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なぜ消費税率を引き上げる必要があるのか3 低所得者対策など

なぜ消費税率を引き上げる必要があるのか3 低所得者対策など

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(読売新聞12/4/23の要旨)政府は低所得者に配慮すべきだとの声を受け、消費税率引き上げに合わせ、低所得の世帯に現金給付や税の減免措置を行う方針だ。

消費税率引き上げ関連法案では、2014年4月に税率を8%にする際、低所得者に現金を給付する「簡素な給付措置」という制度を設ける。

税率を10%まで引き上げる際は「給付つき税額控除」を導入する。消費税率の引き上げで家計負担が増える分を税の控除や現金給付で返す仕組みだ。

欧州諸国は消費税率が20%前後と高いため、低所得者対策として生活必需品の税率を低く設定する「軽減税率」を採用する場合が多い。日常生活への影響が小さくなり、納税者の不満を抑えやすいとされる。

増税分の使い道は、引き上げられる5%のうち4%分が社会保障の安定化に、1%が社会保障の充実に使われる。

増税しなければ社会保障の現在の給付水準を維持することも難しくなる。特に年金は、2.9兆円を制度の安定化(国庫負担2分の1の維持)に充てるとしており、増税が見送られた場合の影響は大きい。

税率が10%で足りるのかどうかについて、大和総研の原田泰顧問は、現在の社会保障を維持するには、2060年に60%が必要だとの試算を示す。

民主党政策調査会副会長の小川淳也氏は、社会保障費を2割カットしても、50年に25%が必要になると指摘している。

経団連の研究機関「21世紀政策研究所」が16日に発表したリポートは、基礎的財政収支を黒字化し、債務残高のGDP比を安定的に下げるには、16年度以降の10年間で消費税率を35%まで上げないといけないと試算している。(要旨終わり)


低所得者対策

消費税は、逆進性がある税だと言われます。普通、税というのは経済的に余裕がある人に多く払ってもらう「累進性」がありますが、消費税は低所得の人でも何かを買うときに払わないといけないので、逆進性があるというわけです。

そこで、低所得者に増税による負担が大きくなりすぎるのを防ぐために、対策が必要です。ただ、引用記事には、所得税なども含めて考えれば、消費税率を上げても逆進性は見られないとあります。

それでも、国民の多くに納得してもらい、消費税率を上げるためにも、低所得者対策は必要でしょう。特に今後、さらに税率を引き上げないといけないときには、必要になります。

政府はまずは、低所得者に現金を給付するという制度を設けます。これは簡素な制度なので、給付付き税額控除のように共通番号制度を導入する必要がないのでしょう。

ただ、あまり多額の給付をすれば、増税した意味が薄れてしまいます。

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給付付き税額控除

次に、給付付き税額控除です。普通、税金のとりすぎを防ぐためには、税額控除という方法がとられます。ただ、低所得者の場合、そもそもそんなに所得税を払いませんから、税額控除をフルに使うことは少ないです。

そこで、低所得者には所得税をゼロにした上で、税額控除の上限額と消費税を払った(推計の)額の差額を現金で給付するのです。

これは低所得者対策によい方法なのですが、国民ひとりひとりの所得を国が正確に把握しないといけません。そうでないと、本当は所得がたくさんあるのに所得が少ないようにみせかけて、税額控除を受けたり給付を受ける人が出るかもしれないからです。

そのためには、共通番号制度を導入することが必要ですが、プライバシーやセキュリティーの問題もあり、すんなり導入するのは難しいでしょう。

その点、軽減税率は導入するのは比較的容易です。これは、たとえば食料品、新聞、書籍などの生活必需品には低い消費税率を適用したり、ゼロにします。

軽減税率を導入すれば、低所得者が食べ物などの生活必需品を購入するときの税負担が減るので、低所得者対策になるわけです。

ただ、これは生活必需品かどうかという判断が難しい商品もありますし、消費税を納付する事業者が、税金の計算をするのが大変になるというデメリットもあります。

私はやはり、軽減税率をまずは導入するのがよいと思います。すぐに導入できますし、国民の消費税率上げへの抵抗感を減らせるからです。もちろんデメリットを少なくする工夫も必要です。

その上で、セキュリティーやプライバシー保護を整備した上で、共通番号制度と給付付き税額控除を採用すべきだと思います。共通番号制度は社会保障の歳出の無駄を省く事にも繋がるはずです。

こうすれば、税率を例えば20%とか25%に上げても、それによる問題をなるべく小さくできると思います。国の借金をだんだん減らしていくためには、結局はこれくらい高い税率にしないといけないでしょう。


社会保障の整備

1%増税分が社会保障の充実に使われます。例えば保育所での待機児童の解消や子育て支援拠点の整備などを行うそうです。こうしたことは共働きのお母さんを支援できるので、少子化対策にもなるはずです。

また、これらは雇用を生み出すことにもつながります。現在、消費税のうち国に入る分は高齢者の基礎年金、老人医療、介護という「高齢者3経費」に使い道が限られているそうです。

しかしこれでは、現役世代が税金として負担した分が自分たちのために使われないことになってしまいます。世代間格差を是正するためにお金を使うことはとても重要だと思います。

このまま少子高齢化が進んでしまえば、働いて子どもを育て、納税する現役世代がどんどん減ってしまい、国力の低下につながってしまいます。

消費税はあらゆる世代が負担するものですから、みんなで負担したお金を現役世代や次の次代を担う若者や子どもの将来のためにも使い、活力のある日本をつくることが必要だと思います。


税率はどれだけ必要か

消費税は当面10%まで引き上げることが検討されています。ただ、10%では危機的な国の財政を健全化するにはとても足りません。

平たく言えば、借金が多すぎるので、最終的にはもっと消費税率を高くしないと、借金を減らしていけないのです。

記事には60年に60%とか、50年に25%というような衝撃的な試算が紹介されています。ただ、そもそもいまの財政ではそこまで行く前に、日本の財政が破綻してしまうでしょう。

なにしろこのまま税収を増やしたり歳出のムダを削減する努力をせずに財政悪化を放置すれば、国(と地方)の借金総額(債務残高)がどんどん増えていきます。

すると毎年国が負担する国債の利払い費も雪だるま式に増えていきますから、放置すればするだけ財政破綻の確率が高くなるのです。

そのため、なるべく早く増税や歳出削減を行い、赤字国債の新規発行額を減らし、ゼロにする。そしてゆくゆくは借金を減らして行かないといけないのです。


増税は不可欠

経済の専門家の中にも、日本は財政破綻などにはならない、増税は不要だと唱える方もおられます。しかし、今でも国は毎年10数兆円の国債利払い費を負担しています。赤字国債は毎年44兆円前後も増えています。

それなのに増税が不要なのか、私には納得できません。

もちろん経済成長を促すために国が努力したり、歳出のムダを削減することは必要です。ただ、それだけで巨額の借金を減らせるとはとても思えないのです。

国の借金は、赤字国債の9割超を国内消化できているとしても、国債を保有する人に返済しなければいけないものです。それを放置するということは、今の若者や子供達、あるいはこれから生まれる子どもにまで巨額の借金を背負わせるということです。

それはまさに経済的虐待ですし、少子高齢化をさらに推し進めてしまうことになります。

国の財政を立て直し、社会保障を整備して持続可能なものにする。そうして初めて、国民は年金制度などを信頼出来るようになり、少子高齢化の是正にもなるのではないでしょうか。

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