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武富士が会社更生法を申請

武富士が会社更生法を申請

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(日本経済新聞10/9/29から引用、抜粋)
消費者金融大手の武富士は28日、東京地裁に会社更生法の適用を申請したと発表した。顧客が過去に払いすぎた利息(過払い金)の返還負担が重く、自力再建を断念した。

帳簿上の負債は4336億円だが、新たな過払い金の返還請求が大量に寄せられる見通しで、負債総額は大幅に膨らむ可能性がある。

過払い金問題を早期収拾して事業再生を目指すものの、顧客への利息返還額はカットされる見通しだ。

(新社長の吉田純一氏は)「自力再建すべく努力してきたが、社債の償還などを踏まえると更生法申請の結論に至った」と述べた。

(中略)株式は100パーセント減資する見通しだ。

消費者金融大手4社の一角である武富士が会社更生法の適用申請に踏み切ったことで、ほかの3社(アイフル、プロミス、アコム)にも危機感が高まりそうだ。

過払い金の顧客への返還額がカットされると、同業他社からも借りている人が減額を恐れて返還請求を急ぐ可能性があるからだ。

(中略)特に武富士は月間の(過払い金)返還金が最大160億円に膨らみ、他社よりも2-3倍近い水準で支払った時期も少なくない。同業他社よりも比較的高い金利帯で融資してきたからだ。

主力銀行がなかったのも、武富士が資金繰りに困った一因だった。アコムは三菱UFJファイナンシャル・グループの連結子会社で、プロミスは三井住友ファイナンシャルグループの持分法適用会社。アイフルについても住友信託銀行が主力銀行として返済猶予などの経営支援をしており、武富士とは事情が異なる。

28日の東京株式市場で武富士株が急落し、前日の売り気配に比べ、制限値幅の下限(ストップ安)となる50円(30パーセント)安の116円で取引を終えた。

東京証券取引所は28日、東証1部の武富士の株式を10/29付で上場廃止にすると発表した。10/28までは整理銘柄に指定し、売買を継続する。

(同社の会社更生法の適用申請を受けて)過去に発行した国内普通社債(SB)の300億円を含むすべての社債が、元利金の支払いが滞る債務不履行(デフォルト)になった。同社の社債発行残高は8月末時点で国内外を含め926億円。

(中略)(過払い金について)焦点は顧客にどれだけお金が戻るかだ。武富士の6月末の資産は5000億円台後半。一方、負債は4300億円超。さらに1兆から2兆円の過払い金の返還請求が負債に上乗せされる可能性がある。

このため、武富士は返還請求額を満額を支払う余裕はなく、一般の債権者と同様に、受取額が一部カットされる見込み。(引用終わり)

このニュースには驚きました。武富士と言えばテレビでコマーシャルをばんばんやって、消費者金融の代名詞的な存在でしたから。

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過払い金の返還請求

ただ、以前はかなりの利益を出していた消費者金融も、2006年に最高裁判決で、顧客、つまりお金を借りた人が過去に払いすぎた利息を返済する義務を負うということになりました。

それまでは、詳しいことは忘れてしまいましたが、民法の規定で過払い金を返済する義務が債権者である消費者金融側にないとされていたのです。

この判決は消費者金融にとっては大きな衝撃で、死活問題になりました。これまで返す必要がないとされていた巨額の過払い金の返還請求が顧客からされることになるからです。

ここ数年、テレビや新聞広告等で、弁護士や司法書士が無料で借金の相談に応じますというものを多く見かけます。これも、この判決を受けてのものです。

つまり、サラ金からお金を借りている多重債務者などが過去に利息制限法を超える金利を払っていれば、10年以内(消滅時効の期間)なら返還請求ができます。

そうなれば、債務者にとっては決して少なくないお金が手元に戻って来ますし、受任した弁護士などはその一部を成功報酬としてもらえるというわけです。

ただ、聞くところによると、こうした過払い金返還請求を手掛ける弁護士や司法書士の中には、一部悪徳な人も混ざっているそうです。

そのため、心配なら弁護士会や司法書士会に紹介してもらったり、自治体の無料法律相談に行くとよいでしょう。


過払い金カットの恐れ

さて、こうして多くの顧客から利息の過払い金の返還請求がされるようになったため、自力ではもうお金を返し切れないと判断し、会社更生法適用を申請することになったようです。

引用記事によると、武富士への返還請求は現在、未払金で11万件、1700億円されています。そして、保全管理人の弁護士によると、未請求分も含めれば200万件前後、1兆から2兆円に膨らむ可能性があるそうです。

確かにこれではすべての返還請求には応じることはできないでしょう。6月末の資産が5000億円台で、負債は4300億円超。そこに1兆円からの過払い金請求が来れば、完全に債務超過です。

残念ながら、これによりこれから過払い金返還請求をしても、受取額が一部カットされるそうです。大幅カットかもしれません。

すでに返還請求をしていても、引用記事によると影響が出るようです。同社は支払能力に乏しいので、分割払いを提案していますが、支払いが途中であれば、残りの債権がカットされるおそれがあるそうです。

現在交渉中の顧客の債権も削減されてしまいそうです。

武富士からお金を借りていた人にとっては本当にひどい話です。利息制限法を超える金利を取られたので、それを取り返そうと思ったら、それが全額返ってこない可能性があるということなのですから。


株主と社債は

ここから得られる教訓は、武富士以外の消費者金融に過払い金請求をしようと思っている方は、なるべく早めにしたほうがよい、ということです。

同業他社の大手は銀行傘下ですし、武富士ほど高金利ではありませんでした。とはいえ、これらの会社も将来どうなるかわからないからです。会社が安泰なうちに取り返しておいたほうが安心なのは言うまでもありません。

まあ、正直なところ、30パーセント近い金利を前提にしたビジネスをしていた武富士がこうなってしまったことは、自業自得という感じもします。

それにしても、利息を過払いした人や、株主、社債権者なども金銭的損害を受けてしまうでしょうから、本当にひどい話です。

まず株主は、100パーセント減資になります。つまり、いわば株券が紙切れになってしまいます。株式投資でもっとも恐ろしい事態です。

記事にあるように、10月28日まで整理銘柄に入り、売買はできます。しかし、早くも9/28に大量に武富士株は売られ、ストップ安になってしまいました。

そして、この記事を書いている10/15の時点で、株価は1円です。

こうした事態になった場合は、泣く泣く即座に成行注文で持株を売るしかありません。少しでも高く売るためです。

次に社債ですが、すべてが債務不履行になります。更生法が適用された場合に社債権者の優先順位がどれくらいになるのかはわかりませんが、少なくとも一部はカットされるでしょう。


自己資本比率

もしかすると大幅に債権額が削減されてしまうかもしれません。こうしたことを考えると、社債はそんなに安全な投資ではないともいえます。私は社債投資をするなら、なるべく自己資本比率の高いところをおすすめしています。

それでは武富士の自己資本比率はどうだったでしょうか。Yahooファイナンスをみてみましょう。同社の連結決算を見ると、08年3月期は約31パーセントでしたが、09年は15.6%に減っています。

私は株式投資の際は、自己資本比率が50パーセント以上の銘柄をおすすめしています。一般にはもっと低くても大丈夫と言われていますが、倒産などのリスクを考えて、安全性を高くしているのです。

また、社債投資でも、これくらいの自己資本比率はぜひとも欲しいところです。なぜなら、株は下がると思えば損切りしたり、ドテン売りをしてカラ売りで下げを取ることができます。

しかし、社債は満期まで保有して利息を狙うものですから、簡単に売ることはできません。つまり、株より社債の方が、さらに銘柄の安全性を重視すべきだと思うのです。

そのことを考えると、武富士の自己資本比率は社債を買うには低すぎたと(結果論ですが)いえます。

次に、私は07年の日経会社情報を持っていますので、その武富士のデータを見てみます。06年9月の中間決算です。

この時点では自己資本比率は約46パーセントでした。まあまあ高いほうなのですが、前期の約54パーセントから2割弱低くなっています。

このように自己資本比率が大きく下がり続けている銘柄は注意すべきだと思います。武富士の場合は、やはり同誌のコメントにもありますが、過払い金請求が響いていたのだと思います。

その後、09年まで自己資本比率が大きく下がり続けていたことを考えると、こうした銘柄には手を出さない方がよいと思った次第です。

というわけで、投資家としては株式投資でも、社債を買うのでも、やはり自己資本比率が一定以上あるなど、財務の安全性に注意するべきだと思います。

武富士の独立路線

次に、武富士が独立路線だった点について。他の大手消費者金融は銀行傘下に入っています。そのため、銀行からの資金援助等も受けられるでしょう。

しかし、武富士は銀行傘下に入る道は選びませんでした。それも同社の資金繰りが悪化した原因です。ただ、記事にあるように他社も過払い返還請求が大きくのしかかっているのは同じです。

ここで参考までに、競合他社の自己資本比率も調べてみました。プロミスは連結で約17パーセント。アコムは約30パーセントで、ここ3年で自己資本比率は増加傾向です。

アイフルは09年の23.6から8.1パーセントへと急落してしまいました。

自己資本比率は業界によっても水準が異なりますが、それにしてもアイフルは特に要注意だと思います。

消費者金融の銘柄については、今は買わない方が無難でしょう。

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