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悪い金利上昇のシナリオと貿易収支

悪い金利上昇のシナリオと貿易収支

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(日本経済新聞11/2/10から引用)(日本国債の格付けが下げられたが)大問題は、格付けではなく、悪い金利上昇へのシナリオが明確になりつつあることだ。
(中略)悪い金利の上昇は、次の要因によってもたらされる可能性が高い。
究極の要因は貿易収支である。貿易収支は黒字を続けてきているが、その幅は減少傾向にある。いずれ赤字に転落しよう。
このことは、日本国全体として、経済活動に必要な資金が不足し、海外から資金調達する必要性に迫られることを意味する。
「国債がいくら罪上がろうが、それを国内投資家が買うから、何の問題もない」との理屈が通用しなくなる。では、貿易収支が赤字化する理由はなにか。
一つは製造業の生産拠点が海外に移転することである。
(中略)もう一つは、原油や食料品をはじめとする一次産品価格の上昇である。
(中略)さらに貿易収支の赤字化は、為替相場の流れを円安へと向かわせる。円安は輸入価格の上昇を招き、物価の上昇をもたらす。同時に海外証券投資にキャピタルゲインを生じさせる。
物価上昇は政策金利の上昇につながり、国債金利に波及する。海外証券投資の収益率の上昇は、国内資産からの大量資金流出を招く。(以下略)

ちょっと昔のものですが、国債金利上昇について解説してある記事でした。原油などの価格上昇や海外証券投資については私は考えていなかったので、発見がありました。

まず、日本国債の格付けが下げられたことについて。それ自体が大問題でないというのはその通りですが、やはり格付けも金利上昇の引き金になると思います。

確かに格付けはあくまでも民間企業がつけたもので、リーマンショックのときにはサブプライムローンを組み込んだ金融商品に不当に高い格付けが与えられていたことで問題になりました。

このように、格付けは当てにならないこともあります。ただ、多くの場合にはまっとうな格付けがされている感じもします。つまり、ある程度参考になるということです。

ということは、今後もし日本国債の格付けが大きく下げられたら、やはり市場は動揺すると思います。そうすると、国債の入札でも国債はリスクが高いとみなされて、金利が上昇する危険性があります。


金利が急上昇するとどうなるか

ちなみに金利が上がるとなにがいけないのでしょうか。まず、国が国債の利払いに支払っている費用(利払い費)が増大します。

たとえば、金利が3%に上がると、利払い費が年間20兆円に増えるという試算があります(現在は約10兆円)。

今でさえ政府は毎年44兆円ほどの赤字国債を発行してなんとかやりくりしているのに、ここに更に10兆円の歳出が増えたら、文字通り火の車になってしまいます。

次に、銀行などの金融機関が損失を被ります。金利が上がれば、新発国債の人気が高まる一方で、既発国債の人気がガタ落ちします。どうせ同じ債券なら、利回りの高い方がいいに決まっているからです。

すると、銀行としては、大量に保有している国債を売って利回りのいい新発国債を買うか、国債を売らずに(低金利で)保有し続け、償還期まで待つかのどちらかになります。

前者だと、銀行などが保有する国債を大量に売るので、より既発国債の価値が下がります。そうすると、銀行に多額の含み損が生じます。もし銀行が保有国債を時価で評価することになると、経営破綻しかねません。

後者ですと、満期まで保有し続けるのですから、日本国が財政破綻しない限り、元本と利息を受け取ることができます。しかし、国債には60年償還ルールというおかしなものがあり、国債を完全に現金化するには60年もかかってしまいます。

その間、銀行は低利回りの国債をずっと持っていないといけません。金利が上がるということは、それだけインフレになりますから、保有する国債の実質的な利回りはさらに下がります。

また、金利が上がると、銀行にとっては貸付業務が減ります。銀行から事業資金などを借りるほうにしてみれば、たくさんの金利を払わないといけないからです。

一方で、銀行は預金者に高い金利を払わなくてはいけなくなります。貸付けによる収入が減る一方で、支出が増えてしまうのですから大変です。

このように、金利上昇は銀行などを破綻させ、金融システムにダメージを与えかねないものなのです。

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貿易収支の悪化

さて、それではなぜ金利が上がるのかが引用記事に書かれています。まずは貿易収支。近いうちに貿易収支は赤字になるといわれています。

つまり、日本が外国に払うお金が、外国から受け取るお金より多くなってしまうのです。現在、日本国債は94%を国内消化できていますが、これは外国から稼いだお金が銀行などに預貯金として回り、それを原資として銀行などが国債を買っているからです。

もし外国から稼げなくなったら、いよいよ赤字国債を買ってくれる人がいなくなるという恐ろしい事態になるのです。


生産拠点の海外移転

次に製造業の生産拠点が海外に移転していることです。これが貿易収支赤字化の原因とは気が付きませんでした。

たとえば衣料品をこれまでは国内で作っていたものを、海外ですべて生産するようになれば、その製品を日本が輸入していることになります。


商品価格の上昇

次に商品価格の値上がりです。一次産品とは、自然からとれたものです。農作物、原油などです。世界の人口が70億人を超えたそうですし、中国など新興国で生活が豊かになっているので、確かにこれらは需要が増えます。

そうなると、日本が輸入しているモノの値段も上がります。資源インフレです。インフレになるとお金の価値が下がるので、その分金利が上がります。


海外証券投資

貿易収支が赤字になると、理論上は円安になります。日本に外国から入ってきたお金は、円に両替されます。つまり円を買います。しかし、外国から入ってくるお金が減るので、円の需要が少なくなり、円安になるというわけです。

円安になると、外貨高になりますから、外国の株式や証券などに投資をしている人はそれだけでキャピタルゲインが出ます。すると、日本国債より海外の金融商品に投資しようとなりますから、日本国債の人気がさらに下がります。

その結果、金利はさらに上昇するでしょう。


まとめ

こうして考えますと、金利上昇はとても怖いことだと思います。よくインフレターゲットとか、景気をよくすれば財政再建ができると聞きますが、そんなに単純ではないですね。

今後、貿易収支が経常赤字になってしまえば、国債を国内消化することはできなくなります。それにより金利が急上昇すれば、いよいよ財政破綻や金融システムの崩壊といった悪夢のシナリオが現実のものになってしまいます。

そうならないうちに、財政再建を進めるしかないと思います。

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