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消費税率10%への方針が決定したが

消費税率10%への方針が決定したが

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(読売新聞11/7/1から引用)政府・与党が30日決定した「社会保障・税一体改革案」に、消費税率を「2010年代半ばまでに10%まで引き上げる」方針が明記され、議論はひとつの山を越えた。
急速な高齢化で、社会保障の必要財源は今後増加の一途をたどる。税率引き上げを着実に実現する必要がある。
(中略)政府が今回の改革に合わせて行った推計によると、年金、医療、介護、子育てなどの社会保障給付費は、2011年度の108兆円から、25年度には4割増の151兆円に膨れ上がる。
(中略)保険料や窓口負担を増やすことには限界があり、消費税率を引き上げて広く薄く負担を分かち合う以外、巨額の費用を賄う方法は見つからない。
今年度見込まれる消費税収のうち、地方自治体分(44.4%)を除いた国の取り分は7.2兆円。
国の消費税収は基礎年金、高齢者医療、介護保険の「高齢者3経費」に充てられることになっているが、必要経費17.2兆円のうち10兆円が不足している。
その分は赤字国債発行の要因となり、将来世代にツケが回る。
10年代半ばの時点では消費税率10%で費用をまかなっても将来はさらに税率の引き上げが必要になる。改革案でも税率10%を「一里塚」と位置づけている。
「消費税率が引き上げられなければ、年金積立金の取崩が早まり、いずれ制度が破綻しかねない」。厚生労働省幹部は、こんな懸念を口にする。

給付抑制案

(中略)改革案には、将来必要となる税財源を抑え、消費税率引き上げに国民の理解を得るために、様々な給付抑制案が盛り込まれた。だが、踏み込み不足の点が目立つ。
例えば年金改革では、高所得層の基礎年金を減額する方針を明記した。ただ、対象は年収1000万円以上に限られ、税の節約効果は450億円程度。
その一方で低所得者の基礎年金に加算を新設するため、必要な税財源は差し引き6500億円増える。
「こんな案では、次の選挙は落選だ」。改革案取りまとめに向けた民主党の調査会では、有権者の反発を恐れる議員から、給付抑制に反発する声が続出した。(中略)
消費税率の引き上げ問題は、今秋移行の税制改革の論議に舞台が移る。政府は来年の通常国会に関連法案を提出する方針で、法案には引き上げの時期や幅を具体的に書きこむ必要がある。
(中略)政府が最後まで「15年度」に執着したのは「団塊の世代」(1947年~49年生まれ)が15年に全て65歳以上となり、社会保障費が国の財政をさらに圧迫することが明らかだからだ。
(中略)政府は2段階で増税する考えで、消費税率は13年秋以降に7-8%、16年度までに10%となる見込みだ。
一気に10%まで引き上げると実体経済に悪影響を及ぼしかねないためだ。
しかし、増税の時期を巡って民主党内には「デフレからの脱却が条件だ」など慎重な意見も根強い。(以下略)

菅直人総理大臣は辞任し、野田佳彦財務大臣が総理に就任しました。

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私は菅さんに期待していましたが、正直なところ原子力発電所の事故への対応など評価していません。

消費税率の引き上げについても、丁寧に国民に説明して理解してもらわなければならない重要かつ繊細な問題なのに、唐突に持ちだして批判を浴びました。

ただ、社会保障と税の一体改革として消費税率の引き上げ方針を明記したことは評価しています。


なぜ消費税を上げるのか

もちろん、私も上げなくても済むなら消費税率が上がってほしくありません。

ただ、日本の財政は極度に悪化しています。つまり借金が非常に増えているのです。

その理由は、入ってくる分(主に税収)が少なく、出ていく分(歳出)が多いからです。

特に歳出を増やしているのが社会保障費です。日本は少子高齢化が進んでおり、このままでは税金を多く払ってくれる現役世代が減る一方で、医療や介護にお金が必要な高齢者が増えていきます。

その結果、社会保障費が急激に増えて(現在でも年1兆円増えています)財政をさらに圧迫し、もはやこれ以上借金ができなくなるところまでいけば財政破綻になってしまいかねないのです。

財政破綻になると、本当にひどいことになってしまうと予想しています。詳しくは日本が財政破綻した場合の最悪のシナリオを想定するに書きました。

その例を挙げますと、国家によるサービスの停止、年金など社会保障制度の破綻、公務員への給料が払われなくなる、金融機関や保険会社の破綻、企業の倒産の激増、失業者の激増、国防や治安の危機、株価や円の暴落などがあり得ます。

私は日本がこのような悲惨な状況になってほしくありません。そのため、なんとか財政再建を願っているのです。


どうやって財政再建するか

それではどうすればよいでしょうか。理屈としては、税収を増やす一方で歳出を減らすということになります。

ただ、歳出を減らすのは必要なのですが、これまでも歳出削減を行ってきましたので、これから大きく減らすのは難しいといわれています。

野田新総理は国会議員の定数削減や公務員の給与を減らすことなどを行うと明言されています。議員報酬や歳費の削減や透明化、あるいは政党助成金の削減などもぜひ行っていただきたいです。

議員や官僚が「まず隗より始めよ」で自らのムダ削減に取り組まないと、国民の多くは消費税率引き上げに納得しないでしょう。

さて、歳出削減を行っていくことも必要ですが、国と地方の長期累積債務(つまりたまった借金)が900兆円ほどもあることを考えると、増税もせざるを得ないのです。

その中心となるのが消費税です。消費税は国民に広く薄く負担を求められる、脱税がしにくい、景気の良し悪しに左右されにくいという利点があります。欠点もありますが。

これだけ日本の財政が悪くなっても、まだそんなに日本国債の格付けが下がらないのは、「消費税などを上げる余地がまだある」と見られているからです。

このまま消費税率を上げなければ、税収は増えません。その一方で歳出が社会保障費の増大などによって増えていくでしょうから、どんどん借金が増えていってしまいます。

借金が増えればその利払い負担も雪だるま式に増えてしまいます。といいますか、現にそうなっています。

つまり、財政悪化を放置していれば、どんどん財政破綻の確率が増していくのです。

というわけで、とりあえず2010年代半ばまでに消費税率を10%にする、というのは仕方ないと思うのです。


10%では不十分

ただ、消費税を10%にしても、それは始まりに過ぎません。この税率では12.5兆円の税収増にしかならないので、国全体の毎年の赤字を補うには全然足りないのです。

最終的には消費税率は20-25%にしないと、借金が増えるのを止めたり、借金を減らしていくことはできないといわれています。

しかし、一気に消費税率を上げると景気に悪影響を与えるという説もあるため(反対の説もあります)、とりあえず段階的に10%にするとなったわけです。


借金をなくすのは大変

ところで、国が借金をするのは悪くないという意見もあります。税収が少なかった年にも行政を滞らせないために、国債を発行して借金をする必要があるからです。

一理ありますが、日本は戦前に戦争の費用を賄うために巨額の赤字をつくってしまいました。その反省から、今は赤字国債は発行してはいけないと法律で決まっているのです。

しかしそれでは借金ができないので、なし崩し的に毎年特例公債法案をつくって赤字国債を発行しているのです。

つまり、我が国ではもともと赤字国債は発行できないことになっているのですから、ルール無視なわけです。

ですから、そのルールをみんなで見直すか、アメリカのように債務の上限を設定するなどの必要があります。

そして、国の借金をゼロにせよとは思いませんが、借金が増えるたびに利払い負担が発生するので、国の財政が苦しくなります。

つまり、国が借金をするのが悪だとは思いませんが、程度問題なのです。今の日本は明らかに問題です。

さて、国と地方の長期債務が約900兆円ありますが、これを仮に半分にするとします。国と国民が頑張って税収増と歳出削減に取り組み、毎年5兆円の黒字が出るようになったとします。

ちなみに今は約24兆円の「赤字」ですから、毎年5兆円の黒字というのは本当に達成するのが難しいです。

毎年5兆円を借金返済に充てられますから、450÷5で借金を半分にするのに90年かかることになります。いかに借金を減らすのが大変かがよくわかります。

そして、仮に借金が半分の450兆円になったとしても、毎年国債の利払い費が発生することを忘れてはいけません。

加えて知っておきたいのは、菅直人内閣が2020年までに基礎的財政収支を黒字にすると国際公約にしたのですが、先日それを撤回したことです。

これでは日本の財政はどうなってしまうのでしょうか。


改革案への疑問

改革案へは疑問もあります。給付抑制案が不十分なことです。社会保障費が増え続けることが財政悪化の主な原因なので、それを減らすことも必要なのですが、それが不十分ということです。

例えば記事にある高所得者の基礎年金の減額です。やはり余裕のある方にはある程度の負担増をお願いするしかないと思うのですが、例えば年収900万円を基準にしてはいけないのでしょうか。

また、その一方で低所得者に基礎年金を加算するというのも疑問です。財政が苦しく年金制度の存続も危ぶまれているのですから、ばらまきと言われてもしかたありません。

与党の議員が選挙に負けるのを恐れて給付抑制に踏み込めないというのも残念な話です。財政のことを考えれば、やるしかないでしょう。

そして、なぜ給付を抑制するのかを国民に丁寧に訴えることが必要です。誰でも税負担が少なくて、高福祉を受けられるのがいいに決まっていますが、財源がなければそれは不可能なのです。

国民におもねるポピュリズムに陥るのではなく、本当に国民のためになる政治をしていただきたいです。


今後の課題

こうして考えてみると、国民の反対が根強い消費税率上げ、そして社会保障の給付抑制に取り組みには政治の強いリーダーシップと政治家自らの身を削る意思、そして粘り強くわかりやすく国民に訴えることが必要です。

非常に難しい政治課題ですが、日本の未来のためにはやらなければいけないと思います。

財政再建のために残された時間は少ないです。まず、記事にあるように団塊の世代が年金を受け取るようになれば、社会保障費が一気に増えます。

それまでに税収を増やせないと、一気に国の台所事情が苦しくなるのです。


金利上昇は大問題

また、金利の上昇も懸念されます。現在はヨーロッパやアメリカが投資先としてあまり安全でないと見られる一方で日本円や日本国債が買われています。

しかし、今後どうなるかはわかりません。日本が増税などの対策を取らずにいれば、日本が危険視されて一気に円や国債が売られる可能性もあるのです。私が海外投資家ならそうするでしょう。

あるいは国内の銀行などがこれ以上国債を買えなくなることも十分ありえます。

こうして国債の売りが増えたり、国債が売れなくなれば既発国債(発行済の国債)の価格が暴落する一方で新発国債の利回りが急上昇します。

すると、国債を保有している銀行や信用金庫などには大ダメージで、破綻もありえます(そうなれば国債の引き受け手がますます減ります)。一方で金利負担が増えるので、国の財政はますます悪化します。

例えばギリシャの国債利回りは20%近くにもなってしまっているのです。アメリカなどの国債利回りが2とか3%なのを考えても、日本の国債利回りが高くなる危険性は十分にあります。

そうして今は年10兆円ほどの国債利払い費が30兆円とか40兆円になってしまったら…財政破綻は現実のものになってしまうのです。

いつもどおりの結論ですが、とにかく早く財政再建に取り組む必要があると思います。

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