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財政悪化に備えることは必要か

財政悪化に備えることは必要か

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私は日本の財政の将来に対して非常に危機感を抱いています。それに関連して日本経済新聞に興味深い記事が掲載されていました。

(日本経済新聞10/7/5「クイックサーベイ」から引用、抜粋)

ギリシャ危機をきっかけに世界各国でソブリンリスク(政府債務の信認危機)が注目され始めた。
中でも日本の公的債務は国内総生産(GDP)の約1.9倍と、先進国中最悪。
ただし専門家の多くは「すぐに日本国債が暴落することは考えにくい」(日興コーディアル証券の末沢豪謙チーフストラテジスト)とみている。
安心して保有する傾向の強い国内投資家が95パーセントを保有しているからだ。
それでも不安なら個人はどうすればいいのか。ファイナンシャルプランナーなどからは「貯蓄は1000万円まで保護される。この範囲なら貯蓄は国債より安全」との声も聞かれる。
ただ、これはやや疑問だ。保護の担い手である預金保険機構の原資の多くは政府保証債。「国債がもし危なくなれば、政府保証債による資金調達だって困難になるだろう」(財務省幹部)
外貨建て資産や金などは影響を受けにくいかもしれないが、あるかないかわからない国債暴落に備えて資産運用を偏らせることは、それ自体がリスクになる。
例えば過度に外貨資産を多くしていた個人は今回の円高で痛手を受けたはずだ。
JPモルガン・チェース銀行の佐々木融・債券為替調査部長は「もし国債が本当に危なくなる時期が来るとしても相当先だろうし、そこに至るには幾つかのステップがある」と指摘する。
それは
1)財政悪化の進展による金利上昇
2)外国人の保有比率の大幅な高まり
3)その後のさらなる財政悪化に伴う外国人の国債売り
などだ。
「特別な対策はそうした明白な兆候が見えた後でも遅くない」という。
現時点で国債暴落を想定した資産運用を考えるより、財政健全化への政府の取り組みを監視するほうがよほど大切だろう。
アンケートでは、菅直人政権が打ち出した消費税増税について歳出のムダの排除が前提」との声が目立った。

(引用終わり)

インターネットでのアンケートをもとに書かれた記事です。一部賛同しかねる箇所もありましたが、それも含めて書いてみます。

まず、日本の財政状況は先進国の中でまさに最悪です。調査でもほとんどの人が財政に不安を感じているというのは納得がいきます。

すぐに国債が暴落するのは考えにくい、という点は私も同感です。現在はまだ国債の大部分を国内で消化できており、銀行などの金融機関や保険会社などが国債を買い続けているからです。

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○ペイオフが信頼できない?

次に、この記事で一番衝撃的だったのが、ペイオフ(預金保険制度)があっても1000万円と利子が必ず保護されるとはいえない、という点です。

国債価格が暴落してしまえば、政府保証債による資金調達が難しくなり、ペイオフが機能しなくなる恐れもあるというのです。

ということは、私も懸念している「国債価格の暴落によって金融機関が破綻する」という場合に、もしかしたらペイオフで保護されるべき預金も全額は返ってこないかもしれないのです。

もしこんなことになったら、取り付け騒ぎどころか暴動が起きてしまうのではないか、と本気で危惧します。

いずれにせよ、もし最低限の銀行などへの預金すら保護されないとしたら、財産を守るためにどうすればよいのでしょうか。

私も複数の銀行や信用金庫にそれぞれ1000万円預けておけばそれは保護されるだろうと思っていたのですが、考え直さなければいけないです。

やはり、ペイオフすら信用できないとなれば、現物資産である金や白金などの貴金属、または不動産を買っておく、というくらいしか対策はないと思います。

あるいは富裕層なら海外の銀行に預けるという手もありますが、手間やコストがかかるので私も含めて多くの方にとっては現実的ではないと思いますので割愛します。

もう一つの現実的な方法は、証券会社にお金を預けておくことです。証券会社が破綻したら、財産の保護はどうなるかで詳しく解説していますように、証券会社は分別保管が義務付けられていますので、証券会社が破綻したとしても、よほどのことがない限り全額が返ってきます。

自己資本規制比率の高い証券会社を選べば、さらに安全です。


○財政破綻に備えるポートフォリオ

次に、国債暴落に備えて資産運用を偏らせることは、それ自体がリスクになるという点について。この点は賛同できないところもあります。

もちろん、この記事のおっしゃりたいことはわかります。資産の多くを過度に外貨にしていたら、円高で損を被ったというのはその通りです。

ただ、国債暴落や金融機関の破綻、ひいては国家財政の破綻というような最悪の事態に備えて資産を円から外貨や金などの貴金属、不動産などに移すこと(これが記事の言う資産運用を偏らせることでしょう)は、リスクが伴うことは仕方ないのです。

どのような資産運用をしても、リスクを伴います。記事中の外貨は確かに円高で損を出したでしょう。しかし、金を買っていたら、金は値上がりしていますので(10年7月現在)逆に利益が出たはずです。

このことから、国債暴落に備えた資産構成にすることはリスクがあるという書き方は必ずしも正しくはないと思います。

外貨を増やせば円高で損をしたという一つのことだけで、危機に備えた資産運用は危険だということはできないと思うのです。

もちろん、記事を書かれた方のおっしゃりたいことは分かります。金融危機などに備えて、「過度に」資産を金だけにしたり、外貨だけにするのはリスクが大きいということでしょう。

しかし、それでは運用にはリスクがあるから、といって例えば財産のほとんどが円という場合、もし円安になったらハイリスクです。運用しないで円で持っておくというのも、リスクが大きなことには変わりありません。

また、例えば資産を金や外貨、不動産などに分散させてもリスクがありますが、それならリターンを狙った資産運用でもリスクが伴うのは同じです。

リスクがあるなしではなく、危機に備える場合と備えない場合とでどちらが結果としてリスクが少なくて済むかということを考えるべきではないでしょうか。


○安全性の高い資産分散法

私は金融危機などに備えるためのポートフォリオをご紹介しています。商品ETFを組み入れた安全性の高いポートフォリオの中ほどをご覧下さい。

このポートフォリオ(資産構成)は通貨も円だけでなく外貨にも分散しています。ペイオフが機能しないこともあるということを知る前に考えたポートフォリオですが、通貨を分散させている点は正解だったと思います。

ただ、外貨預金は銀行が破綻した場合には保護されないこともあるので、そこが気がかりです。その場合には、FX(外国為替証拠金取引)の中でも分別保管が義務付けられている大証FXを利用すればまず大丈夫でしょう。くりっく365も同じです。

FXというと、レバレッジが高いのでハイリスクなイメージがありますが、レバレッジを低めにすれば外貨預金と同じです。

また、上記のポートフォリオでは外国債券投資信託や外国リートにも投資して、日本で国債暴落などが起きてもある程度リスクヘッジできるようにしています。株式投信も外国と日本とに分散しています。

このような分散資産にしておけば、日本で金融危機が起きてもある程度は持ちこたえられるだろうと思います。少なくとも資産の全てが円という場合よりははるかに安全なはずです。

というわけで、財政危機に備えて資産構成を変えることはリスクがあるからやめようというのは、必ずしも正しくないと思います。

もちろんリスクはありますが、上記のように資産を分散させれば、リスクを減らすことはできますし、利益(リターン)を得られるときもあります。

それよりも、日本の財政を根拠もなく楽観して何の備えをしない(例えば財産のほとんどを円にする)ことの方がリスクがはるかに高いと私は考えます。


○あるかないか分からないから備える

もう一つ、この記事で疑問なのは、「あるかないかわからない国債暴落に備えて」という部分です。

おそらく記者のおっしゃりたいのは、きちんと政府が財政再建に取り組めば国債暴落が起きる可能性は低い。だからそれに備えた資産構成にすることはないということでしょう。

しかし、「あるかないかわからない」からこそ、それに備えるのが危機管理というものです。

例えば自動車保険は、交通事故に遭うかどうかわからないからこそ入るのです。事故に遭うかどうかわからないから保険に入らない、というのではいざというときに困るのです。

そして、国債暴落の可能性が低いとは私は決して思いません。その根拠は、第一に日本の債務残高は先進国中最悪であること。

第二に、その(国と地方を合わせた長期の)債務残高は今後少なくとも10年は増え続けるだろうこと。仮に国債発行額を抑制して年に20兆円の国債を発行したとしても、単純計算で2020年ごろまでには債務残高が1000兆円を超えます。

ちなみに短期債務を合わせると、すでに1000兆円を超えています。

第三に、国債の発行残高を急ピッチで減らしていくことはほぼ不可能であろうこと。仮に消費税を15パーセントまで上げたとしても、毎年24兆円の税収増にしかなりません。

この税収増も、消費税の逆進性を緩和するために食品などの税率を下げたり、低所得者への配慮措置をすれば、もっと少なくなります。また、増税により消費が落ち込めば、税収も減ります。

ただし、早いうちに一気に増税をして、財政再建と社会保障整備をすれば、将来の経済成長につながると小黒一正氏はおっしゃっています。この点は勉強中です。

そして、所得税の最高税率を上げたりしても、対象となる納税者が少ないのでたいした税収増にはなりません。

これらのことも考えて、仮に消費税などを上げて毎年24兆円の税収増があったとします。それにしても、現在も国債費だけで20.6兆円も使っているのです。

おまけに赤字国債発行額を抑制するのですから、よほどの緊縮財政にしても、借金を返済していくのは難しいでしょう。

もし仮に国が財政再建と景気対策に本気で取り組んで、将来に(かなり楽観的なシナリオですが)次のような一般会計予算を組めるようになったとします。

歳入:
税収  61兆円

歳出:
一般歳出  35兆円
地方交付税など  12兆円

これは、上記の税収増と、徹底的な無駄の削減によって国の支出を3割以上減らした場合です。こうすれば、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)は14兆円のプラスと素晴らしい数字です。

しかし、国債費も長期債務残高が1000兆円を超えている以上、現在の20.6兆円よりは増えてしまっているでしょう。仮に23兆円とします。

そうしますと、さきほどの14兆円のプラスを国債費の23兆円が上回ってしまうので、その差額である9兆円をどうにかしなければなりません。

特別会計から埋蔵金などを発掘できればよいですが、そんなに埋蔵金は埋まっていないでしょうし、一度掘り出せば二度と使えません。

すると、9兆円分は赤字国債を発行するしかなくなります。ということは、これだけ税収アップと緊縮財政を貫いても、国債を減らすどころかまだ発行しなければならないのです。

さらに、上記の国債費は金利が低いままと仮定していますが、このまま国と地方の借金が増えれば、早いうちに金利が急騰して国債費も跳ね上がってしまう危険性もありますが、ここではそれは考慮しないことにします。


○消費税25パーセントの場合

それでは消費税を思い切って25パーセントまで上げたらどうでしょう。単純計算で48兆円の税収アップが見込めます。しかし、上記のような食品への軽減税率などや、増税による景気の冷え込みを考えると、とてもそれだけは増えないでしょう。

仮にこの消費税によって税収が77兆円になったとすると、基礎的財政収支(プライマリーバランス)は30兆円のプラスで、国債費を含めても7兆円のプラスになります。

この7兆円を毎年借金の返済(国債の償還)に充てれば、1000兆÷7兆で140年ほどで全ての借金を返すことができます。

(国の借金はまったくなくす必要はありません。ただ、赤字国債はそもそも原則として発行してはいけないことになっているのですから、すべて償還すべきでしょう)

逆に言えば、消費税を25パーセントまで上げて、徹底的な無駄の削減を行っても、毎年7兆円しか借金を減らせないのです。

しかし、消費税を25パーセントまで上げれば、例えば3000万円のマイホーム(土地と建物)を買うのに、750万円の消費税がかかるのです。

これでは消費が大きく冷え込むのは間違いありません。また、歳出の無駄を減らす以上は、公務員の賃金や手当てを大幅に削ることも不可欠です。

しかしそうすれば、消費者が使えるお金も大幅に減るということです。そのため、消費税を上げても、上記のような税収が見込めるかどうかは疑問です。

おまけに、少子高齢化によって日本が経済発展を続けていくのもなかなか難しいと思います。ということは税収がさらに減ってしまうかもしれません。

というわけで、国の巨額の負債を減らしていくのは至難の業です。それを嫌って日本政府がお得意の先延ばしをすれば、借金は減らないどころか増えていきます。

そうなれば、金利の急騰と国債暴落は現実のものとなります。


○すぐには国債の危機は来ないだろうが

次に、国債が危なくなる時期が来ても相当先だろうという箇所について。これはその通りだと思います。

まず、政府が本腰を入れて財政再建に取り組み続ければ、将来は債務残高を徐々に減らせるか、そこまで行かなくても債務残高を増やさない状態を保てるようになるでしょう。

ただ、そうなるまでの間は、赤字国債を額は抑制しつつも発行し続けることになるでしょう。そうしないと予算が組めないですから。

そうしますと、長期債務残高が1000兆円の大台に乗ってしまう日が来ると思います。仮に毎年20兆円の国債を発行すれば、10年で200兆円も借金が増えるからです。

なお、毎年赤字国債発行額を20兆円に抑えるのは多分無理でしょう。つまり、現実にはもっと早く1000兆円を超えると思います。

そうして大台に乗ると、人々の心理に与える印象がまるで違ってしまいます。

また、国債購入の原資と言える個人金融資産も、ローン等の借金を除けば実質は1000兆円ほどという説もあります。おまけにこれには株式や投資信託なども入っているので、実際には国債購入の原資となる現預金はもっと少ないかもしれません。

加えて、債務残高が増えれば、国債の利払い費が増えてしまいます。そうなればまた債務残高が増えて、また利払い費が増えるという悪循環になってしまいます。

そうしているうちに、スタンダード・アンド・プアーズなどの格付け会社が日本国債の格付けをさらに落とさざるを得ないでしょう。


○金利上昇の悪夢

格付けが下がったときに、国内の銀行などが国債を買い続けてくれるかどうかはわかりません。

また、上記のように個人の金融資産を国債発行残高が上回れば、国内の引き受け手はいなくなるでしょう。もし引き受け手が少なくなれば、金利が上がります。

金利が上がれば、既発国債の価格が下がる、国債利払い費が増える、経済が冷え込む、というまさに悪夢になります。

そこで、金利が上がる前に政府には本気で財政再建に取り組んでもらわねばなりません。

一方、もし政府が財政危機を甘く見て財政再建に取り組まなかったら、そのうちに国債の危機が訪れることは間違いありません。

記事の佐々木氏によると、既に述べた金利上昇、外国人の保有比率の大幅上昇、さらなる財政悪化による外国人の国債売りが挙げられています。

外国人の保有比率の上昇についてですが、最近(10年7月)中国が短期の日本国債を確か5000億円分ほど購入したようです。

外国が日本国債を引き受けてくれれば(政治的な話は別にして)金利上昇を避けるためには良いと思うのですが、それにしても今後外国人投資家が日本の国債を大量に引き受けてくれるとは私には思えません。

また、財政悪化がさらに進むと、外国人投資家が金利上昇やそれによる国債価格暴落を嫌って国債を売るというのが、佐々木氏のおっしゃる第三の点だと思います。これは大いにありうることです。

私は詳しくありませんが、国債の先物市場を使って株でいう空売りをすることも可能です。そうすれば、海外の投機筋などが売り浴びせをするかもしれません。

もしそうなれば、売りが売りを呼んで国債価格はさらに暴落します。国債を大量に保有する銀行や保険会社などの経営に大きな影響が出て、これらの破綻があるかもしれません。

こうなれば、こんなに危ない国債を買う人は国内にも海外にもほとんどいないと思われます。そうなれば、事実上国は新規に国債を発行できませんので、超緊縮財政にするしかありません。

またこのような段階になれば国債の信認危機(ソブリンリスク)、つまり日本国債がデフォルトになる危険性はきわめて高くなりますので、金利は急上昇します。

それはギャロッピング・インフレやハイパーインフレを招くでしょう。


○いつから対策をとるべきか

佐々木氏は、こうした明白な兆候が出てから特別な対策(おそらく金を買ったり、外貨を買ったりということを指しているのでしょう)を取るのでも遅くないとおっしゃっています。

この点を3つのシナリオに分けて考えてみます。

第一に、国が財政規律を重視して財政再建に本気で取り組んでいくものです。具体的には、歳出の無駄を徹底的に省き、消費税や所得税も必要なだけ上げます。

具体的には消費税を25パーセント以上にする必要があるでしょう。また、消費税は社会保障目的税に名前を変え、日本の財政悪化の一番の原因である社会保障費のみに使用します

これにより、なるべく早く基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を均衡、つまりプラスマイナスゼロにします。しかしそれでも国債の利払い分だけ債務が増えてしまうので、その次に基礎的財政収支をプラスにします。

こうすれば、赤字国債を新規に発行せずに、国債を徐々に償還していくことができ、財政は健全化に向かいます。

このシナリオなら、国にも国民にもよほどの覚悟が要りますが、国の借金の問題は解決に向かうので、私たちもそんなに危機に備えた資産運用をする必要はありません。

○ほどほどに財政再建というシナリオ

第二に、国がほどほど財政再建に取り組むというシナリオです。行政改革によって歳出の無駄をなるべく削り、税金アップはなるべくしないというものです。一番可能性のあるシナリオです。

このシナリオで上手くいけば一番良いのですが、仮に無駄を省いて政策向け支出を2割削減しても、約57兆円にまでしか削れません。

一方で歳入は10年度の税収が37.4兆円でした。埋蔵金などによる収入は毎年は捻出できないでしょうから0とします(もちろん無理なくこうした収入が増えればよいのですが)。

すると、税収が変わらないとすると歳出を削っても基礎的財政収支だけで約20兆円のマイナスです。さらに国債費(国債の償還や利払いの費用)が約20兆円ですから、合わせて40兆円のマイナスです。

これをすべて赤字国債で賄おうとすると、また毎年40兆円もの赤字が増えてしまい、財政破綻へまっしぐらです。

それを防ぐためには、やはり増税しかありません。しかし、消費税を1パーセント上げても約2.4兆円の税収増です。

そこで、まず赤字国債をやむなく10兆円発行します。そして消費税を10パーセント上げて15パーセントにし、また所得税も高所得者への課税を増やし、また現在は所得税を払っていない所得の少ない人にも所得税を少し払ってもらうことにします。

こうすると、税収が理論上は30兆円ほどは増やせます。その結果、赤字国債を10兆円に抑えた上で、増税をなるべくしないというシナリオになります。

しかし、そうはいっても消費税を10パーセント上げるというのは大変なことです。景気が大きく悪化するのは間違いありません。

また、これだけ税金を上げれば、公務員の給与の大幅カットや国会議員や地方議員の定数削減、給与や歳費の大幅カットもしなければ国民の多くは納得しないと思います。

一方で、増税や緊縮財政によって景気が悪化するので、景気刺激策もしないといけません。しかしそのために法人税を下げれば、税収も減ってしまうという難しい状況です。

この第二のシナリオでも、赤字国債が毎年10兆円ずつ増えてしまいます。歳出を2割減らして、増税をしてもこれです。いかに財政再建が難しいか、というよりいかに日本が借金を異常に増やしたかがよく分かります。

このシナリオでなるべく赤字国債発行額を抑制しつつ、地道に無駄な国の事業を止めたり、医療や介護などの社会保障を見直したりして歳出をぎりぎりまで減らしつつ、景気を良くして税収を増やしていけば、第一のシナリオと同じく、国の破綻を心配しなくても良いと思います。

ただ、この第二のシナリオでも抜本的な、痛みを伴う改革になります。

このように、第一か第二のシナリオを国が選べば、そして着実に実行すれば、私たち個人投資家もすぐに金を買うなどの対策を取る必要はないでしょう。

金利が大幅に上がることを防げるでしょうから、明白な兆候が出ずに済みますので、我々も財政破綻に備える必要はないでしょう。

○最悪のシナリオ

それでは第三のシナリオです。これは、国が財政再建への努力をまったくせずに、赤字国債を相変わらずたくさん発行するというものです。

これだと、増税もしないのでその点は景気の悪影響はありません。しかし、今後も例えば約45兆円もの借金が毎年増えていけば、利払い費がその分増えることも考えて10年で500兆円は債務残高が増えるでしょう。

つまり、2020年には国の借金が約1350兆円ほどになります。もはやその頃には国内に国債の引き受け手はほとんどいないでしょうし、これだけの借金のある国の国債を買ってくれる海外投資家もいないでしょう。

そうすれば、金利が大きく上昇すると考えられます。

その結果、もちろん上げ幅にもよりますが既発国債の価格は暴落し、国の国債の利払い費は増え、それによって債務残高も増えます。

金利が上がれば、住宅や自動車のローンの金利も上がり、消費が冷え込みます。株価も下がるでしょう。

ただ、この第三のシナリオでは増税をしていません。そこで、金利が上昇して金融機関が破綻したり、大不況になってから増税をするとします。

すると、この頃にはもう経済も社会も大混乱して、増税どころではないと思います。巨額の負債によって国は国際的信用を失い、高金利によって消費は落ち込み、企業も高い金利でしか銀行などから事業資金を調達できません。

株価暴落と国債価格暴落によって金融機関は破綻。ペイオフのための原資も足りず、国民の財産は大きく失われます。円の為替レートも大きく下がり、海外からの輸入に大きく頼っている食料すら買うことが困難になります。

このような状況で増税しても、もはや不安定化した日本を立て直すことは非常に難しいでしょう。


○準備は大事

こうして考えると、第三のシナリオは財政破綻へと確実につながります。

ということは、私たちも国が第三のシナリオを相変わらず続けるときには、最悪の事態を想定して資産を金や外貨などに移す必要があります。

引用記事の佐々木氏は金利上昇などの明白な兆候が出てからでよいとおっしゃっています。もちろん、金利が上昇し始めてすぐに、国がこれではいけないと歳出削減と増税を行えば、間に合うと思います。

しかし、第三のシナリオをとった国が、金利が上昇し始めても政策を財政再建に転換しなかったら、いよいよ資産を守る(保全する)ための方策をとるべきだと思います。

もっとも、そうしたころにはすでに日本国民の多くが同じことを考えるでしょうから、日本株が大きく下がる一方で外貨や金はすでに高くなっている可能性が高いです。


○金利が上がってからでは遅いのでは

そこで、私なら国が第一や第二のシナリオを取ると分かれば対策はしませんが、第三のシナリオを続けると分かれば、その時点で徐々に金を買うなどの対策を採ると思います。

こういったことから、明白な兆候(金利の上昇)を待っていては少し遅いと思います。

最後に、記事中の「現時点で国債暴落に備える資産運用を考えるより、財政健全化への政府の取り組みを監視するほうがよほど大切だ」という点について。

私もまずは政府を監視することが大事だということは本当だと思います。第一や第二のシナリオで行けば、財政破綻は免れられると思うからです。

ただ、政府を監視する一方で、国債暴落に備えた資産運用を「考えておく」、そしていつでも実行できるように準備しておくことは、実際にそれを実行するかは別にしても大切だと思います。

自分一人が政府を監視したところで、自分にできることは選挙で票を投じるくらいしかありません。

そこで、自分ができることを行うことも大事です。政府が第三のシナリオを採用し続けたら、個人ではどうしようもないのです。

そして、金や外貨、あるいは外国債券投資信託などを買うには、証券会社などに口座を開設しておく必要があります。また、それぞれをどのような割合で買うのか、ということも事前に考えておく必要があります。

そうでないと、いざこうした資産を防衛するための手立てを取るときに、すぐに行動することができないからです。


○結論

国の抱える借金(国および地方の長期債務残高)は10年度末で860兆円ほどになると見られています。

そして、いますぐに財政再建への道を進まないと、金利の急騰、既発国債の暴落、それによる個人資産の目減りや金融機関の破綻という事態が起きかねません。

政府が予算の無駄を徹底的に削りつつ(※)、不足分は消費税などを上げて税収を確保し、国債発行額をなるべく抑制する。そして最終的には徐々に借金を減らしていくことが不可欠です。

(※私も以前はまずは歳出の無駄を削減して、その後に増税をすべきだと思っていました。

今も心情的にはそうですが、細野真宏氏は「歳出の無駄はどこまでやるかが果てしないので、それを待ってから増税をするのでは間に合わない」という旨をおっしゃっています。

そのため、歳出削減と合わせてある程度大幅な消費税アップをするしかないと今は考えています。)

そうした対策をしない限り、上記の事態は現実のものとなります。

記事の指摘しているように、国が財政健全化にどれだけ本気で取り組むかはしっかりチェックする必要があります。

具体的には、当面どれだけ国債発行額を減らせるか、そして歳出の無駄を削っているか、そして増税を必要最低限にしつつ、どれだけするかに私は注目しています。

一方で、800兆円以上に膨れ上がった借金を減らしていくのは並大抵のことではありません。仮に毎年借金を3兆円減らしたとして全部返すのに300年弱、毎年5兆円減らしたとして170年ほどかかるのです。

国民が重い税負担に耐えて、しかも緊縮財政にしてそれだけかかるのです。せめて他の先進国並みの借金の額まで借金を減らすことを当面目指すとしても、それだけの努力を長期間続けられるかは分かりません。

しかしその努力を放棄してしまえば、上記の金利上昇やそれに続く経済危機が待ち構えています。

それに備えて、最悪の事態を想定した準備をしておくことは必要だと思います。具体的には、上にご紹介したポートフォリオを作っておき、さらに状況が悪化すれば金の割合を増やすなどの対策をとることをおすすめします。

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