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アメリカで株のプログラムによる高速取引に規制論

アメリカで株のプログラムによる高速取引に規制論

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(日本経済新聞10/9/27から引用、抜粋)
米国の株式市場で、高速取引をめぐる規制論議が浮上している。コンピューターの自動プログラムによる高速売買は実態が見えにくく、市場を不安定にしているとの批判が背景にある。

5/6に米市場でダウ工業株30種平均が一時1000ドル近く下げた「フラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)」で、株安を加速させた一因との見方も根強い。

SEC(米証券取引委員会)などが問題視しているのは主に2点。一つは、売買を円滑にする流動性の供給義務を十分に果たしていないこと。5月6日のフラッシュ・クラッシュでは、株価急落時に「(高速取引が)売買を止めたことで市場の混乱が広がった」(シャピロ委員長)との指摘がある。

損失拡大を恐れ売買を止めた業者もあったもようだ。

高速取引は値付け業者(マーケットメーカー)の役割を担っているケースも多く、どんな市場環境でも流動性を供給する役割が求められている。

だが実際は、「証券会社間などの市場外ネットワークで売買する未登録業者もある」(米中堅証券)といい、市場の安定に寄与しようとする意識は乏しい。

もうひとつは、自らの注文全体の9割に達するという取り消しの多さだ。大量の注文で自らに有利な株価を導こうとする一方で、想定と異なる値動きになったら瞬時に注文を取り消す自動プログラムの仕組みが影響しているようだ。

大量注文は市場の取引システムに負荷をかけるほか、実際に成立させるつもりのない注文であれば価格操縦とも受け取れかねない。

昨年時点で米国株の取引全体に占める(高速取引の)比率は65パーセントに達した。(中略)SECでは市場構造のめまぐるしい変化に、監視の目が十分に行き届いていなかったことへの危機感がある。

ただ、市場には高速取引を擁護する声も数多い。米金融サービス会社アイテグループのサン・リー氏は、「高速売買で買値(ビッド)と売値(オファー)の差を縮めるなど市場の効率化に寄与してきた」と存在意義を強調する。

高速取引とは:市場の変化に応じて「1秒に1000回」という自動化された高速売買で薄い利ざやを積み重ねる手法。「ハイ・フリークエンシー・トレーディング(高頻度取引)」とも呼ばれる。

ヘッジファンドや証券会社の自己売買部門の他、「プロップファーム」と呼ばれる専門業者が手がけている。取引業者は400社程度とされる。(引用終わり)

アメリカでは高速取引が7割弱も占めているんですね。驚きました。ちなみに高頻度取引、という方がイメージにあっているような気もします。

具体的には、自動売買プログラムを使って、株価や出来高などが一定の基準を満たせば瞬時に注文を入れて、またすぐに手仕舞い注文をするような仕組みだと思います。

デイトレードの手法をコンピューターがそれよりも短い時間で、1日になんども繰り返すような事なのだと思います。

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流動性

日本でも表計算ソフトのエクセルを使った自動売買ソフトなどがありますが、私は使ったことがないので実際に儲かるのかどうかはわかりません。

ただ、こうした売買でも別に人間が取引するのとさほど中身は変わらないでしょうから、別に問題はないのでは、とも思っていました。

しかし、今回はSECがこの高速売買について問題視しているのです。

まず、流動性を高めることに寄与していないという点について。これは意外でした。フラッシュクラッシュという瞬時の急落の際に、高速取引が売買を止めたことで、市場の混乱を広げたというのです。

おそらく、瞬時に急落したのは、多くのヘッジファンドや証券会社の自己売買部門などの高速売買を手がけている投資家が、同じようなプログラムを使っているからでしょう。

例えば、そうしたプログラムは自動で利益確定や損切りの売りをするようになっているはずです。そうしますと、何らかの事情で株価がある程度下落すれば、プログラムたちが一斉に売り注文を出すことになります。

そしてその結果、株価の瞬時の下落につながったのでしょう。これが人間なら、株価が下がり過ぎだと判断して、買い注文を入れる人もいるでしょう。

しかし、プログラムではそのように命ぜられていなければ、買いは入れません。そのため、下落を止めることにもならなかったのだと思います。


取り消し注文の多さ

つまり、流動性を売買の数を増やすこと、と捉えれば、プログラムが一斉に売り注文を出すのも流動性を高めていることになります。しかし、売買のバランスを取るということも流動性と考えると、売りばかりを異常に増やした高速取引は、流動性の供給義務を果たしていないということになります。

市場外ネットワークで売買する未登録業者、という点は詳しくわかりませんが、なぜ市場外で売買するのでしょうかね。市場外ならSECなどにうるさく言われなくて済むのでしょうか?

第二に、取り消しの多さについて。高速取引の注文の9割が取り消されるというのはすごいですね。私の想像では、プログラムがある銘柄を買うときに、同時にとりあえず手仕舞い売りの注文を複数出すのではないでしょうか。

つまり、一定程度上がれば売りという注文と、一定程度下がれば損切りをするという注文です。あるいは、利益確定の注文を出すときでも、買いポジションをとった後に他の投資家による買いが急増しているときには売りのタイミングを遅らせて利益を増やすというような複雑なアルゴリズムもあるかもしれません。

このような注文が多数に出されたら、最後は複数の中からひとつの注文しか実行されませんので、残りが取り消されます。これが9割を占めても不思議ではありません。


違法な注文取消

これではいくら市場がシステムを増強しても、負荷がかなりかかりますね。この負荷という点も、高速取引の問題であるのは間違いありません。結局は取引コストの増大という結果を招き、手数料増の形で投資家全体に跳ね返ってくるかもしれません。

また、記事にあるように成立させるつもりのない注文を出せば、下手をすると相場操縦に該当しかねません。

これは日本でも同じです。例えば買うつもりがないのに大量の買い注文を出すと、板情報にそれが表示されて、他の投資家の買いを誘うことができます。そして、成約寸前にそれを取り消すという手法です。

これは見せ玉と言われ、デイトレードでよく行われます。もちろん違法ですのでやってはいけません。

こうした違法な注文取消はアメリカではSECが監視しているのでしょうが、これだけ高速取引によって大量の注文が出されると、チェックするのも難しいのでしょう。

一方、高速取引を擁護する意見について。買値と売値が離れていれば、成行注文でない限り売買は成立しません。しかし、高速取引により売買が増えれば、買いも売りも増えるので、確かに両者の差が縮まって、注文が成立しやすくなるはずです。

ただ、やはりSECにしてみれば、メリットよりもデメリットのほうが多いように見えるのでしょう。確かにプログラムの一斉注文によって株価が乱高下してしまうのは決してよくありません。

今後は取引スピードの規制も視野に入れているそうです。一定の規制はやむを得ないと思います。

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