ホーム » 日本の財政問題 »

「2020年、日本が破綻する日 危機脱却の再生プラン」の感想

「2020年、日本が破綻する日 危機脱却の再生プラン」の感想

スポンサード リンク

Pocket

私が日本の財政破綻を懸念しているのは、もし現実にそうなってしまうと、非常に深刻な事態になってしまうからです。

財政破綻とは具体的には、日本国債がデフォルト(債務不履行)になるか、それを避けるためのハイパーインフレを政府が意図的に起こすか、ということになるでしょう。

もし国債のデフォルトを避けるために、リスケ(支払いの先延ばし)をしても、日本国債はその時点で信認を全く失うでしょう。いつ返ってくるか、もっと言えば本当に償還されるのかわからない国債を、もはや買う人などいないだろうからです。

そして、財政破綻してしまえば、国債を多く保有する銀行などの金融機関は自己資本比率規制に抵触して破綻するところが出てくるでしょう。私たちがもしものために入っている民間保険も、多くを国債で運用していますから、駄目になってしまう可能性が高いです。

スポンサード リンク

金融が混乱すれば、企業も資金繰りが付かずに倒産が相次ぎ、失業者が激増します。国債を持つ個人投資家はもちろん、円も国際的信用を失って暴落するでしょう。株価も暴落するでしょう。

国は予算を組めず、社会保障はストップ。公務員には賃金が支払われず、司法・立法・行政が機能しなくなるでしょう。

ハイパーインフレによって物価が急騰し、札束を持って野菜を買うことになるでしょう。あまり考えたくはないですが、治安は悪化し、国防も危ういかもしれません。

こうして考えると、非常に暗い気分になってしまいます。しかし、これらは決して絵空事ではありません。現に日本の国と地方の長期債務残高は860兆円ほどになる見通しで、来年度の予算でも10年度と同じくらいの赤字国債が発行されると見込まれています。

この借金の多さは先進国でも最悪で、日本国債の格付けは2015年にもさらに下げられる可能性が指摘されています。

それでは、こうした最悪の事態を避けるためには、どうすればよいのでしょう。

その答えを求めて、私も財政や国債に良い本がないか本屋に行っては探しているのですが、その中でも飛び抜けて信頼のでき、また具体的な財政再建の道筋が書かれているものがありました。

それが本書、「2020年、日本が破綻する日 危機脱却の再生プラン」(小黒一正 日経プレミアシリーズ)です。


社会保障の整備を

本書の著者である小黒一正氏は、一橋大学経済研究所世代間問題研究機構准教授です。専門は公共経済学だそうです。

まず本書のよいところは、内容は専門的ですが、なるべく分かりやすく書かれていることです。私のような経済知識の不十分な人間でも読めるように書かれているのは、とてもうれしいです。

そして、データによる裏付けが十分にされているので、内容が信頼できます。

例えば、本書のタイトルにある2020年に日本が破綻、という箇所は、なかなか衝撃的ですが、それは筆者が家計貯蓄と一般政府債務が今後どうなるのかをこれまでの実績値などを勘案して計算した結果から導き出されたものです。

また、2010年度予算の財政赤字が続くと仮定すると、25年後に日本が財政破綻する確率も紹介されています。

そして、本書にはどうすれば財政破綻を免れることができるかが、詳しく解説されています。

具体的には、財政悪化の主因は社会保障費の増大なので、社会保障制度を抜本的に立て直すことなどが書かれています。

日本は急激な少子高齢化によって、労働人口が減る一方、介護や医療、年金などの社会保障費が膨れ上がっています。

それにより、現役世代は少ない人数で多くの高齢者を支えることになってしまっており、世代間格差が広がっています。

そこで、現状に合わなくなっている社会保障制度を、改善しようというのが本書の主題です。

例えば年金は、現在の賦課方式(現役世代の払った保険料でその上の世代を支える)から積立方式(自分の支払った保険料が将来の自分への給付に充てられる)ように変更することが提案されています。

そして、その移行に関しては問題が発生するので、それを防ぐために事前積立方式を導入すべき、と説かれてあります。

また、社会保障を単年度予算で管理するのは無理があるので、その他の予算とは別に、社会保障予算を設ける。さらに世代会計を活用して、世代間格差がなくなるようにする。

こうすることで、財政を持続可能なものにしつつ、世代間格差を是正するのです。

さらに、消費税率をどれくらいまで上げるべきか、という多くの人の抱く疑問にも答えています。


消費税

ところで、消費税を上げることについては、経済成長にマイナスになるのではないかとか、逆進性(低所得層に負担が大きい)の問題があるのではないか、という疑問をお持ちの方も多いと思います。私もそうでした。

その点も、本書にはきっちり答えが書いてあります。

これから生まれてくる世代は、生まれながらにして巨額の借金を背負っている、これは経済的な虐待である、と世代会計では言われています。

実際、日本が抱える巨額の累積債務(借金)は、放っておけば若い世代が、自分がつくったわけでもないのに返していかないといけないのです。

これはどうにかしないといけません。政府は、財政再建の必要性は認識しているようですが、消費税を上げたり、年金・医療・介護などの社会保障制度を抜本的に改革しようという意気込みは感じられません。

私も遅々として財政再建が進まない日本の政治のあり方に、もう財政破綻は避けられないのか、と絶望を感じていました。

しかし、本書の提言はわかりやすく、具体的で、確信を突いていると思います。

先進国中最悪の借金まみれの財政を立て直し、若い世代が搾取されずに自分の納めた税金が自分たちの福祉のために使ってもらえる、そんな希望のある社会をつくるための方策が本書の中にあると思います。


財政問題や、社会保障のあり方などに興味をお持ちの方に、ぜひ一読されることをおすすめします。

Pocket

サイトトップページへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)