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2011年度予算は国債発行を抑えたが財政悪化に変わりない

2011年度予算は国債発行を抑えたが財政悪化に変わりない

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(日本経済新聞10/12/25の要旨)政府は2011年度で新規国債発行額を44兆2980億円として、「10年度を上回らない」とした財政運営戦略の方針をかろうじて守った。
ただ税収を上回る巨額発行に変わりはない。国・地方合わせた長期債務(借金)の残高は900兆円に迫っており、財政健全化は遠い道のりだ。
市場が財政悪化を懸念すれば長期金利が上昇する可能性もある。
11年度の国の基礎的財政収支は22.7兆円の赤字。過去最悪だった10年度の赤字額(23.7兆円)に比べ小幅にしか改善していない。
国債や地方債などを合計した長期債務の残高は10年度末に868兆円、11年度末には891兆円程度に膨らむ見通しだ。
国が借金を増やし続けても、何とかやりくりが成り立っているのは、低金利の恩恵を受けているためだ。2011年度の利払い費は9兆9千億円。
だが、金利がいつまでも低水準にとどまる保証はない。デフレの出口が近づき、将来の物価上昇期待が高まれば、長期金利は上昇する可能性が高い。
欧州にみられるように、財政悪化懸念による「悪い金利上昇」のリスクもくすぶる。
長期金利が3パーセント程度まで上がれば、利払い費が20兆円規模に増えるとの資産もある。そうなれば借金の一段の拡大と利払い費の急増という悪循環に陥りかねない。
基礎的財政収支について、自民党政権下では2006年の骨太方針で、11年度の収支黒字化を掲げていた。
(小峰隆夫・法政大教授)(中略)民主党は弱者への配慮と格差の是正を掲げているが、日本の最大の弱者は将来世代だ。このままでは想像を絶する負担の格差が生じてしまう。
消費税率の引き上げを避け続けることはできない。歳出面でもマニフェストにこだわらず、現時点で何が望ましいかを示すべきだ。

すこし古い引用記事です。財政の話はどうしても暗いものになってしまいますが、国の行方を左右する非常に大事な話です。

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菅直人総理は財務大臣を経験し、財政健全化をしなければいけないと強く認識されたそうです。そのため、私は期待していたのですが、少なくとも消費税率の引き上げはできませんでした。

つまり、抜本的に財政をよくすることはできず、鳩山由紀夫内閣の10年度予算よりは新規国債の発行を抑制できただけでした。

菅総理については、TPPやマニフェストの見直しなどの重要な問題で指導力不足だったと言わざるをえません。また、3月の大震災、その後の復旧活動や脱原発についても、指導力に大いに疑問を感じます。

ここではそれらの話は置いておくにしても、菅内閣が財政再建に道筋をつけると期待していただけに、11年度予算は期待はずれでした。

基礎的財政収支(プライマリー・バランス)は23兆円弱の赤字です。赤字を補うためには赤字国債を発行しなければなりません。

そして、それ以外にも国債費がありますから、結局赤字国債を44兆円以上も発行しないといけないわけです。

ここで注目したいのが、自民党政権の下では、11年度にプライマリーバランスが黒字になっている予定だったことです。

プライマリーバランスを黒字にしないと、借金を減らすことはできませんから、これは当然の目標だったのですが、まったく実現できていません…。

これを見ると、本当に日本政府は基礎的財政収支を黒字にして累積債務を減らしていけるのか、と不安を覚えます。


借金は雪だるま式に増える

このまま基礎的財政収支が大きな赤字のままでは、借金を減らすどころか、借金が増え続けます。すると、仮に低金利のままでも、政府が負担する国債利払い費も増えていきます。

すると、それを賄うためにさらに国債を発行し、また利払い費が増える、という悪循環が続いていきます。

そこに金利の急上昇でも来てしまえば、もはや利払い費が膨れ上がってしまい、まともな予算を組めなくなる恐れがあるのです。もし国債の利払いや償還が滞ってしまえば、債務不履行(デフォルト)です。

そうなればどうなるでしょう。既発国債の暴落、それによって金融機関の破綻が相次ぐかもしれません。個人向け国債を持っている投資家もパニック売をするでしょう。

保険会社も多くを国債で運用しているので、生命保険や自動車保険などもきちんと支払ってもらえるかどうか。

他にも深刻な事態が社会全体を襲うでしょう。詳しくは「日本は一刻も早い財政健全化を」に書いています。

まあ、あまりに深刻な話なので、正直なところあまり財政破綻については考えたくないのですが、かといって最悪の事態を直視しないのはいけないことは先の原発事故でも証明済みです。

私としては、なんとしても財政再建をしていかないと日本に未来はないと思っています。


基礎的財政収支黒字化だけでは不十分

菅総理は確か、基礎的財政収支を2020年度までに黒字化する、と国際的に約束しました。一歩前進ではありますが、これでは遅すぎるくらいです。

というのは、基礎的財政収支を少し黒字化できても、年に20兆円以上の国債費が必要だからです。ちなみに金利が上がれば、国債利払い費がもっと増えてしまいます。

つまり、仮に毎年20兆円の国債費が必要だとします。すると、基礎的財政収支が20兆円の黒字になって初めて、借金を増やさないことができます。

こうなれば、借金が増えないので当面財政破綻は心配無用です。

ただ、第一にこの国債費は低金利が続くと仮定してのものです。金利が上がってしまえば借金を増やさないために、さらなるPBの黒字額が必要になるのです。

第二に、年数十兆円の基礎的財政収支の黒字を出すのは非常に困難です。なにしろ今でも約24兆円の赤字なのですから。

ちょっと話がややこしくなってしまったのでまとめますと、まず日本の財政は危機的状況で、財政が破綻してしまうと本当にひどいことになります。

そして、財政再建を進めるには、基礎的財政収支を黒字化することが不可欠です。ただ、少し黒字化しただけでは、国債の償還と利払いに払う費用がまかなえないので、借金の増える額は減りますが借金は増え続けてしまいます。

そこで、年20兆円以上の黒字化ができて初めて、国の借金が増えるのを止めることができます(現在の低金利が続くと仮定して)。

さらに黒字額を増やせれば、やっと累積債務(国と地方の長期で約900兆円)を減らしていくことができます。債務残高を米国並みのGDP比で100パーセントにまで減らすとして、約450兆円の借金を減らさないといけません。

仮に1年に4兆円減らしたとして、100年ほどかかります。

こうしてみると、日本の借金問題は非常に難しいものだということがよく分かります。


金利上昇の恐怖

前述のように、今はまだ金利が低くて済んでいるので、財政問題もなんとかなっています。しかし、金利はいつ急上昇するかもしれないのです。

まず、記事にあるように景気がよくなれば、金利も上がります。金利が上がってしまえば、国債の利払い費も増えてしまうので、予算を圧迫してしまうのです。

もちろん、景気がよくなれば税収もアップします。しかし一方で、景気が良くなって株価が上がると、その分国債を買う人が少なくなって金利が上がるという懸念もあります。

つまり、デフレ脱却がよいこととは、財政に関しては必ずしも言えないのです。

また、景気の動向とは関係なしに、日本の財政リスクを嫌って国債を買う人が少なくなり、金利が上がることも心配されます。特に日本は少子高齢化で国民の預貯金が減り、それを原資として国債を買っている金融機関がこれまでのように国債を買えなくなるだろうと予想されています。

このように、金利はいつ急上昇するかも分からないのです。財政再建を急ぐべきだという理由がここにあります。

ところで、金利が急上昇すると、既発国債の価値がそれだけ下がります。すると、現在銀行や保険会社などが大量に保有している国債の価値が下がるので、金融機関の破綻を招くかもしれないのです。

こうしたわけで、金利の急上昇は文字通り恐怖なのです。財務省の官僚も非常に警戒しているそうです。


どうすればよいか

それでは、どうすれば財政危機を乗り越えられるのでしょうか。採るべき方策は2つしかありません。歳出を削減することと、歳入を増やすことです。

つまり、国の予算の無駄を削る一方で、税収を増やすことです。

前述のように積もり積もった借金を減らすには、大きく基礎的財政収支を黒字にする必要があります。そのためには、やはり消費税の税率上げが不可欠なのです。

私も心情的には消費税上げには反対ですが、国の破綻を防ぐにはやむを得ません。消費税は1%当たり2.5兆円の税収がありますので、最終的には20%以上にする必要があるでしょう。

そうして基礎的財政収支をできるだけ早く黒字化して、赤字国債の新規発行を止めます。そして、借金を少しずつでも減らしていきます。

すると、国が国債の利払いに使っている(無駄な)お金も減らせるので、国民の税金が本当に国民のためになる社会保障などに使われるようになります。

国民は財政破綻の心配も要らなくなります。そして社会保障を再整備して、安心な生活ができるようになるというわけです。

記事中で小峰先生がおっしゃっているように、生まれたばかりの子どもやこれから生まれる子どもに国の借金を背負わせてしまうのは、まさに経済的虐待でしかありません。

以前、「将来の世代なんてどうでもいい」と政治家がおっしゃっていたのにはあきれました。将来の世代に借金を背負わせないように、政治が指導力を発揮して財政再建に本気で取り組むべきです。

前述のように、自民・公明党が2011年度までに達成するとした基礎的財政収支の黒字化はまったく実現していません。

もちろんその後与党になった民主党にも責任がありますが、このペースでは2020年あたりには財政がいよいよ破綻するかもしれない、と言われています。

今が本当にラストチャンスです。

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