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2010年参院選での財政再建の公約

2010年参院選での財政再建の公約

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(読売新聞10/6/30から引用)

ギリシャの財政危機をきっかけに、国の財政に対する関心が世界的に高まっている。参院選にあたり、各党はいずれも、危機的な状況にある日本の財政建て直しの必要性を訴えている。
しかし、具体的な財政再建の手法をめぐっては考え方が分かれている。
カナダで27日閉幕した世界20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、先進国が2013年までに財政赤字を半減させる目標を決めた
しかし、財政悪化が深刻な日本は、とてもこの目標を達成できそうになく、事実上、例外扱いされた。
民主、自民はともに、中期的に財政健全化を図るため、基礎的財政収支を20年度までに黒字化する目標を明示した。先進各国に比べ、緩やかな目標といえる。
菅首相はサミットで各国首脳に対して目標を宣言しており、民主党にとって「国際公約」になった形だ。
一方、たちあがれ日本は、基礎的財政収支の赤字のGDP(国内総生産)比を3年間で半減すると公約した。
日本の財政は、社会保障や教育などにかかる費用に比べ、収入があまりに少ない。
10年度の国の一般会計予算は、政策に充てる経費が71.7兆円なのに対し、税収と特別会計の積立金の取り崩しなどを合わせた収入は48兆円にとどまる。
差し引き23.7兆円の赤字で、これが基礎的財政収支の赤字だ。
新規国債発行額は、当初予算として戦後最悪の44.3兆円。さらに高齢化に伴い社会保障費が年約1兆円のペースで膨らむなど、財政は苦しくなるばかりだ。
基礎的財政収支とは:政策に使う経費を、借金に頼らずに税収など本来の収入でどれだけ賄えているかを示す指標。
収支が均衡すれば財政健全化に向けた一里塚となる。ただ、均衡しただけでは、過去の借金で膨らんだ債務残高は、利払い分だけ増大する。

(引用終わり)
だいぶ昔の新聞記事ですが、2010年の参議院議員選挙前に、各政党が財政再建についてどのような公約を出しているかを解説した、貴重なものです。

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ギリシャの財政問題はEU全体に飛び火し、アイルランドも財政悪化が問題となっています。

そして、日本も対岸の火事ではいられません。国と地方の長期累積債務残高は先進国中最悪だからです。

一刻も早く、財政健全化へ向けて手を打たなければ、近いうちに個人金融資産(ローンなどを除けば、実質は1000兆円ほどだという説もあります)を、国の借金が超えてしまう可能性は非常に高いのです。

そうなれば、赤字国債を発行しようにも、国内には引き受け手がいない、という状況になってしまうでしょう。

先日、確かテレビ朝日の古舘伊知郎氏が司会を務めるニュース番組で、財務省の官僚が、さ来年あたりは予算が組めなくなるかもしれないと言っていると報じられていました。

これは決して心配し過ぎではないと私も思います。その理由は、毎年の赤字国債発行額が多すぎるからです。歳出の大幅カットをしないのに、税収を増やそうとしないのでは、当たり前です。

そして、そのまま借金を増やしていけば、「日本の国債は本当に危ないんじゃないか」と銀行などが考えるでしょう。すると、引き受け手が減るか、国債の利回りを高くしろということになります。

すると、国債費(国債の償還、利払いなどに充てる費用)が膨れ上がります。

その結果、赤字国債による調達額が減るか、国債費が増えて予算を圧迫することになるでしょう。予算が組めなくなるのは決して絵空事ではありません。


急いで基礎的財政収支黒字化を

というわけで、今のうちに財政再建の手を打たねばならないと思うのです。そうすると、各党がそのためにどんな考えを持っているのかを知っておく必要があります。

まず、G20サミットで日本は例外扱いされた点について。日本の場合、13年までに半減するというのは、かなり思い切った歳出削減をした上で、消費税などを上げないと無理です。

それにしても、例外扱いということは、各国から「こりゃ駄目だ」と言われているほどひどいということです。これでいいのでしょうか。

民主党、自民党は基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を20年度までに黒字化する、という目標を掲げたそうです。

しかし、これでは悠長すぎると私は思います。

基礎的財政収支とは、予算から国債によるプラス(赤字国債発行額)と国債によるマイナス(国債費)を除いたものです。これが10年度はなんと23.7兆円もの赤字です。

これをゼロにするというのですから、すぐには難しいと考えるのはよくわかります。

しかし、記事にもあるように、基礎的財政収支がもし均衡しても、国債利払い費(現在約10兆円/年)だけは借金が増えるのです。

ということは、急いで基礎的財政収支を黒字まで持って行っても、累積債務が減らない限り、黒字額が年10兆円はなければ、利払い分をまかないきれません。

つまり、今の水準で考えても、基礎的財政収支を10兆円の黒字にするまでは、借金が増え続けるということなのです。


歳入が少なすぎる

おそらく、民主党や自民党は一気に財政再建を進めれば、景気が冷え込んで不況になってしまう。そうなれば税収も減ってしまう、という考えなのだと思います。

それは一理あるのですが、2020年度までに基礎的財政収支の黒字化という目標では、その間にどんどん借金が増えてしまうのですから、遅すぎると思います。

また、借金が増えれば増えるだけ、国債費も増えるので、さらに予算は厳しくなってしまうのです。

もう一つ、国の立てる目標は、達成されずになし崩しになってしまうことが多いと私は感じています。ですから、20年度までに黒字化されることすら、懐疑的になってしまいます。

ただ、菅総理がこの目標をサミットで国際公約にしたことは評価できます。あとは実行力ですが…。

たちあがれ日本の公約は思い切っていますね。さすが財政規律派の与謝野馨氏がいるだけあります。

基礎的財政収支の赤字額23.7兆円を3年で半減するというのですから、かなり思い切った政策をしないと実現できません。ただ、これくらいの意気込みのほうがよいのではないかと私は思います。

次に、日本の財政は歳出に比べて歳入が少なすぎるという点について。これはそのとおりです。

政策向け支出(一般歳出+地方交付税など)が71.7兆円。それに対して借金以外の収入(税収37.4兆円+埋蔵金など10.6兆円)は48兆円です。

一般家庭に例えれば、手取り年収が480万円なのに、717万円もお金を使っているというとんでもない家計です。

普通ならこんな家庭に銀行などはお金を貸しませんが、国の場合は赤字国債を引き受けてくれる人や法人がいるために、なんとかもっているだけなのです。


歳出削減だけでは不可能

そして、上記の例ですと1年に237万円も借金を増やしているというすごいことになっています。

加えて、高齢化によって国の負担する社会保障費が毎年1兆円も増えているのです。

これをどうにかしようと思ったのが、小泉純一郎氏でした。そのために後期高齢者医療制度などが導入されたのですが、ネーミングのまずさもあって国民の猛反対にあったのです。

ただ、膨張し続ける社会保障費をどうにかしなければいけないのは間違いありません。財源がなければいずれ破綻してしまうのですから。


どうすれば財政を立て直せるか

それでは、どうすればよいのでしょうか。歳入が少なくて、歳出が多いのですから、歳入を増やして、歳出を減らす(あるいはその一方)しかありません。

これが企業や個人なら、歳入を増やすためにさらに一生懸命働いて、なんとか収入を増やす、という手段があります。

しかし、国の場合には自ら働いて収入を増やすということは、基本的にできません。国の場合、収入を得る手段は原則として税収だけなのです。

そこで、増税を考えるということになります。

一方の歳出削減はどうでしょうか。例えば増税をせずに、歳出削減を一生懸命行って基礎的財政収支を10兆円の黒字に出来れば、少なくとも借金をこれ以上増やすことは止められます。

しかし、これは残念ながら現実的にはまず不可能です。まず、歳入の埋蔵金など(10.6兆円)は臨時収入で、来年以降は入ると見込んではいけません。

すると、税収の37.4兆円だけが収入となります。そしてプライマリーバランスを10兆円の黒字にするには、歳出を27.4兆円にしないといけません。

現在の一般歳出が53.5兆円ですから、歳出を約半分にしないといけないのです。

そのためには、単純に考えてすべての歳出を半分にすることになります。公務員の賃金、防衛費、社会保障費(医療、介護、福祉)、公共事業費などをすべてです。

これはまず不可能です。公務員の方も給料が半分になってしまってはさすがに生活できません。防衛費も北朝鮮の脅威や中国との尖閣諸島の一件などを考えただけでも、大幅に減らすのは無理です。

そして少子高齢化によって膨らむ一方の社会保障費をただ半分にするだけでは、社会が大混乱してしまいます。


長く険しい道

というわけで、財政再建を進めるための現実的な方法は、増税をして歳入を増やす一方で、歳出を可能なかぎり減らすということになります。

そして短期的には基礎的財政収支を国債利払い費の分だけ黒字にすれば、借金の増加は止まります。

次に、長期的に国と地方の長期累積債務残高(10年度末で約860兆円)を徐々に減らしていくということになります。

すでに借金増加は止まっていますが、何らかの事情で金利が上がってしまったり、世界同時不況で税収が落ち込んでしまうといった危機は常にありえます。

そこで、やはりどんどん借金を減らしていくべきです。そうすれば、利払い費も徐々に減らしていけます。

どこまで累積債務を減らすべきかについては、やはり現在はGDP比で180パーセントほどですから、50パーセントほどにはしたいところです。これですと、先進国中でも優秀な部類に入れます。

ただ、いきなり50パーセントは無理でしょうから、まずは100パーセントあたりが最初の目標でしょう。すると、400兆円は借金を減らす必要があります。

そうなりますと、毎年5兆円借金返済をしたとして、80年かかります。実際には利払い費がだんだん減っていきますので少しは楽でしょうが、それでも険しい道です。

しかし、そもそも日本は赤字国債を発行してはいけないと法律で決まっているのです。それを、ちょくちょく特別法を作って覆してきたツケが回ってきたのです。

そのため、自業自得としか言いようがありません。地道に歳入を増やし、歳出を出来る限り削って、長い時間をかけて債務を減らしていくしか無いはずです。


埋蔵金を当てにするのは疑問

(同じく引用)

暮らしの中で税金が重いように感じられるが、日本の税と社会保障の負担は、欧州各国と比べ、まだ軽いほうだ。
国民所得に対する税と社会保障の負担割合を示す「国民負担率」は39%で、英独より10%前後低い。
社会保障を充実させるには、国の収入を増やす必要があり、増税が有力な手段となる。
特に消費税率(付加価値税率)は日本は5%と、20%近い英独などにくらべ、著しく低い。このため、自民党は、消費税率の10%への引き上げを主張し、菅首相も、自民党の掲げる10パーセントを参考にする考えを示した。
しかし、菅首相は26日には「消費税を含む税制改革の議論を始めようと提案している。呼びかけるところまでが提案だ」と述べており、「10%」発言は修正したようだ。
消費税1パーセントは2.4兆円に相当し、「10%」が実現すれば単純計算で12兆円程度の増収になる。
しかし、実際には、地方に回る分などもあり、国の増収分はこれより少なくなる。
一方、国民新党やみんなの党は、消費税率引き上げに頼らず、高めの経済成長を実現して税収を増やし、財政赤字の解消につなげるシナリオを描く。
(中略)各党とも、国が無駄な支出の削減を徹底すべきだとの考えでは一致している。
民主、自民、たちあがれ日本、みんなの党の各党は、公務員の総人件費の2割削減を約束した。
共産、社民両党は、防衛費削減や効果の薄い公共事業の中止を掲げた。新党改革は政治主導で歳出削減目標を設けるよう主張している。
(中略)(民主党の高速道路の段階的無料化、子ども手当の上積みなど)の政策には多額の財源を要する。
バラマキ的政策を掲げながら財政再建が可能なのか。民主党は説明をする必要がある。
財政再建を先送りすれば、それだけ借金がふくらみ、子や孫の世代につけ回しをすることになる。
英国は22日、日本の消費税にあたる付加価値税の標準税率を来年1月に17.5%から20%に引き上げると発表した。
日本の各党も、財政再建への強い決意を示せるかどうかが問われる。

さて、歳入を増やすには増税をするしかありません。あまり政治の批判はしたくないのですが、民主党は高速道路の段階的無料化や子ども手当などの財源を、いわゆる埋蔵金(特別会計の剰余金など)で捻出するとしていました。

しかし、埋蔵金は、探してみたら使われていないお金が出てきたということですから、それは一時的なものであり、一度しか使えません。

また、外為特会についても、金融危機などが起こったときのためのものなのに、それを取り崩してしまってよいのかという疑問があります。

加えて、埋蔵金は本来、発見すれば債務の返済、つまり赤字国債の償還に充てるべきものです。例えば家計で、タンス預金していたけれど忘れていた十万円が出てきたとします。

普通、多額の借金を抱えていれば、それの弁済に充てるでしょう。なぜなら、借金を減らせば金利負担も減らせるからです。

それなのに、10万円が出てきたから、アクセサリーを買うというのはおかしいです。

子ども手当は少子高齢化対策のため、高速道路無料化は景気対策のためだから、アクセサリーを買うのとは違うと言われるかもしれません。

しかし、世代会計を研究する小黒一正氏によれば、少子高齢化対策をしても、とても財政再建を大きく進めることにはなりません。

また、高速道路無料化は応益負担の原則に反しますし、道路の維持管理費用は税金でまかなうのですから、国民全体で見れば、得はしていません。

そして、高速道路を無料化することでどれだけ経済効果があるのかは疑問です。特に高速に乗る必要のない人もタダだからと利用すれば、渋滞するだけではないでしょうか。

例えばトラックなどの運送業のドライバーは安くするなどの対策は必要でしょうが、無駄な道路は造らないことにして、高速道路の料金はなるべく安くすれば済む話でしょう。

現行の、どれだけ長距離利用しても、一律いくら、という課金方式もおかしいです。民主党は温暖化対策でCO2を25%減らすのではなかったのですか? 経済的にも、長距離を利用した人は、応分の負担をすべきです。


消費税上げ

話をもとに戻しますと、埋蔵金をバラマキ政策の財源にするのはおかしいです。埋蔵金が発掘されて、それが本当に必要ないものでしたら、それは国債の償還に当てて、国債利払い費を抑制すべきです。

さて、財政再建をするには、埋蔵金を頼みにせず、税収を増やさないといけません。つまり増税です。

私も増税は嫌ですが、現実問題として財政を立て直すには、税収を増やすことは不可欠です。

そして、具体的には消費税の税率アップを軸に行うことになります。

日本共産党は、所得税の最高税率を50%に戻す、大企業の法人税を段階的に引き上げるという公約を出しています。社民党も同様の主張です。

しかし、高所得者は国民のごく一部なので、税率を上げてもたいした税収増にはなりません。加えて、所得税以外に住民税も徴収するわけですから、実際には60%ほどの税率になるでしょう。

しかし、いくらお金持ちからとはいえ、その稼ぎの半分を超える金額を召し上げる権利が国にあるのでしょうか? また、お金持ちが財布のひもを固くすれば、景気が悪くなってしまいます。

大企業の法人税上げも疑問です。立場の弱い中小企業を優遇すべきという考えはわかりますが、すでに中小企業には軽減税率が適用されています。

そして、大企業も厳しい国際競争を生き抜いています。おまけに日本は諸外国の中で法人税がかなり高い部類に入りますし、規制も多いでしょう。

それなのに大企業からさらに多くの税金を取るのでは、企業も海外への移転を検討せざるをえないでしょう。たとえばシンガポールは法人税が17%です。

多くの企業が国内だけでなく、否応なしにグローバルな競争に巻き込まれている以上、企業も税金負担の少ない国(タックスヘイブンなど)に移る権利は当然あります。共産党や社民党の大企業を敵視するような考えには賛同できません。

大企業の下請けいじめなどの問題は、そのための法律で対処すべきではないでしょうか。


消費税を上げる理由の説明を

まあ、共産党や社民党の考えもわからなくはありません。つまり、消費税を上げると、消費税は所得の低い人ほど負担が大きくなってしまい、酷だということでしょう。

つまり逆進性の問題です。

ただ、日本の所得税は、低所得者はほとんど負担がありません。そして、500万円の収入のある人の負担の約6倍もの負担を、1000万円の収入がするようになっているそうです(読売新聞)。

収入は2倍なのに、税負担が6倍というのはひどすぎるとも思います。その上に、さらに高所得者に負担を強いるというのも公正ではないでしょう。

そこで、所得税は低所得でも一定の所得がある人には、少なくても税負担をしてもらう。そして、消費税は食品、医薬品、新聞や書籍などには低い税率を適用するというようにしたらどうでしょうか。

所得税については、日本は英国などに比べると「広く、浅く」というようにはなっていないそうです。そこで、ある程度の所得があれば、少しでも負担してもらうというわけです。

消費税を上げるというと、国民の反発が大きいのは確かです。菅直人総理も、消費税を10%に上げるという自民党の案を参考にすると発言しましたが、事実上撤回されました。

しかし、これについては菅さんの準備不足だったと言わざるをえません。まず、税率を10パーセントにする根拠が、自民がそういっているから、というのはいただけません。

また、消費税を上げるのは、国民のためである、という説明が大いに不足していました。

消費税を上げるが、それは社会保障のみに使う、そして一般会計と社会保障予算は別にして、年ごとでなく長いスパンで、強い社会保障制度を作っていくというような説明をすれば、国民も納得したのではないでしょうか。


消費税は一気に上げるべき

私は、やはり財政再建のためには消費税率を上げることが不可欠だと考えています。

しかし、消費税を大幅に上げると、「景気を悪化させるのではないか」という懸念があるでしょう。この点については、私もそう思っていましたが、世代会計の専門家である小黒一正氏の「2020年、日本が破綻する日」を読んで、考えが変わりました。

そして同書には、消費税はまずは5%、というようにちびちび上げていくより、一気に上げた方が経済に与えるマイナスは少なく済む、とあります。

それを考えると、自由民主党が10パーセントへの税率上げを打ち出し、菅総理も同様の考えを示したことは評価できますが、まずは5パーセント上げる、というのは上策でないと思います。

もちろん、少し上げるとした理由はわかります。消費税上げに対する国民のアレルギーといいますか、反発が強く、選挙で負けてしまうからです。

しかし、それは政治家の国民に対する説明が十分でないからです。例えば政治家は国民に対して、記者会見などで以下のように直接語りかけたらどうでしょうか。

なぜ消費税を上げなければいけないのか、それは日本では国が社会保障のために支出する額に対して、国民が払う税金や社会保障負担(健康保険料など)が少なすぎるためだ。

そのために社会保障費の国の負担が毎年1兆円も増えてしまっている。これではどんどん財政が悪化してしまい、やがては破綻してしまう。

そこで、歳出削減にも取り組むが、それだけでは財政悪化を止めることはできず、今の社会保障制度(年金、医療、介護など)を維持するなら、税収を増やして財源を確保しないといけない。

そのために必要なのが、消費税率の引き上げだ。例えば消費税率を20パーセント上げて25パーセントにすれば、約48兆円の増収になる。

そうすれば、基礎的財政収支は黒字に転じるので、借金の増加を止めて、逆に減らしていける。それは日本の財政を健全化して、国債利払い費の負担も減らせるので、借金の返済でなくほんとうに大事なところに予算を使えるようになる。


世代間格差をなくす

また、日本に対する信認も高まり、海外の投資家も日本に投資してくれやすくなる。それは景気をよくし、株価や地価も上昇させるだろう。

ここで国民が危惧するのは、そんなに一気に消費税を上げれば、景気を冷え込ませるのではないか、という点だろう。しかし、消費税を上げた分は、国民の年金や医療などを充実させるために使い、残りは財政再建や国民の生活に必要な政策に使う。

そして、例えば年金は現在の賦課方式(将来世代を現役世代が支える方式)から積立方式にする。移行するために事前積立制度を導入する。

これにより、世代間格差を是正して、少ない人数で多くの高齢者を支えなければいけない現在の制度から脱却できる。

そうすれば、年金や医療、介護への若い世代の不信もなくすことができ、彼らは安心して生活することができるようになる。老後にしっかり社会保障がなされるからだ。

その結果、将来への不安から財布のひもを固く締めている多くの国民が、安心して消費をできるようになる。そうすれば、経済へのマイナスは少なくて済む。長期的にはプラスになるはずだ。

このように消費税率を上げるのは、国民の生活を安心で豊かなものにするためだ。社会保障関係の予算は、単年度の管理でなく、中長期的なものに変えて、他の予算と別枠で管理する。

これにより、世代間格差をなくして、持続可能で信頼できる社会保障制度を構築できる。これは安心して子どもを産める社会になるので、少子高齢化対策にもなるだろう。

現在のままでは、財政破綻は現実のものになってしまう。そうすれば、金融機関や保険会社の破綻、通貨や株価の暴落、景気の急速な悪化、ハイパーインフレといった恐るべき事になってしまいかねない。国防の危機も招くかもしれない。

それを防ぐためには消費税を上げなくてはいけない。ぜひとも国民の皆さんのご理解とご協力をお願いする。一方で自分たち政治家も、国会議員の定数削減や政党助成金の削減を断行する。公務員にも人件費削減をお願いする。


セーフティーネット充実も

(以上、前掲の小黒氏の著書を参考)…とこのように語りかければ、国民は自分たちのための消費税上げなのだ、と理解してくれると思います。そういう取り組みをじっくり行ってこなかったから、国民は反発するのです。

やはり、政治家の発信力は弱いと言わざるを得ません。それどころか、政治家の軽はずみな発言が目についてしまうのが残念です。

ただ、消費税を一気に上げることは、短期的には景気を冷え込ませ、従業員の解雇や倒産も増えるかもしれません。すると、失業者が増えてしまいます。

そのため、最低限のセーフティーネットづくりは不可欠です。それには財源が必要ですが、雇用保険の財源などにも消費税アップにより得た税収を充てればよいでしょう。

職を失ったら、住む家まで失ってしまう、というのはさすがにひどい話だと思います。年金でもらえる額より生活保護を受けたほうがお金がもらえる、というのもおかしいですが、適正なセーフティーネットは整備すべきです。

また、最近は法人税の5%減税を菅総理が決定したそうです。それだけでなく、正社員の雇用を増やした企業には法人減税をするというような案も必要ではないでしょうか。

従業員の生活が安定しないと消費は増えません。そうしないと、内需は拡大しないからです。

次に国民所得に対する税と社会保障の負担割合を示す「国民負担率」について。日本は租税の21.5+社会保障負担率の17.5パーセントで、計39パーセントだそうです。

確かに高福祉高負担のスウェーデンは別にしても、英国やドイツよりも10%程低いんですね。ただ、日本は見返り率(納めた税金のどれだけが社会保障に使われるか)も低いそうではありますが。

まあ、小黒一正氏の前掲書にも、日本は低福祉、超低負担だとありますから、やはり社会保障の財源をまかなうには、税収を増やすしかありません。

菅さんも消費税上げを打ち出したのは勇気ある決断だったのですが、すぐに撤回してしまったのはいただけません。


税収を増やす

次に、国民新党やみんなの党の主張する、高めの経済成長を促して税収を増やし、財政赤字の解消をしようという公約ですが、これにも疑問があります。

もちろん消費税などを上げずに済めばそれに越したことはありません。また、みんなの党は徹底的な歳出削減も公約にしています。

しかし、まず第一に経済成長を実現するには、社会保障を信頼できるものにして、国民が老後の心配をせずにすむようにしなければいけないでしょう。

そうでないと、老後のために消費をせずに、お金を貯蓄に回してしまうからです。そうなると内需を拡大できないので、景気はよくならないでしょう。

第二に、日本は高度経済成長の時代はとうに過ぎ、高い成長率は望めません。基礎的財政収支が24兆円近くもあるのに、それを補うだけの税収を増やすということは、並大抵の成長では不可能です。

こうしたことから、残念ながら増税なしに経済成長だけで財政問題を解決するのはまず無理だと思います。

次に各党が無駄を減らすという点では一致しているということについて。民主党や自民党などは公務員の総人件費を2割削減する、と約束しました。

公務員の方には申し訳ないですが、やはり雇用主たる国の財政が逼迫している以上、従業員たる公務員の人件費カットはやむを得ないと思います。

ただ、これを実現するには政府・与党によほどの覚悟と実行力が必要です。

また、天下りして、渡りを繰り返して、特殊法人などから多額の退職金をもらう、というようなアンフェアなことをまずはなくさないと、国民は納得しないでしょう。

天下りをしっかり規制した上で、公務員が定年まで働ける制度にするべきだと思います。

次に共産党と社民党の、防衛費削減や効果の薄い公共事業の中止について。防衛費は、前述のように日本が隣国の脅威にさらされている以上、削減するのは無理でしょう。もっとも、防衛費に無駄がないかを検証するのは必要だと思います。

効果の薄い公共事業をやめるというのは賛成です。かつては公共事業をすれば、その費用の数倍の経済浮揚効果をもたらせる、という乗数効果がありました。

しかし、最近では乗数効果は減っており、無駄な公共事業はやはりすべきでないです。

次に新党改革の主張する、政治主導での歳出削減について。私も以前は、税金を上げる前にまずは、歳出削減を徹底的にすべきだ、と考えていました。

ただ、細野真宏氏が書いておられましたが、歳出削減はどこまでやればいいのか、またいつ実現できるのかがわかりづらいものです。

そのため、まずはムダ削減を、といっていると、いつまでかかるか分からないという問題があります。そうしているうちに国の借金はどんどん増えてしまいます。

そのため、やはり細野氏のおっしゃっているように、歳出削減も全力で行うが、増税もしなければならないと思います。

民主党の事業仕分けでも判明したように、国の歳出には思ったほど無駄がありませんでした。歳出削減だけで財政再建はできないでしょう。

次に、民主党の高速道路無料化などについて。マニフェストに書いてあるから実行する、という国会議員もおられますが、良い政策は行えばよいし、良くないものはただちにやめるべきです。

マニフェストにこだわるのではなく、本当に国民にとって必要な政策を実行していただきたいものです。

自民党の、財政健全化責任法を作る、というのはなかなかよいと思います。ただ、中身が問題ですから、いつまでに消費税などをどうするか、と具体的に織り込む必要があります。

国民新党の無利子非課税国債を、という案には反対です。面白い案だとは思いますが、将来納めてもらえる相続税による収入がなくなるわけですから、歳入アップにはなりません。

国債を発行しよう、というのではなく、国債をどうやって減らしていくかが重要だと考えます。

みんなの党は3年間は増税をせず、その間に埋蔵金などで30兆円を発掘するという公約です。これも難しいでしょう。まず、3年間増税しないということは、その間にまた赤字国債を発行しないといけません。

そして、30兆円もの埋蔵金を新たに発掘できるとも思えません。また、仮にそれだけ発掘できても、30兆円では財政を健全化するには少なすぎます。

記事にあるように、英国やドイツなどは日本より財政がはるかに健全であるにも関わらず、さらに再建を進めようとしています。日本こそ早く手を打たないと、タイムリミットは迫ってきています。

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