指標として用いる場合は一筋縄にいかない。プロの間からも「ROEが高いというだけで選ぶと、現実には利益が出ないことも多い」(バリューサーチ投資顧問の松野実社長)という「常識」に反する声が聞こえてくる。
そこで大和総研の吉野貴晶チーフクオンツアナリストに過去15年間、銘柄選びに用いる指標を変えてみた場合にリターンが東証株価指数(TOPIX)に比べどう変化したかを試算してもらった。
毎月初めに東証第一部全銘柄のうちROE(予想ベース)が高い方から上位1/3となる銘柄群を買い続けた場合はトピックス並みに終わり、確かにさえない成績。
割安株を判断する代表的な指標である株価純資産倍率(PBR)で低い方から3分の1を選んで投資し続けた場合に比べると差は歴然だ。
原因の一つはROEの計算式(利益÷自己資本)には株価が含まれず、ROEが株価の高安を判断する指標ではないことに関係がある。「ROEが高い銘柄は株価がすでに高くなってしまっていることが多い」(松野社長)ため、高ROEを材料に買っても「出遅れ」ということがよくあるわけだ。
この問題を解決するには、ROEが高いにもかかわらず株価が割安に放置されている(低PBR)銘柄を探せばいいということになる。
ROEが上位1/3以内と高く、かつPBRが低い方から1/3以内という両方の条件を満たす銘柄群に投資し続けた場合も試算してみた。
すると低PBRという条件のみで選んだ場合よりも、ずっと高い成績が得られる結果が出た。
注意を要するのは、ROEの高さは必ずしも成長力の高さばかりが理由とは限らないこと。借金が多く自己資本比率が低い場合も高くなる。
自己資本比率が低すぎると経営が不安定になるので、ROEが高くなったと喜んでばかりはいられない。
銘柄選び(スクリーニング)の条件を「高ROE+低PBR」として新光総合研究所のサイトの「投資分析ツール」で試してみた。
09年6月末時点で東証1部全銘柄のROE(予想ベース)が上位1/3となった水準は5.2パーセントだった。そこで予想ROEが5.2パーセント以上で、かつ株価が下がってPBRが企業の解散価値を示す1倍以下まで安くなっている銘柄を選ぶ。
そのうえで経営の安定性も確保できる水準として自己資本比率20パーセント以上、時価総額200億円以上という条件も加えて検索すると、7月初旬の時点では東証一部だけでも10銘柄近くが選び出された。
「高ROE+低PBR」という判断基準を加えることで、これまでよりもリターンの可能性を高められそうだという「法則」を過去データは示唆している。

なかなか面白い記事でした。私はROEは使わず、PBRを重視して投資をしています。PBRシンプル法というオリジナル投資法も公開しております。

そのため、ROEが割安に放置されている銘柄を探すのに役立つという点はどうかな、と思っていました。

しかし、ROEとPBRを併用するという方法は初めて知りましたし、その効果もデータで示されていたので、参考になる記事でした。

まず、内部成長率の話について。内部留保率とROEが毎年同じと仮定すれば、複利効果でその会社の1株当たり自己資本が増えていきます。

1株当たり自己資本が増えていけば、株主の持つ会社の資本が増えるということですから、理論上は株価が上がります。また、同様に複利効果によって配当金も増えます。

そのため、ROEの高い銘柄に投資すれば、株主はキャピタルゲイン(値上がり益)とインカムゲイン(配当)の両方を多く得られるというわけです。

一方、記事中にあるようにROEの高い銘柄は資本を効率的に使って多くの利益を生み出しているといえますから、すでに買われて株価が高くなってしまっていることが多いわけです。

そこで、ある銘柄の株価が割安かどうかを判断する指標であるPBRを併用することで、成長が見込める上に株価が割安な銘柄を見つけ出せば、利益を出せそうだということです。

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ROEの問題点

ROEの高い銘柄はすでに高くなっている可能性が高く、また自己資本比率が低い銘柄の方がROEが高くなってしまうという問題から、高ROEの銘柄に投資しても成果が上がらないという点は、私の持論なのでこの記事でそれが実証されているのはうれしかったです。

以前、アメリカの企業でROEを高くすることが効率的な経営だ、という考えがもてはやされたときに、経営者はわざと借金を増やしました。

借金を増やして自己資本比率を下げれば、ROEがそれだけで高くなります。そうすればROEを高くした有能な経営者だとみなされてたくさん報酬がもらえるからです。

私はこのことから、ROEという指標は使っていないのです。

しかし、確かにROEが高い=自己資本比率をわざと下げてインチキをしているというわけではありませんし、きちんと経営したうえでROEが高ければ、高収益体質の企業だといえます。

この記事中の検証も、自己資本比率を20パーセント以上という条件をつけています。

ただ、自己資本比率20パーセント以上なら安全というのは一般的な基準ですが、私は株式投資では何よりもその銘柄の企業の安全性が高いことが最重要と考えていますので、20パーセントでは低いと思います。

まあ、私の考えは置いておいて、自己資本比率に条件をつけて検証しているところはえらいと思います。これならわざと自己資本比率を低くしてROEを人為的に高めている銘柄をある程度排除できるからです。


TOPIXとの比較

さて、この記事には低PBR銘柄への投資、高ROE銘柄への投資、高ROEと低PBRを満たす銘柄への投資、という3通りの方法で、TOPIXと比べた場合の騰落率が掲載されています。

つまり、市場全体の動きに比べてこれらの方法はどれだけ成果が出たかがわかるわけです。トピックスと同じ動きなら騰落率は0パーセントです。

その結果、低PBR銘柄への投資でもほとんどの年でトピックスを上回る運用成績になっています。例えば09年は騰落率が約90パーセントですから、市場の平均の値動きよりも約90パーセントよい結果が得られたということです。

これはPBRを重視して投資している私にとってはうれしい結果です。

一方、高ROEと低PBRを満たす銘柄への投資では、なんと07年に約200パーセントという騰落率になっています。すごいですね。

この検証結果から、例えば高ROEと低PBRを満たす銘柄を見つけてその株を買えば、よい結果が得られる可能性が高いといえます。

そこで、私も記事中の「投資分析ツール」でスクリーニングをしてみました。実施したのは10/5/31、条件は記事と同じものです。

その結果、20銘柄がピックアップされました。高ROEと低PBRという厳しい条件でも意外と多くの銘柄がありました。

ただ、私は安全な株式投資をするために、なによりもその企業が倒産しないことを重視しています。そのため、自己資本比率20パーセント以上という条件は低すぎると思っています。

そこで、私は自己資本比率50パーセント以上の銘柄を買うことをおすすめしています。ここでは上記のスクリーニングでピックアップされた銘柄の中から、自己資本比率50パーセント以上のものをご紹介します。

1605 国際石油開発帝石
1835 東鉄工業
1943 大明
1951 協和エクシオ
1964 中外炉工業
1973 NECネッツエスアイ

これらの銘柄は自己資本比率が50パーセント以上と高い、すなわち安全性が高い上に、高収益体質で、さらに割安に放置されているということになります。

もちろんこれらの銘柄が値上がりするという保証はありませんが、例えば当サイトのPBRシンプル法を使ってこれらの銘柄を手がけるのもよいかもしれません。

もっとも、私自身はあえてROEを用いなくても、低PBRで自己資本比率の高い銘柄を選び、PBRシンプル法を使うだけでも十分だと思っています。

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