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ディフェンシブ銘柄へのマネー逃避と配当を求める株式投資家

ディフェンシブ銘柄へのマネー逃避と配当を求める株式投資家

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(日本経済新聞12/8/21の要旨)「銘柄選択に失敗しました」。ニューヨークのヘッジファンド、ピコニック・パートナーズのビル・ハーニッシュ社長は出資者に謝罪の手紙を出した。

1-7月の投資収益はマイナス17%。40年の運用歴を誇るプロが「市場のリスク回避志向を見抜けませんでした」と釈明した。

米景気の回復を前提に、景気敏感株を大量に購入。しかし欧州情勢が混迷したあおりで、米景気も下振れした。

マネーは景気が悪化しても収益が落ちにくい医薬などの「ディフェンシブ銘柄」に逃げ、同氏の持株は大きく下げた。

リーマン・ショックから来月で4年。だが世界景気の停滞は続いている。

1つの潮流はディフェンシブ(守りの)株へのシフト。もう1つは、企業の成長がもたらす株高よりも、配当や自社株買いなどの株主配分に投資収益を頼る傾向だ。

日本企業も(利益配分を求める)圧力を市場から受けている。欧米企業と同様、手元資金は過去最高の水準にある。

だからこそ、経営者に尋ねてみたい。「成長は本当に後回しでいいのか」と。世界の企業が投資家の弱気に促されて成長策に二の足を踏みつつあるからこそ、攻めの経営がうまくいけば競争で優位に立てる。(要旨終わり)


確かに配当はうれしいが

株式投資というものは、本来は会社に出資して利益の一部を配当で受け取るというものです。ということは、多く配当してもらえば(配当性向が高くなる)株式投資は大成功というわけです。

ただ、それだけでよいのか、という疑問をなげかけているのが引用記事です。

ちなみに出典元は日経の「一目均衡」というコラムです。投資をされている方はご存じの方も多いと思いますが、一目均衡表(いちもくきんこうひょう)というテクニカル分析の方法から名前がとられています。

一目均衡表は基準線、転換線などを使って、相場のトレンドを判断する方法です。

さて、冒頭のヘッジファンドはけっこうな損失を出してしまいました。アメリカの景気が回復すると読んだのに、欧州に引っ張られてアメリカ経済も下振れしてしまったからです。

こうしたとき、投資マネーはどうしても安全な銘柄に逃げます。ディフェンシブ銘柄は不況に強く、業績の安定した銘柄のことです。景気がよくないときでも、一定の需要がある業種を考えてみましょう。

景気にかかわらず、病気になれば医薬品が必要ですし、食べ物を食べなくては生きていけません。どこかに住まなくてはいけませんし、出かけるなら電車に乗ることも多いです。

というわけで、医薬品、食品メーカーや小売、住宅の賃貸、鉄道、電気といった銘柄がディフェンシブ銘柄となります。

実際、製薬会社は不況時でもしっかり配当してくれるところが多いです。アメリカでもこうした銘柄にお金が流れ込んだようです。

私がヘッジファンドに物申すのもなんですが、景気敏感株だけでなく、ポートフォリオの3-4割ほどをディフェンシブ銘柄にしておけば、少なくとも損失を少なくできたのではないかと思います。

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リーマン・ショックと欧州債務危機

ところで、08年のリーマン・ショックと欧州債務危機はとても関係があります。リーマン・ショックはサブプライムローンというアメリカの低所得者向けの住宅ローンが、いろいろな金融商品に組み込まれて売られていたのですが、アメリカの住宅バブルが弾けたことでサブプライムローンの価値も暴落したのが原因となっています。

その後、世界同時株安になり、どの国も投資家が大きな損失を受け、経済も停滞しました。

そこで、アメリカでもヨーロッパでも、景気刺激策として政府が財政出動し、経済を下支えしようとしました。このときに国の支出が膨らんだのが、欧州各国でも財政を悪化させたのです。

さて、こうした中で株式投資家はますますリスク回避を強めています。一方で運用成績を上げるために、「企業はお金が余っているんだから配当を増やしてよ」というのは当然のことです。

ただ、企業の内部留保というものは、利益配分だけに使われるものではありません。新商品開発や新事業を行うための研究開発費や設備投資などにも使われるものです。

それを、目先の利益だけにとらわれて株主がとにかく配当しろと求めるのなら、その企業の成長ができなくなってしまうというわけです。


足を止めたら

企業経営というものは足を止めることができない、走り続けなければいけないとよく言われますが、成長や事業拡大を志すのを止めて足を止めてしまえば、結局は競争力を失ってしまいます。

そうなれば、株価が下がって結局は株主が損をしてしまうのです。

それではどれだけを配当に回せばよいのかということになりますが、日本企業は配当性向が高くても2-3割ほどのところが多く、妥当だと思います。

ついでに言えば、国もTPP参加、法人税引き下げなど経済成長を促す政策を行うべきです。池上彰さんも書いておられましたが、手厚い保護をした産業は結局衰退します。

農業を中心にTPPには反対の声も多いですが、農家の高齢化が進み、耕作放棄地が増えている現状を見ますと、それでは今までの保護的な政策が日本の農業をよくしたのかは疑問です。

日本は少子高齢化で内需は縮む一方です。国の経常収支も赤字になるという予測もあります。このグローバル化の時代に鎖国政策をしていれば、気づいた時には日本は二流どころか三流国になっているでしょう。

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