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日本国は財政破綻するか

日本国は財政破綻するか

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私が最近、経済において一番関心のあるテーマは、「日本は財政破綻するかどうか」ということです。

現在、日本国の累積債務残高は900兆円を超えています。そして、こうしてこの記事を書いている数分の間にも、どんどん借金が増えています。

なぜ日本がこんなに多くの借金を抱えてしまったかといいますと、法律で原則禁止されている赤字国債をどんどん発行してしまったからです。

そして、名目GDP(物価変動を考慮しないで計算した国内総生産)の200%近くまで、1年に国が新規に発行する赤字国債の額は膨れ上がってしまっています。

具体的には、2010年度予算での国債発行額は44兆円強です。そして、国債の償還(元本を返すこと)、利払い、買入消却に使う「国債費」は約20兆円です。

その約半分が、利払いに充てられています。

つまり、日本国は収入(主に税収)をはるかに上回る借金を新たに作り、借金で借金を返している状態です。

そして、このペースで債務残高が増えていけば、そのうちに個人金融資産にまで達してしまうでしょう。ちなみに個人金融資産は、国民が銀行預金や有価証券、保険などの形で持っているお金のことです。

その額は1400兆円くらいと言われていますが、住宅ローンなどを除くと1000兆円くらいではないかという人もいます。

もし1000兆円だとすると、あと100兆円しかありません。今のペースですと、3年ほどで個人金融資産を超えてしまいます。

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国債の引き受け手がいなくなる

もし、個人金融資産を累積赤字が上回ってしまうようになるとどうなるでしょうか。理論上は、もう個人が赤字国債を買えなくなる、ということです。

実は、国債は私たち日本国民が知らずに買っているのです。普通、国債を買うというと、販売代理店である銀行や証券会社などから個人向け国債を勧められて買うというケースを思い浮かべます。

しかし、それだけではありません。私たちが銀行や郵便局に預けている預金や貯金で、それらの金融機関が国債を買っているのです。

なぜなら、銀行などは個人から集めたお金を企業の事業資金に融資したり、個人の住宅ローンとして融資します。そして、預金者に払う利子と、これらの貸付利子との差額が、銀行の利益になります。

しかし、デフレ下の日本経済では、銀行からどんどんお金を借りて事業を拡大しようという企業が少ないのが現状です。つまり、銀行はお金を貸す相手があまりいないのです。

そうすると、手元のお金を遊ばせておくのはもったいないので、銀行などが国債を買うのです。こうすれば、年利1%強の利子を国から受け取れるからです。

つまり、個人の持っているお金の合計を累積赤字が上回ってしまえば、もはや個人が直接赤字国債を買ったり、その銀行預金などで銀行などが間接的に国債を買うことはできません。

そうなれば、現在は銀行や保険会社などが買い支えている国債も、いよいよ引き受け手が激減するでしょう。(参考:日本は一刻も早い財政健全化を


貯蓄率の低下

また、最近懸念されているのは、個人の貯蓄率がどんどん下がってきていることです。日本人は世界的にも有名なほど貯蓄が好きでしたが、少子高齢化や雇用不安、収入の低下などによって、それが減ってしまっています。

貯蓄率が下がっているということは、すなわち全体的に国民の生活が苦しく、貯金をする余裕がないということです。

さらに、今後団塊の世代の退職が進めば、さらに貯蓄率は下がると予想されています。なぜなら、退職した人は収入が減るからです。

そして、貯蓄率が下がるということは、銀行などの金融機関が国債を買うための原資が減るということです。

このように、現在は9割以上が国内で消化されている国債も、今後は国内に引き受け手がいなくなるおそれがあるのです。

財務省もそのことは承知していて、イギリスなどで外国人投資家向けに国債を売り込んでいるそうですが、シビアな彼らの多くはおそらく日本国債を買ってくれないでしょう。

なぜなら、先進国中で飛び抜けて借金が多い国の国債をあえて1%程度の金利で買う必要がないからです。

今後国債の金利が上がれば外国人投資家も買ってくれるかもしれませんが、デフォルト(債務不履行)のリスクに見合う金利となると、4%や5%では不十分かもしれません。

なぜなら、それくらいの金利が欲しいなら、日本以外の国で金利の高い国の通貨を買ったりすれば十分だからです。

(11/6/21追記:財政問題にあえいでいるギリシャは、国債の金利が18パーセントほどに上がってしまったようです)


問題ないとする説

そうしたことから、私は外国人投資家が今後、国債の国内での引き受け手がいなくなったときに、国債を買ってくれるとは期待していません。

ところで、「日本国債は昔のアルゼンチンや最近のギリシャなどと違って、95%程度を国内で消化している。だから問題はない」という説があります。

つまり、対外債務ではなく、ほとんどが日本国内の問題なので、仮に国債が債務不履行(デフォルト)になったとしても、心配はいらないという説です。

この説は、先ごろまで国務大臣をされていた人物もおっしゃっていました。

もう少し細かく考えてみましょう。この説によると、ほとんどの国債を日本人が持っている。そして国民の税金で国債を返している。もし国債を返し切れないとなったら、税金を上げてそこから国債を返せばよいというのです。

しかし、この説には疑問があります。第一に、国債は国民全員が持っているわけではありません。私も国債は持っていません。

それなのに、リスク商品である国債を持っている人のために、私のような国債を持っていない人まで税金をがっぽり取られて、国債を持っている人にそれが回るというのは解せません。

つまり、一部の国債保有者に国債を償還するために、国債を持っていない人の税金が使われるのはおかしいです。

そもそも国債は元本の保証されていない商品ですから、それが債務不履行になっても、そのリスクは国債を買った人が負わなくてはなりません。

加えて、国債を買っている人は、お金に余裕のある富裕層が多いです。それなのに、国民全員から税金をたくさんとって、そうした富裕層の持つ国債償還に充てるというのは、税金の目的の一つである「富の再分配」に反します。

つまり、税金はお金持ちに多く払ってもらって、それを貧しい人のために使うことで、所得格差を是正する目的もあります。しかし、国債の債務不履行を防ぐために国民の税金を上げるということは、それに反するのです。

第二に、国債の利払いや償還のために税金を上げても、その税金はいわば勝手に国が作った借金の穴埋めに使われるだけです。例えば税金で図書館や道を作りましたというなら、納税者のためになる税の使い道です。

しかし、単なる借金の穴埋めのために税金を上げるなら、それは納税者としては見返りがないですから、納得できません。

(11/6/21追記:もちろん国債によって国の得た収入は、私たちの社会保障などにも使われています。しかし、税金の無駄遣いが多い、これまでは国会議員の年金が優遇されてきたというような問題があるのも事実です。

加えて、国が増え続ける借金をどうにかしなければ、借金は雪だるま式に増えます。そうなってから「借金を返すために増税します」というのは冗談ではないと思うのです)

こうした点から、私は「国債が償還しきれないなら税金を上げればよい」説には反対です。


債務不履行を容認する説

それでは、「国債は日本人が日本人から借りている。だから債務不履行になればそれでいい。国債が紙切れになって、持っている人が損をするだけだ」という説はどうでしょう。

これも問題があります。第一に、国債がデフォルト(債務不履行)になると、個人で国債を持っている人が丸損になるだけではすみません。


デフォルトは避けなければならない

銀行も国債をたくさん持っています。これが紙切れになれば、銀行は破綻するところも出るでしょう。

また、保険会社も国債で運用しているところが多いです。そのため、国債がデフォルトになれば、自己資本が減って同じく破綻するところが出るでしょう。

そうしたら、生命保険や自動車保険、医療保険などがおじゃんになってしまいます。その結果、国民の生活から安心が失われます。

公的年金も、国債を組み入れています。日本国債バブルの危機に警戒すべき(外部リンク)によると、約68%を公的年金は日本国債で運用しています。

もし国債が紙切れになったら、私たちがもらえる年金額もそれだけ減るでしょう。

こうしたことから、「日本人が日本人に借りた借金だから、債務不履行も問題ない」とは決していえません。

そういえば、以前にある評論家が、「国の借金が増えすぎて危ないと言うが、それなら国民が国債を買わなければいい」という趣旨の発言をされていました。

国債を買うなというのは一理あるのですが、前述のように私たちの預金や郵便貯金が自動的に国債を買うのに使われているのです。この評論家は、私たちにお金を銀行やゆうちょに預けるなというのでしょうか。

非現実的です。まあ、タンス預金が安全というのは上記の金融機関の破綻があり得る、ということを考えると当たっていますが(笑)。


財政再建を進めるしかないと思う

ここまでのことをまとめますと、まず日本国債がデフォルトになることは社会の大混乱を招きますので、絶対に避けなければいけません。国際経済にも大きな悪影響を与えることは必至です。

かといって、このまま財政規律を維持しないまま赤字国債を発行し続けて(そうすると利払いの増加により、借金が更に増える)、いざデフォルトが現実味を帯びてきたら税金を一気に上げて国債を償還するのに充てるというのも、税の公平性などの点から私は大反対です。

それではどうすればよいのかといいますと、今のうちに財政再建を進めるしかない、と私は思います。

財政再建をするには、まずは行政改革によって天下り法人の名ばかりの役職についている人に年2000万円も税金から払うのをやめる、無駄な公共事業をやめる、公務員の給与をカットするといった対策をとります。

公務員の給与カットについては、菅直人総理も取り組む姿勢を示しています。公務員の方には申し訳ないですが、国の財政が逼迫している以上、これは避けて通れないと思います。

こうして歳出を削れるだけ削ります。その上で、税収を増やすことになります。具体的には、消費税の税率アップが主な対策になります。

私は増税には反対です。私がこしらえたわけでもない国の借金、それも少なからず無駄な公共事業など国民が恩恵を受けられない事業によって生まれた借金を私が負担しなければならないことに怒りを感じます。

ただ、現実として財政破綻が懸念されるほど国の借金があります。そしてそれを放置すれば前述のような金融システムの崩壊や公的年金の受給額の大幅減、それに伴うであろう株価暴落、円の暴落、企業の倒産、大量の失業などが起こるでしょう。

それを考えると、手を打てる今のうちに増税をしてこういった最悪の事態を防ぐのはやむを得ないと思うのです。


インフレの恐怖

ところで、よく「国は財政破綻などしない。国債のデフォルトを防ぐには、中央銀行がお札をジャンジャン刷ればよいからだ」という説もあります。

つまり、調整インフレ(中央銀行がお札をたくさん刷るなどの方法で、インフレに持っていくこと)をやれば、日本の巨額な借金(累積債務残高)など一気に解決できるという考え方です。

もう少し具体的に考えてみましょう。日銀はやろうと思えば、理論上はいくらでもお札を刷ることができます。そうすれば、マネーサプライ(通貨供給量)が増えるので、物価がどんどん上昇してインフレになります。

例えば物価が100倍になるようなインフレ(ハイパーインフレなど)にすれば、仮に国の借金が1000兆円あっても、実質的に今の物価でいうと10兆円程度の借金に減らすことができます。

なぜなら、国債を償還するときには、その額面を払えばよいからです。

これだけ見ると、すごくよいアイデアのように見えてきますね。お札をジャンジャン刷れば、国の借金が片付いてしまうのですから。

しかし、実はこれではまったく問題の解決にならないのです。なぜなら、これほど急激なインフレが進むと、金融も経済もめちゃめちゃになってしまうからです。

具体的には、第一に、国債を保有していた人が満期を迎えて国から償還(元本の弁済)を受けても、上記の例ではその価値が100分の1になってしまっているからです。

例えば100万円の国債を持っているとしましょう。国から100万円返してもらいました。しかし、その100万円はインフレによって、実質1万円の価値しかないのです。

買ったときは100万円のものを買ったのに、それが1万円になってしまったのです。これではほとんどデフォルト(債務不履行)と変わりません。

第二に、これほどのインフレになってしまえば、経済が大混乱します。大根が朝は一本1万円だったのが、夕方には3万円になっていたというようになりかねません。

そして、これほどのインフレになれば、もはや日銀は公開市場操作などによって物価をコントロールすることはできません。

そうなれば、円は通貨としての信用をほとんど失ってしまうでしょう。日本は国際社会からの信頼も失うでしょう。

こうしたことから、インフレをわざと起こして借金をちゃらにするというのは、ありえない選択肢です。

そのため、やはり日本を財政破綻させないためには、一刻も早く財政再建を進めるしかないと思うのです。


消費税の増税

そこで、歳出の削減と、増税というのが軸になります。消費税は諸外国よりも税率が低いので、まだ上げる余地があります。

法人税や所得税などの直接税(納税者が直接税務署に払う税金)は景気によって税収が変動しますし、脱税を摘発するのも難しい場合があります。

その点、間接税である消費税は、物やサービスを買うときに誰でも払わなければいけないので、税収が景気にあまり左右されませんし、取りっぱぐれも少ないです。

そして、消費税を1%上げると、2.4兆円程度の増収になると言われています。すると、単純に言えば消費税率を25%くらいまで上げれば、赤字国債を発行しなくても予算を組めるか、もっとよくなれば発行済の赤字国債を減らしていけるかもしれません。

つまり、プライマリーバランス(予算の歳出と歳入のバランス)をゼロにしたり、プラスに出来るかもしれないのです。


プライマリー・バランスを黒字に

そして、日本の赤字は額が増えれば増えるほど、国債の利払い額が多くなってしまいます。そのため、借金が雪だるま式に増えるのを防ぐために、プライマリーバランスを少しでも早くゼロやプラスにしなければいけないのです。

プライマリーバランスを黒字にできれば、少しずつでも国の借金を減らしていけます。そうなれば、いよいよ財政再建が本格化します。

ただ、消費税を大幅に上げるということは、消費を確実に冷え込ませるでしょう。それは所得税や法人税の税収減につながるかもしれません。

また、景気が悪化して、倒産や失業者の急増を招く可能性も大きいです。そうなれば、ますます景気が悪くなるだけでなく、生活保護などの社会保障費を増やしてしまうでしょう。

(11/6/21追記:この点については私は考えが変わりました。社会保障を世代間格差を解消する形でしっかり整備し、その財源に消費税を充てるのであれば、景気を悪化させることはないと思います。)

そこで、とりあえずは歳出削減に全力で取り組む一方、消費税を少し上げるのが現実的です。さらに、それだけでは景気を悪化させる恐れがあるので、(矛盾するようですが)法人税を下げたり、無駄な規制を撤廃するなどの経済成長を促す策も必要となります。

この財政再建と経済成長という二つを両立させるような政権運営は非常に難しいことです。しかし、これを実行しなければ日本の未来はないと思っています。

経済成長を実現すれば、税収も増えるので、財政再建よりも経済成長に取り組むべきだという考えもあります。しかし、現在のようないわば「大きな政府」のままでは、税収が増えても、その分を果たして赤字国債の償還など借金を減らすために使うかどうかは大いに疑問です。

それに、現在でも毎年約1兆円も社会保障費が増えています。それを考えると、仮に好況によって一時的に税収が増えても、日本の財政を大きく改善することは難しいでしょう。

仮に今の国の借金約900兆円を半減するとして、450兆円もの借金を減らさないといけません。これを30年で達成する計画としても、毎年15兆円も累積赤字を減らさないといけません。

そして、経済成長だけで毎年安定して15兆円を生み出せるでしょうか。私には疑問です。そのため、やはり財政再建にも取り組まなければいけないと思うのです。


金利の急上昇

ところで、今後は国債の金利が重要になります。もし金利が急上昇してしまうと、第一に国の負担する国債費が膨れ上がってしまいます。現在でも毎年約20兆円を国債費に充てているのですが、これは国債の利率が低いからこの額で済んでいるのです。

仮に今後、格付機関によって日本国債の格付けが大きく下げられるなどの事態になれば、一気に国債の金利が上がる可能性があります。そうすると、現在は年に約10兆円の利払い費が、数倍になってしまうかもしれません。国の試算では利率が1パーセント上がると、利払い費が4.3兆円ほど増えてしまうそうです。

そうしたとき、果たして政府が国家予算を組めるかどうかも疑問です。金利が急上昇する前に、財政健全化への道筋を付ける必要があるでしょう。

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