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税制改正を考える

税制改正を考える

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(読売新聞10/6/29の森信茂樹・中央大法科大学院教授の記事から引用、抜粋)
政府税制調査会専門家委員会の報告書が公表された。

財政問題の深刻さを考えると、(税制の)見直しの方向は賛同できる。

さて、所得税の再分配機能を強化するという場合、最高税率を引き上げる方法と、所得控除を縮小する(課税ベースを拡大する)ことにより高所得者の負担を高めていく方法の二つがある。

私は以下の理由から、現在50パーセントになっている個人所得課税の最高税率引き上げは慎重にすべきであると考えている。

第一に、先進国としての哲学の問題である。わが国の所得課税の最高税率は、1999年にそれまでの65パーセントから50パーセントへと引き下げられ、国と個人の取り分がイーブン(5公5民)になった。

勤労の成果である所得に対して、国が半分以上とることは好ましくないという哲学に基づく改正であった。

第二に、グローバル経済の下での税率引き上げは、海外へ資金を移動しようという誘引が強く働く。富裕層の海外への資金移動が加速すれば、所得捕捉の困難性は増し、日本の税額の減少をもたらす。

第三に、合法的節税商品による租税回避行為を加速させる懸念がある。例えば、ワンルームマンションへの投資は、減価償却と利子控除が組み合わされており節税効果が大きい。

お金持ちがそんな手法で税負担を減らせば、最高税率引き下げは、所得の高い人はより多く負担するという垂直的公平性にはんするということになる。

この結果、期待された税収もあがらないということになる。そこで、このよう な問題を避けつつ再分配機能を高めるためには、民主党が2010年度税制改正大綱で示している、「所得控除を整理・縮小し、税額控除や給付を組み合わせる」という方法をとればよい。

女性の労働に不利な配偶者控除の手直しや、給与所得控除に上限を設けるという形で所得控除を縮小し、同時に、低所得者層には税額控除や給付を組み合わせれば、高所得者層の税負担が増加する一方、低所得者層の負担は軽減され、所得再分配機能が高まる。

わが国の格差の拡大は、高所得者の所得が増えたというより、低所得者の所得が下落して生じた事を考えれば、貧困に悩む層に焦点を当てて所得再分配を手厚くすることが効率的だ。

税制全般の見直しに当たって必要なことは、強い経済が基本となる、ということである。

具体的には、法人税は国際標準並みへの軽減、所得税、相続税は微調整、税収確保は基本的に消費税で、というメリハリの利いた税制改革の方向を示すことが必要だ。

成功者に対して懲罰的な最高税率の引き上げは、慎重に進めるべきであろう。(引用終わり)

今回は税制改革に関するお話です。直接には株式投資には関係がありませんが、日本の経済や財政再建に直結することです。

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日本の財政は危機的状況

私は日本国の債務残高、つまり借金が毎年膨れ上がっていることに強い懸念を抱いています。2010年には900兆円を超えました。現在の菅直人総理は財政再建に取り組む考えを表明しています。

しかし、それでも国家予算を全省庁で一律1割削減を打ち出したところ、閣僚から不満が続出しました。一律削減という手法には問題もあるかもしれませんが、私はそれくらいの意気込みでやらないと、歳出削減などできないと思います。

そして、仮に歳出を削減したとしても、当分は赤字国債の新規発行額を0にすることはできないでしょう。せいぜい発行額をなるべく減らすことに留まるはずです。

そうすれば、国の借金の増加するペースが遅くなるというだけで、借金を減らせるわけではありません。

そして、債務が増えれば、それだけ国債の利払い費も増えるのです。その先に待っているのは、国家の財政破綻という最悪の事態かもしれません。

また、医療や介護などにかかる社会保障費も、毎年1兆円増えていく、といわれています。現在でも国債を40兆円超も発行して(2010年度)なんとかやりくりしているのに、これではとても財政が持たないです。


所得税の最高税率

そうした厳しい状況の中で、重要になるのが税制の改革です。税制を変えることで、国の税収を増やせば、赤字国債の発行額を抑えることができ、将来的には借金を減らしていくことにつながります。

また、法人税を軽減することで、企業の経済活動が活発になり、景気をよくできるのではないかと議論されています。日本の法人税は先進諸国の中でも最高レベルです。

加えて、税による所得の再分配機能によって、お金に余裕のある人に多く税金を払ってもらい、それを低所得者に回すことで、貧困問題をある程度解消できるはずです。

こうしたことから、税の問題は今、非常に重要だと思います。

まず、所得税の話です。記事にあるように、日本の所得税との最高税率は以前は異常に高かったのです。詳しく申しますと、お金持ちは所得の9割弱(!)を所得税と地方税で取られていたのです。

これはおかしいと思います。確かに経済的に余裕のある人に、多めに税金を払ってもらいましょうというのは正しいです。しかし、悪いことをして儲けたならともかく、一生懸命仕事をして成功した人が、約9割も税金で取られてしまうというのは、もはや金持ちいじめでしかありません。

そこで、森信先生のおっしゃっているように、お金持ちでも半分までしか税金で取らないようになったのです。

現在、税制改革でこの所得税率を上げることも検討されているようですが、やはり50パーセントを超えて税金をとることは、そこまで国がする権利があるのか、と思います。


日本とアメリカ

よく言われますが、アメリカは成功者をアメリカン・ドリームの体現者として賞賛しますが、日本はねたむといわれます。

もちろんアメリカにも成功者へのねたみはあるでしょうが、感覚としてはこの言葉はあっていると思います。その表れが以前の異常に高い最高税率でしょう。

おまけに、感情的な話になってしまいますが、国が私たちの納めた税金をすべて、本当に国民のために使っているかというと、疑問です。

数年前も国民年金の積立金で勝手に宿泊施設などを作っていたという話がありました。冗談ではありません。

このことから、私も税金を高くするというのには基本的には反対です。ただ、前述のように国の財政は年々悪化しており、財政破綻やハイパーインフレもありうると思います。

そのため、税制を改正して国の借金を減らしていくことは不可欠だとも思います。そこで主に議論されているのが消費税ですが、それは後に述べます。


海外への資金の移動

さて、税率引き上げはかえって海外への資金移動を加速させるという森信先生の指摘はもっともだと思います。ただ、お金持ちがそうすることがそんなに悪いとは私は思いません。

なぜなら、例えば日本はペイオフ制度があります。銀行に預けておいても、そこが破綻してしまえば、1000万円と利子しか戻ってこない恐れもあります。
参考:預金保険制度(ペイオフ)とは

一方、例えばアメリカは確か2000万円まで保証されます。このように、銀行選びまで自己責任でやれ、と国が言っているのですから、海外に有利な預金先などがあればそこを選ぶのは当たり前です。もちろん脱税はいけませんが。

いまやみんながいやおうなしにグローバル経済の中で生きているわけです。それなら、それぞれが金融の面でもグローバルに、海外の銀行などを利用するのは当たり前だと思います。

ちなみに、海外の銀行などを利用することは、金融ビッグバンによって解禁されましたので、まったく問題ありません。

ただ、あまりに税率引き上げをすれば、海外への資金移動を加速させるので、かえって税源が減ってしまうと森信教授は指摘されているわけです。私も同感です。

次に、合法的な節税商品についてです。これは、タックス・シェルターとも呼ばれます。

記事には例としてワンルームマンションが挙げられていますが、私は不動産投資に詳しくないので節税効果の内容がいまいちわからず、残念です。


節税

ここで節税と脱税の違いについて触れておきますと、節税は税法に違反しない方法で税金を減らすことです。脱税は違法な手段で税金を減らすことです。

ですから、節税は誰でも大いにやっていいものです。もっとも私は節税するほどの収入がありませんが(笑)。

節税対策のできる保険などが登場しますが、節税の本を書いておられる大村大次郎氏によると、すぐに法改正などがされて、税務署に否認されるそうです。

そうしたことを考えると、ワンルームマンションは税金の面でかなり魅力的なんでしょうね。

教授がおっしゃっているように、もし所得税の最高税率を上げても、お金持ちが節税を徹底的にやれば、あまり実効性がなくなるでしょう。

そこで、所得控除を整理・縮小して、税額控除や給付を組み合わせるということになります。

配偶者控除は一定の額以上の所得があれば、使えなくなってしまうという欠点があります。確か103万円でしたか。

このために、例えばパートで働いている奥さんがもっと働きたいのに、労働時間を抑えてしまうというおかしなことになっています。

給与所得控除は個人事業主が会社設立(法人成り)をする最大のメリットといわれています。つまり、事業主が会社を作ってそこから給与をもらうことにすれば、この控除が使えて税金を減らせるのです。もちろん合法です。

この控除に上限をもうければ、高額所得者の支払う税金が増えるというわけです。

一方で低所得者層への対策も紹介されています。税額控除は、所得控除と違って、支払う税金そのものを減らしてもらえるので、低所得者に有利なものです。

日本は世界的には所得格差の小さな国といわれていますが、格差が広がっているのは確かなようです。税制を改正して、貧困対策に取り組むのはとてもよいことだと思います。


消費税

最後に消費税ですが、政府が無駄な支出の削減を進めたうえで、必要最低限の程度で消費税率を上げることは必要でしょう。もちろん消費税が上がるのは私も嫌ですし、ほとんどの人にとってもそうだと思います。

しかし、1年の税収を上回る額の赤字国債を発行している今、なんとかして税収を増やし、このいびつな財政を再建することは不可欠です。

そのためには、消費税を上げるのはやむをえないでしょう。ただし、それは景気を悪化させたり、低所得者の負担が大きいという問題点も伴います。

財政再建のためには、消費税は25パーセント前後にしなければいけないという説が多いです。これでは前記の問題点が大きくなってしまいます。

それを解消するためには、食品や医薬品への軽減税率を適用したり、法人税率を下げるなどの対策も必要だと思います。

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