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高配当狙いの投資法と注意点

高配当狙いの投資法と注意点

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(日本経済新聞11/10/26から引用)千葉県在住の男性(84)は10月に2年ぶりに株式を購入した。最近の株価下落で割安感が出たと判断。
含み損を抱えた短期豪ドル債投信を売却し、製薬大手のエーザイの株式を2回に分けて計9500株購入した。
エーザイの配当利回りは3100円の取得価格をベースに計算すると年4.8%。「高い利回りに魅力を感じた」という。
東証1部全体の配当利回り(単純平均)は8-9月に2.1%と、2009年11月以来の高水準となった。10月も東証1部全体の約6割の銘柄の配当利回りが2%を超えている。
一方、長期金利は低下傾向だ。
(中略)もっとも、配当利回りの高さだけを手がかりに売買するのはリスクが大きい。(中略)配当利回りが高くなる背景には「株価の低迷」と「増配」の2つの要因がある。
気をつけたいのは前者だ。株価が下落配当利回りが上昇している場合には、今後の減配リスクを反映している可能性がある。
減配リスクを避け、安定した配当収入が期待できる銘柄かを判断するには何を参考にすべきか。投資情報提供会社フィスコの客員アナリスト、鈴木一之さんが注目するのは「財務」と「業績」だ。
財務の安定性は総資産に占める有利子負債の割合が参考になる。割合が低いほど借入への依存が小さい。
「業種にもよるが、20-30%以内であれば安心感が強い」(鈴木さん)。
業績面では、増益基調を維持している銘柄が候補になるという。(中略)
東日本大震災の影響で今期は減益見通しの企業もある。FPの深野さんは「一時的に業績が落ち込んでも剰余金を配当に充てられる。構造的に収益が減る要素がなければ、剰余金が多い企業の減配リスクは相対的に低い」と指摘する。
株主資本の「その他利益剰余金」と「その他資本剰余金」との合計が十分に確保されていることも安定配当の要件だ。
(中略)1株当たり利益の何%を配当に回すかを示す「配当性向」などの目標を公表している企業もあるので参考にしたい。例えばファミリーマートは配当性向40%が目標だ。
ただ、配当政策は業績等に応じて見直されることがあるので、注意が必要だ。
次に考えたいのが売買のタイミングだ。(エーザイは)3月の期末配当の権利確定後は株価が弱含むパターンが多いことが分かる。
(中略)保有株の業種の分散も心がけたい。
(中略。埼玉の64女性の成功談)値上がり益と配当収入を比較して保有株の売り時を決めている。値上がり益が配当の3-4年分になるようなら「売り」だ。
数年後の企業業績や事業環境を自分では予想できないからだ。2008年11月ごろ購入したトヨタ自動車株はこの戦略で09年前半に売却。約100万円の利益を得た。
今年初めには製薬会社の株を購入した。昨秋まで薬剤師として働いていたため企業の体質や製品力の目安がついたうえ、配当の高さが決め手になった。(中略)

高配当を狙うのもよいが、注意も必要という記事でした。株式投資の大きな魅力といえば、配当金です。会社に利益が出れば、その全部または一部を配当として株主に払います。

ちなみにここで、他の金融商品のインカムゲイン(配当などの保有するだけで得られる利益)を参考までにご紹介します。

例えばFXでは高金利の通貨を買えば、年に5%というような金利を得ることができます。しかし、そうした高金利通貨はレートが大きく下落する危険性もあります。

また、円やドルなどの通貨は今はご存知のように金利が低いです。

金や銀などの商品は金利がつきません。これは現物でも先物でも同じです。

投資信託は分配金がつくものもあります。

債券は例えば国債では利回りが最近は1%前後です。社債は2%前後が多いと思います。

こうしてみますと、現在株価が安くなっているために東証1部の平均配当利回りが2%強になっていることは、けっこう魅力的です。

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エーザイの例

最近は欧州債務危機が主な原因となって、かなりの円高になっています。そのために、日本株はかなり株価が下がっています。

そうすると、例えば10000円(1株単位)の株で500円の配当がもらえると、配当利回りは5%ですが、株価が下がって5000円になれば、配当利回りが10%に上がるというわけです。

記事冒頭の84歳の男性も、株安になって割安になったと感じてエーザイを買ったそうです。同社は当サイトでも2回とりあげていますが、最近でもPBRは2倍を超えています。

というわけで私としてはそんなに割安だとは思いませんが、これは投資家のスタンスで違いますから。年4.8%の配当利回りは確かに高いです。

東証1部の配当利回りの平均は2.1%にまで高くなったんですね。単純に言えば、今後この利回りが続けば50年ほどで倍になります。そうすればこの株が倒産などで価値がなくなってしまっても、元本は確保されるというわけです。

ただ、配当には税金がかかりますし、50年もの長い間株を持つのもなかなか大変ではありますが。

一方で、国債の利回りは確かに低下傾向ですね。そうすると、国債はやめて株を買おうという動きが出て、理論上は株価が上がってくるはずです。

ただ、ヨーロッパでギリシャがどうなるかまだ明らかではなく、イタリアにも財政懸念が及んで、国債利回りが7%を超えました。そうなると、ユーロ圏全体がまだまだ危険だということになり、円が買われます。

すると、日本の株価はまだ上向かないということになっています。


配当重視の投資の注意点

さて、このように割安感が出て、配当利回りも高くなっている日本株ですが、かといって高配当だけに目を奪われてはいけませんよ、というのが引用記事の主題です。

この点は私も同感です。

配当利回りが高くなる原因として、株価の低迷と増配が挙げられています。前者はさきほどご説明したとおりです。

後者の増配は、企業がその決算期の配当を増やすことです。業績が良くて利益が多かったというのが典型例です。会社の何周年だから記念配を出すことも増配になります。

それなら、利益を貯めこまずに全部配当すればいいのにという考えもありますが、やはり企業が存続していくためには、不況や業績不振などに備えてお金を温存しておいたり(内部留保)、新製品などの研究開発も行わないといけません。

また、最近は知りませんが、以前はマイクロソフトはあえて配当しないという方法を採っていました。本来なら配当する利益も会社内部においておけば、会社の価値が上がり、株価が上がります。

そうして、配当でなく株価を上げることで株主に報いようというわけです。


減配リスク

さて、株価低迷によって配当利回りが高くなっているときは、減配リスクに注意せよとあります。投資家が見ることのできる配当利回りは、直近の決算期での実績です。

つまり過去の数字であり、次の決算期ではどうなるかわかりません。そして、今株価が下がっていれば、その理由は業績不振を織り込んだものであり、次の決算期では配当が減る可能性もあるというわけです。

これが減配リスクです。これはその通りです。

それではどうするか。キーポイントとして財務と業績が挙げられています。

財務は私もかなり重視しています。当サイトでも株の注目銘柄をご紹介していますが、財務を一番重視しています。

私は低位株(割安株)が好きですが、かといって割安であればどんな銘柄でもいいとは思いません。その会社が倒産などになってしまえば元も子もないからです。

記事中の鈴木さんは、総資産に占める有利子負債の割合(有利子負債依存度)を挙げています。例えばエーザイですと、約37%です。少し多いということになります。

ちなみに私はDEレシオを使っていますが、こちらは約1倍。少し多いがまだ問題ないということになります。

もう一つ、有利子負債が多いと言われるソフトバンクでも見てみます。11年3月期の有利子負債依存度は約45%、9月期は36%ですからだいぶ改善されています。

それでもまだ高いです。ちなみに9月期のDEレシオは約2倍と、やはり高いです。


業績のチェック

次に業績のチェックについてです。これは私はあまり重視していません。将来の業績がどうなるかを判断するのは難しいからです。

鈴木さんのおっしゃるように、傾向をみるくらいしかないかな、と思います。

ちなみに引用記事には、食品や通信などの景気に左右されにくい銘柄に市場関係者が注目しているとあります。


利益剰余金など

安定した配当財源があるかを見ることも大事だとあります。確かに、剰余金があれば、業績がよくないときでも配当できます。

財源がないのに配当してしまうと違法配当(蛸配当)になってしまいます。

その他資本剰余金とは、自己株式の取得や原資などの際の剰余金のことです。


配当性向

配当性向はどれだけ多く株主に配当しているかを示す割合です。前述のように利益全てを配当すれば100%です。

引用記事に紹介されているところでは、セブンアンドワイ・ホールディングスが35%、資生堂が40%、ファミリーマートが40%、コマツが最大40%などになっています。

東京エレクトロンは35%です。同社の現在の配当利回りは2.87%ですから、確かにけっこう高いです。


売買のタイミング

売買のタイミングですが、エーザイは3月の権利確定後に株価が下がり、9月の中間配当の権利確定に向けて上がる傾向だと書いてあります。

引用記事にはチャートもついていますが、たしかにそうなっていますね。

これは、もちろん3月の権利が確定すると権利落ちになって配当分だけ株式の価値が減るからです。私はこうした動きは気にしたことがありませんが、こういう動きに注目するのも面白いかも知れません。

保有株の業種の分散について。私は銘柄を分散させるやり方はいまのところ行なっていません。株主優待目的で複数銘柄を持っていることはありますが。

ただ、将来日本の財政が悪化する一方であれば、金などへ分散しなければいけないかな、とは思っています。そうなる前に財政再建してください。

株式投資の方法は本当に人さまざまで、銘柄分散をされている投資家も多いと思います。その場合、リスクを減らすために業種を分散されることは王道です。

例えば自動車株、トヨタやホンダ、日産などばかり持っていると、自動車業界が不振のとき、どの銘柄も株価が下がって含み損が出てしまうからです。

業種の分散としては、互いに違う動きをしそうな業種を組み合わせるのが一般的です。例えば、夏が暑いと利益が出る業種(エアコン製造など)と、冷夏だと利益が出る業種です。

冷夏だと好調な業種というのは難しいですが、レジャー産業などはあまりに暑いとお客さんが減り、ほどほど冷夏のほうが好調のところが多いかも知れません。

あるいは冷夏ですと農作物が不作になるので、商品先物取引でそうした商品を買っておくという手もありそうです。いわばデリバティブを使ったリスクヘッジです。

他の分散法としては、不況に弱い銘柄と強い銘柄を組み合わせるというものもあります。不況に弱いというのはたいていの業種がそうですが、たとえば証券会社、各種製造業などです。

不況に強い業種は、是非は別として消費者金融、前述の食品、医療などがあります。

また、Jリート(日本の不動産投資信託)を不況に強い銘柄の代わりに組み合わせる方法もあります。

不況になれば地価も下がりますが、一方で住宅や商業地などに投資するリートは家賃収入を確保できますから、一定の利回りを出しているところが多いようです。

逆にオフィスは不況だと入居が減りますから、オフィス中心のREITは適していません。

ただ、上記のポートフォリオは、必ずしもリスクをヘッジ出来るわけではないことにご注意ください。


女性投資家の投資法

最後に64歳の女性投資家の投資法について。値上がり益(キャピタルゲイン)が配当(インカムゲイン)の3,4年分になるようなら売るそうです。つまり利益確定ですね。

もし配当狙いなら、株価が上がっても売らずに保有し続けるという選択もあります。しかし、今後果たして業績がよいままかどうかはわからない。

株価もどうなるかわからない。それなら一定の値上がり益の出たところで売ってしまおうというわけです。これは賢い方法ですね。

ちなみに当サイトのドルコスト平均法でも、同様のやり方をご紹介しています。

製薬会社は不況にも比較的強いです。不況でも病気の方はおられるからです。確かに配当が高いところも多いですね。


まとめ

今回は、株価の低迷によって配当利回りが高くなり、投資妙味が増しているが、注意も必要だというお話でした。

財務や業績にも注目するというのは私も同じ考えです。特に財務は、不況の時こそ重要になります。

事業経営には思わぬ危機が訪れます。今年の東日本大震災、円高、タイの大洪水などなどです。そのとき、財務体質が弱すぎると、一気に経営悪化しかねません。

たとえば自己資本比率が低いということは、株式投資やFXでレバレッジを高くしているのと同じことです。調子がよいときは高収益でよいのですが、不況などに弱いです。

二宮尊徳は、事業資金の8割の規模で仕事をするくらい手堅いのがよいと説かれています。松下幸之助も同様のことをおっしゃっています。

今で言えばレバレッジ0.8倍です。株での銘柄選びでも、自己資本比率の高い企業などがよいと私は思っています。そうすれば、倒産などを心配せず、安心して配当金をもらえるはずです。

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