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国債増加と借金大国は別物なのか?

国債増加と借金大国は別物なのか?

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(日本経済新聞10/8/27の魔笛氏のコラムから引用)国債累積高が900兆円に達し、国民1人当たりいくらの借金だとか、このままでは日本は借金大国になるとかいう懸念が広がっている。
しかし、これは誤解である。
国民1人当たりの借金は、国民1人当たりの資産でもある。国債の発行とは国債を渡してその分のお金を国民から受け取り、財政支出で国民に返すことである。
そのため、国民の持つ国債以外の資産は変わらず、総資産は国債分(=将来の税負担分)だけ増える。
つまり、国債を発行していなければ、その分、国民の資産も少なかったのである。
国債は政府の借金であり、日本の資産とは民間の資産から政府の借金を差し引いたものである。前述のように国債増加はそのまま民間資産の増加になるから、日本の資産も変わるはずがない。
つまり、国債発行では日本は借金大国にはならない。
借金大国の可能性は国債発行とは無関係で、国民の消費意欲が高く、国内生産では足りない場合に出てくる。そのとき政府が需要を増やせば、経常収支が悪化して借金が膨らむ。
しかし、現実は消費意欲が低く、生産力が余って経常収支は黒字である。こうしたときに政府が需要を増やしても、余った生産力が使われるだけで、日本の借金は増えない。
それでも次のような懸念がある。今のところ国債は、大半が日本人に保有されているからよい。だが外国人が持つようになったら、日本全体が外国に対して借金を背負うから、借金大国になるというものである。
しかし、これも杞憂である。
外国人が日本国債を保有しているとすれば、それは外国人が、自分の資産と引換に日本国債を買ったからである。すなわち、外国人の日本国債保有高が増える分、日本人の外国資産保有高も増えている。
外国に国債の利払いをすると同時に、外国から収益を受け取るから、結局は戻ってくる。外国人が日本国債を買ったら大変という見方は、交換で日本人が外国資産を受け取ることを忘れている。
国債が問題なのは、日本の借金が増えるからではない。国債が重要な金融資産であり、発行しすぎて信用を失えば、金融危機が起こるからである。
そうなれば、1990年代初頭のバブル崩壊や2008年の世界金融危機のように、人々が不安で倹約に走り、不況が悪化してしまう。

財政問題について、私と正反対のご意見です。反対意見を聞くのも勉強になるので取り上げてみました。もし私の記述に誤りがあれば、コメント欄やメールでご指摘下さい。

まず、借金が増えれば資産も増えるという点について。たくさん国債を発行すると問題だというが、その分国民資産も増えているじゃないかということです。

これはどうなんでしょうか。たとえば、天下りをしてろくに仕事をせず、多額の退職金をもらっている元官僚がいるとします。この人に血税から支払われたお金も国民の資産でしょうか。

おまけにこの人が海外旅行に行って散財すれば、日本からお金が出ていってしまいます。

また、不必要な建物などを作っているハコモノ行政はどうでしょうか。国が保養施設を作ってもお客さんがこないから、民間に安く売り渡すということがあります。

これでは国民の資産が国債増加分だけ増えている、といえるのでしょうか。

また、一部の官僚が国費でマッサージチェアなどを購入していたこともありました。このように、国債を発行しても無駄なものに使っていれば、国民資産がその分増えたとはいえないでしょう。

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経常赤字転落の恐れ

「借金大国の~借金は増えない」の箇所はちょっと私には理解できませんでした。ただ、日本は現在は経常収支が黒字、つまり日本が外国に支払うお金より、外国から受け取るお金のほうが多いです。

しかし、今後数年で経常赤字に転落するという説もあります。もしそうなれば、海外から入ってきたお金が銀行などの金融機関に預貯金という形で回り、金融機関はそれを元手に日本国債を買うということはできなくなります。

つまり国債の引き受け手が国内にいなくなるか、激減するおそれがあります。そうすると、現在一年に44兆円もの赤字国債を発行しているのに、それができなくなります。

その結果、国はまともな国家予算を組めなくなります。司法、立法、行政の機能がストップする恐れがあります。

また、金利が急上昇するでしょう。海外投資家はリスクが高すぎる日本国債を引き受けてくれるとは思えませんし、もし購入してくれても、利回りは少なくとも6%ほどにはなるでしょう。

というのは、財政の悪化しているイタリアやスペインなどの国債利回りがそれくらいだからです。こうして金利が急騰すれば、まず国や地方自治体の利子負担が非常に多くなります。さらに予算を圧迫するわけです。

また、銀行や保険会社などが大量に保有している既発国債の値段が急落します。すると、銀行は財務基盤が急激に悪化して、自己資本比率の規制に抵触するところが出てくるかもしれません。

保険会社でも、多くを日本国債で運用しているので、保険加入者に保険金を払えなくなったり、倒産してしまうおそれがあります。

そうなれば、私たちの生活もめちゃめちゃになります。

こうして考えると、私には赤字国債の残高が異常に膨れ上がっている日本の状況は非常に危険だと思いますが…。

さらに少子高齢化による社会保障費の増大(毎年1兆円増加している)、団塊世代の大量退職(働いて納税してくれる人が減り、生活のために預貯金が減る=銀行などが国債を買う原資が減る)という問題もあります。


次に、そのうちに国債を国内で消化できなくなり、海外投資家に買ってもらうようになる点について。

確かに、外国人が日本国債を買ってくれれば、それだけの外貨が入ってきますから、日本人の外国資産保有高も増えます。

ただ、その次の「外国から収益を受け取る」というところはちょっとわかりませんでした。経常黒字のことを指しているのでしょうか? もしそうであれば、今後はどうなるかわかりません。

また、国債を買ってもらうということは、それだけの利子負担があります。国内投資家にも、海外投資家にも国が国債の利払いをしています。

現在の国債利払い費は年に10兆円程度だったと思います。年利1%ほどでこの数字です。もしそこに金利上昇が来たらどうなってしまうのでしょうか。

長期金利が3%になったとして20兆円になるという試算もあります(日経)。単純に計算すれば、6%なら40兆円前後という途方も無い額になる恐れもあるでしょう。もしそうなれば、消費税率を何%にすればよいのやら…。

一応計算しますと、消費税率1%ごとに2.5兆円の税収増になるといわれています。考えたくありませんが長期金利が6%になって年に40兆円もの国債利払い費を払わなければいけないとすると、今より30兆円の負担増です。

これを消費税率上げでまかなうとすると、12%の増税をしないといけません。

これに加えて国債償還費(元本の返済)や予算に必要なお金が他にも数十兆円は必要ですから、金利が6%にでもなってしまえば、よほど消費税率を上げないと、財政破綻は必至です。

そして、金利6%というのは他国ではありふれた数字ですから、そうなる恐れはあるのです。ちなみに国債が管理デフォルトになりそうなギリシャでは、金利が20%にもなりました。日本も借金が膨大なだけに、もっと高い金利になってしまうかもしれません。

今回の記事を読む限りでは、国債には利子負担があるという話が出てきません。しかし、国債を発行すればするほど、利子負担は大きくなります。

特に今の日本は、毎年40兆円以上も借金が増えています。ここになんかのはずみで金利上昇が起きたら…考えたくもありません。

それでも「国債が問題なのは、日本の借金が増えるからではない」のでしょうか? 私には疑問です。


国債を買っていなくても

ところで、私は以前から、日本国債はハイリスク・ローリターンだから買わないことをおすすめしています。財務省にはぶん殴られるかもしれませんが(笑)。

ただ、もし自分が個人向け国債を買っていなくても、危険であることに変わりはないのです。

以前にも書きましたが、ある評論家が、「日本の借金を増やしたらまずいというなら、みんなが国債を買わなければいいじゃないか」という趣旨の発言をしていました。

一理あるのですが、これは違います。個人投資家が買わなくても、銀行や信用金庫などが買うからです。

銀行などは不況により、企業などに資金を融資して利ざやを得るということが難しくなっています。しかし、預金者から集めたお金をなんの運用もしなければ、預金者に利子を払わないといけませんから損をしてしまいます。

そこで、「安全」と言われる日本国債を大量に買っているのです。満期まで保有すれば、国から利息をもらえるからです。

ですから、銀行に預金をしているということは、国債を自動的に買っているのと同じようなことなのです。それがいやなら、タンス預金でもするしかありません。

国民の多くが「もうこれ以上借金を増やすな」と言って、銀行などから預貯金をすべて引き上げれば、銀行も国債を買えません。

そうすれば国も大量に赤字国債を発行できなくなり、財政再建に向かうでしょう。しかし、これは現実には不可能ですね。


銀行が破綻したら

それでは、自分が預金をしている銀行がもし破綻してしまったらどうなるでしょうか。

まず、破綻するまでのことを考えてみます。銀行が大量の国債を保有していますが、金利が上がり始めると、それだけその国債の価値が下がってしまうのです。

なぜなら、新しく発行される国債は利回りが高くなっているので、みんながそちらを買ってしまうからです。古い、低利回りの国債を売って新発の高利回りの国債に乗り換える動きが増えますから、既発国債の価値が下がるのです。

もちろん、その既発国債であっても、償還期(満期)まで持ち続ければ、元本と利息が返ってきますから問題ありません。しかし、債券は満期までの期間が長ければ長いほど、利回りが高くなります。

そのため、金融機関でも長期の国債を保有しているところは相変わらず多いのです。ただし、金利が上がれば、国債がデフォルトになるリスクが高くなることに注意しなければいけません。

償還期までの期間が長いほど、そのリスクはさらに高まります。

さて、銀行は一定の自己資本を持っておかないといけませんが、保有する国債の価値が大きく下がれば、自己資本比率の規制に引っかかる可能性もあるでしょう。時価で国債が査定されれば、この時点で破綻してしまう可能性もあります。
参考:自己資本規制や国債時価評価が日本の金融機関に与えるインパクト

次に、金利急騰によって、国債のデフォルト(債務不履行)が起きてしまう可能性があります。具体的には、全部払えないよとなるか、一部返せないよとなるか、そのうち払うけどしばらく待ってくださいとなるでしょう。

一番ましなのは支払いを待ってくださいというものですが、これだけでも日本国債の信認は大きく失われます。期日に支払ってくれないということはよほどお金に困っているんだ、それでは本当に国債が償還されるかもわからない、あるいは利息すら払ってもらえないかもしれないとなるからです。

すると、国債のパニック売り(狼狽売り)が起きるでしょう。銀行も保険会社も個人投資家も一斉に国債を投げ売りします。少しでも確実な現金に換えたいからです。

その結果、国債の価値は暴落し、金融機関の資産も大きく目減りしてしまうというわけです。財務の弱いところは破綻するでしょう。

そして、金融も経済も大混乱に陥り、赤字国債の引き受け手は誰もいなくなります。お金がなくなって借金しかない国の機能はほとんど停止して、公務員には給与が払われなくなります。

警察官も裁判官も働きません。公的年金も健康保険も破綻します。公立病院には医師や看護師がいなくなります。

会社の倒産が相次ぎ、町には失業者があふれますが失業保険などもうありません。銀行は取り付け騒ぎが起き、保険会社からは保険金が出ません。

と、このようにひどいことになってしまうのではないかと私は危惧しています。その引き金はやはり金利の上昇で、いつそれが起きてもおかしくなく、また金利が大きく上がり始めてしまえばもう手遅れだといわれているのです。

銀行などの預貯金にはペイオフ(預金保険制度)があります。1行あたり1000万円と利子が元本保証されます。ただ、ペイオフは政府が保証することで運営されていますから、政府に保証するお金がなくなれば制度が破綻してしまうでしょう。

それに、同時にいくつも銀行が破綻してしまえば、とてもペイオフで支えるのは無理だろうと思います。

というわけで、自分は国債を持っていないから財政破綻しても関係ないというわけではないのです。銀行などに預貯金がある人は(ほとんどすべての国民がそうです)、自分が国債を持っているのとほとんど同じことなのです。


結論

さて、長くなりましたが、私は国債増加はこの上なく大きな問題だと思っています。そして、このまま事態を放置して、いったん金利が上がり始めたらもう手を付けられなくなります。

「景気を回復して税収を増やそう」という意見もあり、一理あるのですが、景気が回復すれば、金利も上がります。そうすると、税収が金利上昇によって増えた国債利払い費を上回らない限り、財政悪化の危険も増えます。

ただ、今ならばまだ財政再建を行うことができます。巨額の借金を一気に減らしていくことはできませんが、とりあえず借金が増えないようにすることはできます。

そのためには、消費税率の引き上げを中心とする増税が不可欠です。一方で、疲弊し持続不可能な公的年金、医療、介護などの社会保障を抜本的に整備して、かつ世代間格差を是正できるものにします。

こうすることで国民の将来への不安感を取り除き、消費が増えるようにするのです。その結果、消費税率上げによる景気へのダメージも防げます。

また、歳出削減も徹底して行います。国会議員と地方議員の定数大幅削減、歳費などの削減、公務員にも給与引き下げをお願いします。

こうすることで、歳入が増えて歳出が減りますから、赤字国債の新規発行もゼロにします。とりあえず借金が雪だるま式に増えるのは止められます。

さらに頑張って、毎年借金を少しずつでも減らしていけるようにします。最初はきついですが、借金が減れば利払い費も減っていくので、途中からは少し楽になるはずです。

野田総理は2010年代半ばに消費税率を10%に上げると明言しています。これでは財政再建をするには足りないのですが、とりあえずは大きな一歩です。

東日本大震災もあって日本の財政は更に悪化してしまいました。今手を打たないと、2020年以降は財政がいつ破綻してしまうかわからないと言われています。今が正念場です。

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