ホーム » コラム » 分散投資 »

資本規制強化で生命保険会社が国内株保有を減らす

資本規制強化で生命保険会社が国内株保有を減らす

スポンサード リンク

Pocket

(日本経済新聞10/12/18から引用)

2012年3月期から資本規制が強化されるのを前に、生命保険各社が運用資産の内容を見なおしている。価格変動リスクが高い国内株式の圧縮が柱で、大手9社は4~9月に合計約3200億円分を売却した。
(中略)一方で国債など公社債での運用比重が高まっており、低金利下で運用益を原資とする契約者配当を維持することは難しさを増している。
日本、第一、明治安田、住友、大同、太陽、富国、三井、朝日の生命保険大手9社の有価証券の保有額は9月末時点で計109兆円。このうち、国内株は13.2%、国債など公社債は59.1%を占める。
(中略)金融庁が来年度に実施される生保の資本規制強化に関する検討チームを立ち上げたのは06年11月。この直前の決算期である05年度末に比べると、9社合計の運用資産構成は国内株は12.5%低下する一方で、公社債は9.1%上昇した。
(中略)資本規制強化で最大の注目点は、ソルベンシーマージン比率(支払い余力)を算出する際に国内株式の保有リスクを従来より多めに見積もることだ。
各社の同比率は現行より4~5割減る見通しで、悪化幅を縮小するには国内株式の保有残高を圧縮する必要がある。
国内株式に代わって、各社が残高を積み増しているのは国債など債券だ。債券での運用は償還まで保有し続ければ、一定の利回りが確保できる安定性がある。
ただ足元は新発10年物国債利回りが1%強と低水準で、利息・配当収入の押し上げ効果は極めて限定的だ。
実際の運用利回りが契約者に約束した予定利率を下回る「逆ざや」を、保険会社が穴埋めするリスクも高まりやすい。
ソルベンシーマージン比率とは:生命保険会社の財務の健全性を示す指標。保険契約や資産運用に関するリスクなどの合計額を分母、内部留保や有価証券の含み益などの合計額を分子として算出する。
200%以上あれば健全とみなされるが、下回ると金融庁から経営改善計画の提出を求められる。

ソルベンシーマージンの規制が強化され、価格変動リスクの大きな株式を保険会社が保有しづらくなりました。そのため、生命保険各社が株式を売却している、という内容です。


○契約者配当

まず契約者配当について。私は保険について詳しくないので調べたところ、保険会社の運用が好調だったり、保険金の支払いが少ないなどの理由で出た余剰金を、加入者に還元するということだそうです。(参考:生命保険見直し相談ガイド

無配当型と有配当型とどちらがよいのかはなかなか難しいようですが、少なくとも加入者にとって保険会社の運用がうまく行くほうがよいのは間違いありません。

スポンサード リンク


○資本規制強化の影響

保険会社は加入者から支払われた保険料を株式や債券などで運用しています。ある程度のリターンを出すためには、やはりリスクはあるものの株式が向いています。

しかし、金融庁が保険会社の経営の安定性を高めるために、資本規制を強化するとのことです。その狙いはよいと思うのですが、それにより国内株式の価格変動リスクを従来の2倍の量で見積もることになります。

これでは保険会社も株式を手放さざるを得ませんね。そのままですとソルベンシーマージンが下がってしまうからです。

とはいえ、機関投資家である生保が大量に株を売ってしまえば、株価を押し下げる要因となってしまいます。まあ、保険会社の破綻を防ぐためには仕方が無いのでしょうが…。


○公社債を増やした

さてその結果、05年度末に比べると、国内株の資産配分が12.5%も下がりました。そしてその分、公社債を主に増やしたそうです。

公社債とは、日本国債や外国の国債、会社の発行する社債などです。こうした債券は、満期まで持ち続ければ、元本と利息をもらうことができるので、株式のような価格変動のリスクは低いと言えます。

ただ、社債なら発行する会社が倒産などしてしまえば、債務不履行(デフォルト)になってしまいます。そのため、発行する会社の財務のチェックは欠かせません。

それさえクリアすれば、社債は2%前後の利回りは見込めます。

外国の国債も、累積債務が少なく、財政破綻の心配のない国のものを買う必要があります。

例えば英国はリーマンショック以降の金融危機によって、財政支出が増えて借金が増えてしまいました。増えたと言っても日本のような財政の極端に悪い国とは比べものにならない水準ですが。

そのため、ブラウン首相は財政再建のために付加価値税(消費税)の税率上げや、大学の授業料を上げるなどの策を打ち出しています。

もちろんこれらの政策は国民の反発も買っていますが、それでもブラウンさんは断固として実行するようです。

イギリスのような借金があまり多くない国でさえ、こうした財政再建を行っているのです。一方で先進国中最悪の累積債務を抱えながら、財政再建の進まない日本を鑑みると、ため息が出てしまいます。

話題がちょっと横道にそれてしまいましたが、外国国債を買うなら、発行元の国の財務をチェックしないといけません。

財務が大丈夫であれば、日本国債よりはるかに高い利回りを得ることができます。


○日本国債はリスクが低いのか

それを考えると日本国債は、あと数年で予算が組めなくなるという声もあります。菅内閣は税と社会保障の一体的改革に取り組むと明言されているので、私は期待しているのですが、果たして実行出来るのかはわかりません。

その上、日本国債は記事にあるように利回りが1%あたりと低利回りです。私から言わせてもらえば、ハイリスク・ローリターンです。

私なら日本国債は買いません。外国国債か、あるいは安全性の高い外国債券を組み入れた投資信託を買います。

生保会社も仕方なく日本国債の割合を増やしましたが、低利回りのために運用益は大して出ないでしょう。

私が懸念するのは、なによりも日本国債がいよいよ危ないということになって(最近もスタンダード・アンド・プアーズが格下げを1つ下げました)、国債の買い手がいなくなり、新規発行国債の利回りが上昇、一方で銀行や保険会社の保有する既発国債の価格が急落、という事態です。

そうなれば保険会社のソルベンシーマージン比率も下がってしまうでしょう。

そのため、公社債が安全とは決して言えないと思っています。それではどうすればよいか? 国が消費税上げも含む税収増と歳出削減に本気で取り組み、財政を再建するしかないでしょう。

Pocket

サイトトップページへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)