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空売り規制の個人名開示の疑問

空売り規制の個人名開示の疑問

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株式投資では信用取引を使うと「空売り」(カラ売り)という手法を使うことができます。

空売りとは、他者から株式を借りて、それを売り、後で買い戻すという売買方法です。空売りを使うと、売ったときよりも値下がりすればするほど利益が増えます。

そのため、相場の下落局面や手持ち株の値下がり損失を防ぐために空売りが使われます。

さて、2010年2月現在でも空売りは銘柄当たりの数量が規制されており、大量の空売りができなくなっています。

(以下、日本経済新聞08/11/28から抜粋)政府が緊急市場安定化策として空売り規制を導入してから3週間あまり。発行済み株式総数の0.25パーセント以上の空売り残高を持つ投資家に報告が義務付けられたことで、個人投資家や証券業界が困惑している。
個人の空売り残高も証券取引所で開示されるようになったためだ。
個人投資家のある人は、自分の住所と名前、投資した銘柄を証券取引所のホームページで開示された。「このままさらされるのはきつい」と、損失覚悟ですぐに空売りしていた持ち高を処分した。
空売り残高の開示は投機筋などが手がける大口の空売りをけん制することを狙っている。
資金力に余裕のない個人投資家でも、発行済み株式総数が少ない銘柄や、もともと売買高の乏しい銘柄では、個人の空売り残高が表面化しやすい。
こうした銘柄で、開示を避けるために個人が売買を控えるようになれば、株価形成がゆがむとの見方もある。
マネックスグループの松本大社長は、「個人名はイニシャルにするなど一定の配慮があっていい」と指摘する。

私もこの空売り規制については導入前からおかしいと思っていました。

狙いはわかります。ヘッジファンドなどの国際的な大口投資家が大量に日本株を空売りすれば、株価が下がります。それを防ごうというのです。

なお、こう書くとヘッジファンドがすべて悪者のようですが、全てのヘッジファンドが不適切な投資をしているのではないと思います。

さて、しかし、今回の空売り規制の仕方ではそうした機関投資家のような巨大資金を背景に売りを仕掛ける投資家でなく、資金の少ない個人投資家が売買の自由を奪われ、上記記事のように名前や住所まで公開されています。

そのことから、規制の目的が達成されていないどころか個人投資家にとって大迷惑です。

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もちろん、例えば新日鉄のような発行済み株式総数の多い銘柄ではよほど資金力がなければ今回の規制に該当するほどの空売りはできないでしょう。

しかし、例えば発行済み株式数の少ない銘柄を持っていた人が、その株を手放したくないけれど株価の値下がり損を防ぎたいという正当な目的で空売りを使った人まで個人名などが公表されるなら、そもそもその投資家は仕方ないから株の現物を全部売り手じまいしてしまうでしょう。

そうしたら株価が下がります。そしてその企業は安定株主を失うことになります。

加えて、空売りによるヘッジができないのなら、そもそも上記のような株式数の少ない銘柄を買うのを手控えるようになるでしょう。

これでは株価の下落を防ぎたいという政府の目的と逆になってしまいます。

記事にあるようにまずは個人名をイニシャルにするなどの対策をすべきです。そして空売り規制は撤廃するか、続けるにしてももっと実効性のあるものにすべきです。

10/5/13追記:個人名や住所を公表する規制については、大部分の個人投資家は公表されずに済むように改正されました。詳しくは空売りの規制を7月末まで延長をご覧下さい。当然の対応だと思います。

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