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日本の長期金利が上がるとどうなるか

日本の長期金利が上がるとどうなるか

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(読売新聞11/12/3から引用)欧州でイタリアなど借金の多い国の金利が急騰する中、日本の長期金利も上がり始めた。
長期金利とは何を示しているのか:国が借金のために発行する国債の利回りが指標だ。10年物国債の流通利回りを指すことが多い。
(中略)日本にはどれくらい響くのか:単純計算では、金利が1%上がれば利払いが2兆円弱増える。
(中略)金融機関への影響は:日本銀行の統計では、国内の銀行が持つ国債価格の残高は、10月末に159兆2117億円と過去最高水準にある。集めた預金を運用しようとしても、企業がお金をあまり借りようとしないため、仕方なく国債を買っている。
国債の価格が下がれば、損失が出るなどして、銀行の財務が悪くなる恐れがある。
影響の大きさは:シティグループ証券が3月末時点の数字で試算したところ、三菱UFJ、三井住友、みずほの大手3銀行グループは国債の利回りが1%上がると計2.5兆円の含み損が出る。
景気はどうなるのか:金利が上がると国の利払い費が増え、政府は少しでも支出を減らそうとする。政策に充てるお金が減り、景気対策が打ちにくくなる。
企業も借金をしにくくなるので投資が減る。銀行に損失が出ると、銀行は貸し渋りをする可能性がある。
それで、景気が悪化すれば、さらに国の税収が減って財政が悪化するという悪循環に陥る恐れもある。

財政悪化が懸念されると、金利が上がります。その影響についての解説記事です。

長期金利は景気がよくなった場合にも上がりますが、財政悪化を懸念して金利が上がるのは「悪い金利上昇」となります。好景気による金利上昇と違い、悪影響が大きいからです。

11年に、ギリシャやイタリア、スペインなどユーロ加盟国で財政悪化が大きな問題となり、これらの国では金利が大きく上がりました。長期金利は一般に7%以上になると、さらなる金利上昇が起きて危険だと言われています。

なぜそうなるのかといえば、7%ともなると、国の国債費がそれだけ増えて財政をますます悪化させます。その結果、その国の財政はいよいよ破綻する(あるいはハイパーインフレになる)と多くの投資家が考えて、もっと高い金利でないと国債を引き受ける人がいなくなります。

すると金利がさらに上がり、それを見ていよいよリスクが高いから国債を買う人がいなくなる、という悪循環に陥るからです。その目安がおおよそ7%というわけです。

このように、金利はいったん上がり始めると、どんどん上がってしまうという悪循環になる恐れがあります。そうなれば財政破綻になってしまう可能性があるのです。

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日本も危ない

そして、日本にとって欧州の財政危機は対岸の火事ではありません。日本こそ巨額の借金を抱えているからです。

さて、まず長期金利とは何かです。国債の利回りが指標となって、それを参考にして銀行の貸出金利なども決まります。そして国債の利回りは、入札で決まります。

すなわち、日本の国債を買ってくれる人が多ければ低い金利で入札されますが、少なければ高い金利でないと入札してくれません。その結果、金利が上がります。

今はまだ、日本の財政は悪化しているが、消費税率を上げるなどして財政再建に取り組めば大丈夫だと市場が考えているので、日本の国債の金利は1%前後で落ち着いています。

しかし、今が大丈夫だから今後も大丈夫とはいえません。私は、今日本が財政再建に取り組まなければ、あと10年もしないうちに財政が危機的状況になると危惧しています。

もしそうなれば、金利が急騰して、日本の財政破綻も現実のものになってしまうでしょう。


金利が上がると影響は

それでは、長期金利が上がると、国の財政にはどのような影響が出るのでしょうか。国は、国債の保有者に金利を支払う義務があります。その原資となるのが国債費です。

国債費(国債の償還、利払いなどの費用)は今、1年に20兆円くらいです。そして、金利が上がると、国債費が増えます。

この記事によれば、1%上がると利払い費が約2兆円増えるそうです。利払い費が増えれば、その分国の予算を圧迫します。

例えば金利が上がっていまの約1%から4%になったとすると、1年あたり6兆円も利払い費が増えることになります。

ただでさえ毎年43兆円ほども赤字国債を発行している国の財政にとって、6兆円の新たな負担は大きすぎます。野田総理が消費税率引き上げをしようとしているのは、この火の車の財政を立て直すためです。

先ほど、金利が7%以上になると一般に危険だと書きました。日本で金利が7%になると、今よりも6%プラスということです。ということは、毎年12兆円も国債利払い費が増えるということになります。

これではいよいよ財政が悪化し、破綻も現実味を帯びてしまいます。


金融機関への影響

次に、銀行などの金融機関への影響です。長期金利が上昇すると、既発国債(すでに発行された国債)の価格が下がります。

例えば1%の金利で発行された国債を持っているとします。その後、金利が上昇して3%になったとします。すると、今度発行される新発国債は金利が3%になります。

その結果、「同じ国債を持っているなら、1%よりも3%のものがいいや」と多くの人が思うでしょう。そのほうが利回りがいいからです。

すると、1%の国債は人気がなくなり、たくさん売られてしまいます。その結果、既発国債の価格が下がるのです。

どれだけ価格が下がるのかは金利や償還までの期間によって異なります。

そして、現在国債をたくさん持っているのが、銀行や信用金庫、保険会社などの金融機関なのです。そこで、金利が上がれば、金融機関に損失が出る可能性があるのです。

その額が、3大銀行だけで1%上がると2.5兆円の含み損となるそうです。そうなると、金利が上がれば上がるほど、銀行などの財務を弱くしてしまうというわけです。

ただ、国債は満期まで保有すれば、元本と利子が支払われます(償還)。そのため、償還までの期間が短ければ、悪影響は少なくなります。

ただ、けっこう金融機関は期間が長い国債を持っているのです。

つまり、長期金利が上がれば、それだけ金融機関に悪影響が出るということです。


景気への影響

金利が上がると、第一に国の予算が圧迫されるので、公共事業などの景気対策をする余裕がなくなります。また、歳出削減のために公務員の給与カットなども行われるでしょうから、それも景気を冷え込ませます。

第二に、銀行などの財務が苦しくなるので、貸し渋りをするでしょう。これは欧州債務危機でも起きました。

銀行は一定の自己資本比率を守らないといけない、と決められています。しかし国債価格が下がれば財務が悪化します。そこで、自己資本規制比率を守るために、貸し渋りをするのです。

その結果、企業は銀行から事業資金を調達できなくなり、ますます景気が悪くなるというわけです。

第三に、金利が上がればそれだけで企業がお金を借りにくくなります。借金の金利負担が増えるからです。これは個人の住宅ローンや自動車ローンなどでも同じです。つまり消費が減ります。

第四に、景気が悪くなれば税収が減り、いよいよ政府の台所事情が苦しくなることになります。さらに財政が悪化し、国は国債の元本や金利を払えなくなったり(債務不履行。デフォルト)、ハイパーインフレになるかもしれません。


まとめ

まとめますと、日本の財政の先行きを心配する人が増えれば、長期金利が上がり、いろんな悪影響が出ます。

もっとひどくなれば、日本が財政破綻したり、それを防ぐためにわざと国がハイパーインフレを起こしたりすることになります。

もしそうなれば、日本国債も日本円も大きく価値が下がり、経済や社会が大打撃を被ってしまいます。

そうならないように、私は増税による税収増と、年金など社会保障を再整備して国民の安心を増すことが不可欠だと思います。

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